「旅にでよう！」そう思い立ち、なんとなく行き先を決めた後についてくるのが「どこに泊まろう？」という問題だろう。
アクセス、値段、部屋のタイプ、周辺のお店や体験、ご飯、お風呂、空間や建築の心地よさ、評価、サステナビリティに対する取り組み。検討すべき項目が多すぎて検索を始めてから予約まで気づくと1〜2時間経っているなんていうこともよくある。
そんな数多ある宿・ホテルのなかから、旅の力を信じるトラベルライフスタイルマガジン「Livhubでは今回、「サステナブル」という言葉に関連するようなおすすめの宿やホテルを選定した。今後47都道府県のおすすめな宿を選定し記事にしていく予定だ。
今回紹介するのは石川県のLivhubおすすめの宿6つ。それぞれ紹介していく。
1. 香林居（金沢市片町）
引用元：香林居 じゃらんnet
比叡山延暦寺の僧「香林坊」が薬種商として婿入りし、地蔵尊のお告げを受けて調合した目薬で、戦国武将前田利家の目の病を治した……。そんな逸話が残されている加賀の地で、九谷焼をはじめとする世界の工芸品を扱うギャラリー「眞美堂」のビルを改装し誕生したのが、東洋世界における美の在り方を見つめ、その処方を試みる滞在空間「香林居」だ。
滞在を通して旅人たちに処方されるのは、香林坊に流れる歴史と文化、そして白山信仰が根付く神聖な地、白山麓が育む自然と大地を全身に感じる豊かな金沢時間。ホテル内の蒸留所で毎日蒸留される白山の森林素材から抽出された精油や芳香蒸留水、塩分濃度の高い水溶液に身をゆだねながら瞑想の世界に浸るアイソレーションタンク、香林坊の絶景を見下ろすルーフトップサウナなど、ここでしか味わえない非日常の安らぎ体験が用意されている。
芸術家たちの大切な作品たちが飾られていた建物を改装し生まれた客室は、穏やかな理想郷をイメージし、うねるような曲線を多用した優しさを感じるデザインとなっている。優しさという点では、水にこだわり地産地消のアメニティブランド「Petrichor（ペトリコール）」を採用している点にも注目したい。霊峰・白山の雪解け水を使い、金沢の地で製造。そして、環境負荷が最小限になるように、原則量り売りのみで販売している。石油由来の成分を一切使っておらず、天然の精油とカラメル色素を使い、肌にやさしい成分でつくられている。また、宿で提供される台湾料理では、有機肥料のみを使用した完全無農薬栽培でつくられた黒米を使用した薬膳粥もいただける。ぜひ香林居で身体にも自然にも優しい時間を過ごしてほしい。
| 住所 | 石川県金沢市片町1丁目1-31 |
| HP | https://www.korinkyo.com/ |
| 各種予約サイト | ※下記リンク経由で予約した場合、当メディアに紹介手数料が入ります。予約者の方に追加の費用負担は発生致しません。本手数料は、社会を良くするメディア運営を持続的に行うための資金として大切に活用させていただきます。 じゃらん、楽天トラベル |
2. LINNAS KANAZAWA（金沢市尾張町）
“満ち足りた” “居心地の良い”を意味するデンマークの言葉 「HYGGE（ヒュッゲ）」をテーマに、滞在を通じて暮らしの幸せに気づくヒントを提案するライフスタイルホテル「LINNAS KANAZAWA」。運営が終了した既存ホテルを一部リニューアルする形で活用した建物内には、古都・金沢とはまた違った、この街が作り出すあたたかくやさしい空気が広がっている。
施設内には、「金沢にある金沢にないような店」をコンセプトとするレストランを併設。地元食材をメインとした炭火焼と燻製料理、さらにはSNS映えも期待できるシカゴピザなど目にも楽しい料理を堪能できる。また、ワーケーションやお試し移住に最適な客室やフィットネススペースも備えられており、まさに衣・食・住・働・遊の5つの要素が凝縮された宿といえるだろう。
当たり前の暮らしの中にある幸せを再発見できるLINNAS KANAZAWAでは、リサイクルペットボトルをアップサイクルした館内着や、「MiYO Organic」の竹歯ブラシと竹コームを採用するなど、未来の暮らしにつながるサステナブルな取り組みにも力を入れている。さらに、使わなくなったファッションアイテムを物々交換する「Fashion Swap Meet」などのイベントも不定期で開催されているため、着替えなどと一緒に手放そうと思っていた服や小物を持参していくのもおすすめだ。
| 住所 | 石川県金沢市尾張町1-2-8 |
| HP | https://www.linnashotels.com/kanazawa/ |
| 各種予約サイト | ※下記リンク経由で予約した場合、当メディアに紹介手数料が入ります。予約者の方に追加の費用負担は発生致しません。本手数料は、社会を良くするメディア運営を持続的に行うための資金として大切に活用させていただきます。 楽天トラベル |
3. TAKIGAHARA HOUSE -Life with Farm（小松市滝ケ原町）
引用元：TAKIGAHARA HOUSE -Life with Farm
食、住まい、働くこと、生活に関わる物事を100Works（百姓）と捉え、都市が自然を求め自然が都市を求める新しい暮らしを探求・想像する場として誕生した「TAKIGAHARA HOUSE FARM」。施設内には、築80年の石蔵を改装した古民家宿泊施設「TAKIGAHARA FARM」や、地元の食材を使ったメニューを堪能できる「TAKAGIHARA CAFE」、ナチュラルワインをいただける「MOSS BAR」、地元の職人が制作活動を行う「クラフト工房」などが併設されている。
こちらの施設での滞在で体験できるのは「Life with Farm. 畑のある暮らし」。元来百姓の家であった築130年の歴史を誇るファームハウスからは、自給自足で助け合いながら生きてきた人々の息づかいが感じられる。現在は町内外の人々の交流の場として活用されており、事前予約で内部を見学することもできる。
農業の在り方にスポットを当てたTAKIGAHARA HOUSEでは、農業体験も実施中。自然豊かな風景を眺めながら土に触れ、地元民と談笑しながら過ごす時間は、自然の恵みや日々の食を支えてくれている人々への感謝を改めて感じさせてくれるだろう。
| 住所 | 石川県小松市滝ケ原町ヲ-66 |
| HP | https://takigaharafarm.com/ |
4. 吉祥やまなか（加賀市山中温泉東町）
引用元：吉祥やまなか
加賀の伝統文化を感じさせる雅な空間と、四季折々の自然の風景、そしてホスピタリティにあふれた極上のおもてなしで旅に華を添える「吉祥やまなか」。俳聖、松尾芭蕉が愛した名湯「山中温泉」を心ゆくまで堪能できる、癒やしの宿だ。
渓流のせせらぎに耳を傾け、山の息吹にくつろぐひとときを提供する客室から望むのは、清流大聖寺川。館内のお食事処では、加賀山海の幸をふんだんに使った懐石料理を堪能できる。夕食後には、地酒を一堂に介した地酒処「SAKE BAR べに蔵」で、加賀の美酒を味わい尽くすのもよいだろう。
創業の原点である“チャレンジ精神”を大切にするこちらの宿では、新たな挑戦として「SDGs推進」を掲げ、廃油の飼料化やゴミの削減、地消地産の食材の利用といったサステナブルアクションを取り入れている。また、街歩きチケットやアイスストリートチケットの配布、加賀太鼓の体験など、地域産業の活性化や伝統芸能の継続・推進にも積極的に取り組んでいる。
過去の歴史や伝統を守る活動と、未来の暮らしを守る活動、それらは決して相反するものではなく充分に共存可能である。極上の滞在を楽しみつつ、伝統が息づく老舗旅館の新たなチャレンジに触れてみてはいかがだろうか。
| 住所 | 石川県加賀市山中温泉東町一丁目ホ14-3 |
| HP | https://kissho-yamanaka.com/ |
| 各種予約サイト | ※下記リンク経由で予約した場合、当メディアに紹介手数料が入ります。予約者の方に追加の費用負担は発生致しません。本手数料は、社会を良くするメディア運営を持続的に行うための資金として大切に活用させていただきます。 じゃらん、楽天トラベル |
5. Minn 金沢（金沢市上堤町）
引用元：Minn 金沢
金沢での快適な滞在を約束するライフスタイルホテル「Minn（ミン）金沢」。兼六園やひがし茶屋街、金沢21世紀美術館などの観光名所へのアクセスも良好な繁華街の中心に位置する、「家族やグループみんなで泊まれる」をコンセプトとするデザイナーズホテルである。
2022年10月に閉館したホテルの設備をそのまま活用し、環境保全を特色に打ち出した施設内には、客室のほか木のぬくもりと高級感あふれる地元住民も利用可能なイベントスペースを設置。地元店舗によるお祭り屋台や子ども料理教室、映画上映会、アコースティックコンサートといったさまざまなイベントが開催されている。
環境保全への取り組みは、建物の再利用だけではない。Minn 金沢では、備え付けのタオルや歯ブラシに自然素材を使用した製品を採用したり、宿泊客から集めたペットボトルのキャップを「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」に託したりなど、サステナブルな取り組みを随所に取り入れている。
さらに、ペットボトルのキャップをアクセサリーにする取り組みにも挑戦。滞在を通して体験できるサステナブルな取り組みが、今後ますますバリエーション豊かになっていくことを期待したい。
| 住所 | 石川県金沢市上堤町2-28 |
| HP | https://staytuned.asia/brands/minn/hotels/minn-kanazawa/ |
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6. SOKI KANAZAWA（金沢市袋町）
引用元：SOKI KANAZAWA
金沢の台所、近江町市場にほど近い袋町に位置し、無為自然に過ごす旅を提供する宿「SOKI KANAZAWA」。SOKIとは「素の器」のこと。宿名には、ありのまま（＝素）の飾らない本質を追求し、その土地の自然や風土、素材を嗜む場所（＝器）という意味が込められている。
地元とのつながりを大切にしているSOKI KANAZAWAでは、山中漆器の木地を使った木製の湯のみや、地元企業が手がける珪藻土のコースター、オーガニックの棒ほうじ茶、九谷焼の製作過程で生まれる不純物を釉薬にリユースした食器など、石川県内でつくられ、人々に愛されている品々を使用。レストランでは、地元で採れた新鮮な食材を使った小料理や加賀の地酒、滋味深い朝食をいただける。
客室は、白を基調としたシンプルな空間。室内にはペットボトルの飲料水を置かず、2階に設置したウォーターサーバーの利用を推奨している。また、歯ブラシには柄が竹製のものを採用しており、自然や風土を大切にする宿ならではの環境への配慮が端々から感じられる。
また、館内には、加賀温泉の公衆浴場で昔から親しまれる「かけ湯」をしつらえた大浴場を備え、お茶や禅、香りの知恵、発酵の文化が根付く金沢の地で、心と体を整える行いを現代でも親しみやすい方法で体験できる。
| 住所 | 石川県金沢市袋町2-1 |
| HP | https://www.uds-hotels.com/soki/kanazawa/ |
| 各種予約サイト | ※下記リンク経由で予約した場合、当メディアに紹介手数料が入ります。予約者の方に追加の費用負担は発生致しません。本手数料は、社会を良くするメディア運営を持続的に行うための資金として大切に活用させていただきます。 じゃらん、楽天トラベル |
Livhub編集部が考えるサステナブルな宿
本来「サステナブルな宿である」と断言するためには、根底からの課題意識を持ちつつ、環境・社会・経済、三要素全てに対して本質的な取り組みを行っている宿である必要がある。例えば、アメニティを自然素材のものに変え、持参を宿泊客に依頼するといったことも大事な取り組みの一つではあるが、それだけでサステナブルな宿と謳うには不十分だとLivhubは考える。我々が本質的にサステナブルな取り組みを行っていると考える宿は、例えばインドネシア・バリ島のエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」だ。詳細が気になる方はぜひLivhubが取材した記事「バリ島ウブドに旅立とう。心で ”良さ” を感じるエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」」をご確認いただきたい。
しかし日本においては、そうした宿はまだ少ないのが現状だ。そもそも、環境・社会・経済の三要素全てに対してアクションするのはすごく難しいことであるのも事実であろう。それゆえLivhub編集部では、環境・社会・経済もしくは思想のどれかにおいて特徴的なサステナブル要素がある宿も選定に含めている。環境・社会・経済をより良い状態していくための力となる旅が、今後より多く日本に、そして世界中に増えていくことを願って、理想へ向かう過程をメディアとして応援しながら情報を発信していければと思う。
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宿紹介文執筆: 古川友理
編集: 明田川蘭
※こちらの記事で取り上げている宿は、今後随時状況に応じて追加・編集する可能性がございます。サステナブルな取り組みを行っていると読者の皆様が感じる宿があれば、ぜひcontact@livhub.jpやLivhubの各種SNSのDMにてお気軽にご連絡ください。
