ハワイ語で思いやりを意味する「マラマ」。ハワイでは2000年代以降、レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)の考え方のもと、ハワイを思いやる心「マラマハワイ」を重視する旅への取り組みが行われてきた。
そして現在、責任からさらに一歩踏み込み、旅行者が楽しみながら、旅先の自然環境や地域社会、文化などに良い変化をもたらす新たな旅の形「リジェネラティブ・ツーリズム」の促進を目指す動きが加速。
大手旅行会社HISがハワイ州観光局とタッグを組み、新たな企画を打ち出すなど、旅行者と地域環境双方に幸せが訪れる旅の普及が進みつつある。
旅で持続可能な社会の実現を目指す再生型観光「リジェネラティブ・ツーリズム」
「リジェネラティブ・ツーリズム」とは、旅行先についた瞬間より去るときのほうが環境が改善されているという状況を目指す旅のこと。「再生型の観光」と呼ばれ、サステナブル・ツーリズムの発展形とも捉えられている。
サステナブル・ツーリズムは、旅先の環境を守り、損害を与えないことを重視する旅。対してリジェネラティブ・ツーリズムは、旅先の自然環境や文化を深く知り、積極的に携わろうとする旅。
今を守り未来へとつなぐ旅と、未来のために今をより良く変えようとする旅は、今後も共存しながら発展を遂げていくだろう。
HISがハワイ観光の拠点LeaLeaラウンジに「マラマ・ステーション」を開設
ハワイにおけるリジェネラティブ・ツーリズムへの取り組みは、HISの参画により加速する予感を見せている。
HISは、2022年に自然環境、伝統・文化を守り、地域と観光客が共に持続的な社会を作り上げていくリジェネラティブ・ツーリズムを促進すべく、ハワイ州観光局と「マラマハワイ」推進に向けたパートナーシップを締結。その一環として、2024年11月1日~2025年2月28日の期間、ハワイのLeaLeaラウンジ一角に、旅行者がハワイの自然や伝統、文化を学び、体験できる「マラマ・ステーション」を開設している。
実施される内容は以下の4つ。
・ビーチでマイクロプラスチックを回収できるビーチクリーンキットの無料貸し出し
・リーフセーフ(サンゴ礁に優しい)なメイドインハワイの日焼け止めクリームを無料提供
・マラマハワイに貢献している現地ツアー会社の商品やオプショナルツアーのディスカウント販売
・非プラスチック製アイテム提示で「マラマハワイ」新体験ツアー「アロハの心でつながるワイキキ散策」を半額で提供
それぞれ、自然環境保護や地域産業・地域社会への貢献につながる施策となっている。
「リジェネラティブ・ツーリズム」が実現する持続可能な社会
現状は、ただ触れずにいるだけでは守ることができない。
自然環境や人間の生活が大きく変化するなか、観光地の自然や文化を存続させるために、地域について深く知り、守るために今を変えようとする能動的な旅「リジェネラティブ・ツーリズム」への取り組みが、今後ますます重要になっていくだろう。
マラマ・ステーション
営業時間:毎日13:00~18:00
住所:2201 Kalakaua Avenue, Honolulu(ロイヤル・ハワイアン・センター B館3階)
【参照サイト】PR TIMES:ハワイにおけるリジェネラティブ・ツーリズム推進の発信地としてLeaLeaラウンジに「マラマ・ステーション」開設
【参照サイト】】HIS:LeaLeaラウンジに「マラマ・ステーション」開設
【参照サイト】ハワイ州レスポンシブル・ツーリズム情報サイト:マラマハワイとは
【関連記事】これからは自分も自然も豊かにする旅へ。いま注目のあたらしい「リジェネラティブ」な旅とは?
古川友理
最新記事 by 古川友理 (全て見る)
- 地域と触れ合う“本物”の田舎体験。長野県飯田市の農泊『THE INAKA -TENRYUKYO・IIDA CITY-』販売開始 - 2024年12月12日
- サステナブルな旅は“経済成長の要”「WTTC 第24回グローバル・サミット 2024」開催 - 2024年12月11日
- 思いやりと責任のある旅。「マラマハワイ」の推進で加速するリジェネラティブ・ツーリズムの広がり - 2024年11月1日
- 震災を乗り越え再起へ。旅を通して応援したい、営業再開を果たした「能登」の宿 - 2024年10月15日