島根県のサステナブルなおすすめ宿・ホテル6選(出雲、隠岐、松江)

「旅にでよう!」そう思い立ち、なんとなく行き先を決めた後についてくるのが「どこに泊まろう?」という問題だろう。

アクセス、値段、部屋のタイプ、周辺のお店や体験、ご飯、お風呂、空間や建築の心地よさ、評価、サステナビリティに対する取り組み。検討すべき項目が多すぎて検索を始めてから予約まで気づくと1〜2時間経っているなんていうこともよくある。

そんな数多ある宿・ホテルのなかから、旅の力を信じるトラベルライフスタイルマガジン「Livhubでは今回、「サステナブル」という言葉に関連するようなおすすめの宿やホテルを選定した。今後47都道府県のおすすめな宿を選定し記事にしていく予定だ。

今回紹介するのは島根県のLivhubおすすめの宿6つ。それぞれ紹介していく。

1. Entô(エントウ)(隠岐郡海士町)
Entô

引用元:Entô

島根半島から北へ約80km、船で3〜4時間。隠岐諸島の1つ中ノ島にあるEntô。大山隠岐国立公園、隠岐ユネスコ世界ジオパークに指定されたエリアに位置する。
Entôは漢字では「遠島」と書き、「遥か彼方、遠く離れた島」「島流し」を意味する。離島でありながら豊かな湧水に恵まれ、飢えや生活の危険がなかった隠岐は、後鳥羽上皇や後醍醐天皇、平安時代の歌人小野篁などが流されここで過ごした歴史を持つ。

客室は全室オーシャンフロント。行き交う船を眺めながら、自然と一体化した気分を味わえる。
食事は地産地消をモットーに、島の生産者から提供された魚や肉、野菜や果物、海藻や香草などをふんだんに使った、この島でしか味わえない季節のコース料理が訪れる人をもてなしてくれる。

ここでは、施設内に客室や温泉をはじめとする宿泊機能と、ジオパークの魅力を最大限体験できる機能をあわせもつ。地球と隠岐の成り立ちや島前3島の魅力などが展示されたジオルーム「ディスカバー」や、窓一面のジオ・スケープと恐竜などの古生物の化石が展示されたスペースで島について予習した後は、島に繰り出し、心身を解放し、そこにある色、音、匂い、風を感じてみよう。島の自然を体験するアクティビティやツアーも充実している。

コンビニも映画館もないけれど、不便な環境だからこそ、自分にとって何が大切なのか気づけることがある。さあ、遠く離れた場所へ。何かを手放し、何かに出会う、そんな時間を過ごしに行こう。

住所 島根県隠岐郡海士町福井1375−1
HP https://ento-oki.jp/
2. 石見銀山 他郷阿部家(たきょうあべけ)(大田市大森町)
石見銀山 他郷阿部家

引用元:石見銀山 他郷阿部家

石見銀山が隆盛を極めた寛政元年(1789年)に建てられた武家屋敷を、オーナーが10年以上の歳月をかけ暮らしながら繕い、蘇らせてきた宿。他郷とは「異郷の地でまるで自分の故郷のように迎えられる喜び、縁の尊さ」を意味する中国の言葉「他郷遇故知(ターシャーイーグージー)」に由来する。屋敷で使われていたものを活かすことはもちろん、縁あって出会った拾いものや貰いものを、修理したり加工し直したりしながら使い続けてきた。

武家屋敷の時代の風格漂う母屋は、夏場は風の通り抜ける建具や藍染の布で涼しさを演出してくれる。寝室には昔懐かしい蚊帳が張られる。冬場は、炬燵にみかん、炭がバチバチと熾る火鉢が据えられる。五感を研ぎ澄ませて、その季節ならではの匂い、空気を味わいたい。できればスマホもオフにして、電子音のない時間を過ごしたいところ。

重厚感ある蔵をそのまま生かした阿部家唯一の洋室ベッドルームは、蔵の立派な梁がそのまま残る重厚な空間。ベッドに横になり天井を眺めることすら楽しめそうだ。
寝間着・くつろ着、様々な手触りのタオルや自然素材のケア用品など、この宿独特の肌触りも体験できる。

食事は、宿泊客と宿のオーナーとが一緒にいただくスタイル。贅沢というのではない、心と手間ひまのこもった豊かさ、人や食材との一期一会の出会いが待っている。

住所 島根県大田市大森町ハ159-1
HP https://kurasuyado.jp/takyo-abeke
3. なにわ一水(松江市千鳥町)

引用元:なにわ一水

宍道湖畔に建つ、天然温泉「松江しんじ湖温泉」を有するホテル。

23室ある客室はすべて異なるコンセプトでデザインされている。間取りやカラートーン、インテリア、調度品など、部屋ごとに個性があり、何度訪れても新しい発見があるだろう。全室レイクビューなので、テラスのチェアに腰かけて景色を堪能したり、客室の露天風呂に浸かりながら好きなだけ湖と空を眺めるのも格別だろう。

パブリックスペースや客室、温浴施設など、館内の随所にバリアフリー設計がされているのも特徴だ。「温泉旅館のユニバーサルデザイン化」への取り組みが評価され、ユニバーサルデザインの国際表彰「IAUD国際デザイン賞2020」で旅館・ホテルとして初の金賞を受賞している。館内パブリックスペースは段差のない設計がされており、客室のうち3部屋はバスリフト又はシャワーキャリーの取り付けが可能。また、車いすでの回転が可能な設計や、男女大浴場ではリフト付シャワーキャリーが利用できる点も評価されている。盲導犬・介助犬・聴導犬も全館で受け入れている。

食事面では、アレルギー対応や、宗教上特別な措置を必要とする人のための対応、ベジタリアン・ヴィーガン向けのメニューの用意がある。きざみ食やとろみ食といった、介護食についても出来る限りの対応をしてくれる。

ここでは、身体や食生活に制約や不自由があっても、旅をあきらめることなく楽しめる配慮がされているのが嬉しい。

住所 島根県松江市千鳥町63
HP http://www.naniwa-i.com/
各種予約サイト

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4. RITA 出雲鷺浦(出雲市大社町)
RITA 出雲鷺浦

引用元:RITA 出雲鷺浦

江戸から明治にかけて、交易船「北前船」の寄港地であった鷺浦(さぎうら)。穏やかな良港 “風待ちの港” として栄えた街に点在する、古民家3棟を宿泊施設として再生した「RITA 出雲鷺浦」。

客室「潮花」「潮風」は、塩造りをしていた商家の名残が残る赤瓦のなまこ壁と、通り沿いの格子が印象的な建物。客室「濱古屋 左舷(はまこや さげん)」は、船宿を改装した漁師町独特の風情のある建物となっている。

食事は、漁師町らしい素朴で健康的な朝食をいただくことができる。島根県近海でとれた魚の干物をはじめ、しじみ汁や鷺浦特産あらめの煮物、地物をふんだんに取り入れた体が喜ぶ朝ごはんだ。キッチンを備えた客室では、自炊も可能。

地元住民の協力のもとに行われる、体験プログラムも用意されている。鷺浦の海水を煮詰めて炊く塩づくりや、海岸線や洞窟をめぐる漁船クルージング、サンセットクルージング、夜光虫鑑賞クルージングなどを季節によって楽しめる。山林に自生する椿を活かした椿オイル搾油体験、ハンドセラピー、保湿クリーム作りなども珍しい機会になるだろう。

出雲といえば出雲大社が全国的に有名な観光地だが、そこから20分ほど離れた場所にこんなに風情がある漁師町、そして宿があるなんて知る人ぞ知る秘密のようだ。

住所 島根県出雲市大社町鷺浦126
HP https://rita-izumo-sagiura.jp/
各種予約サイト

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5. くすぶるハウス-燻家-(隠岐郡隠岐の島町)
くすぶるハウス-燻家-

引用元:くすぶるハウス-燻家-

隠岐の島にある、1日1組限定の古民家。オーナーが、東南アジアでの放浪や東日本大震災後のボランティア活動を経て、見ず知らずの隠岐へ渡ったのち、古民家を改築して起業したゲストハウスである。改装時には、林業が盛んな島の木材を活用。1名〜8名まででの宿泊ができる。

海と森林の豊かな島。地元の魚、お米、野菜をふんだんに使った夕食を提供してくれる。公式サイトには海の幸盛りだくさんの食欲をそそる写真が並び、見ているだけでお腹が鳴る。
宿にシャワーはあるが、徒歩15分の場所には島唯一の温泉があり、そちらも楽しんでみたい。
そして、こちらの宿ではペットと一緒の滞在も可能だ。ケージやトイレシーツ、ワクチン接種証明などが必要なので確認しよう。

ガイド付きの岸壁釣りや、庭で焚火体験などのアクティビティもある。釣り竿はレンタルがあり、釣った魚を夕食時に調理してもらえるサービスも。できれば何日か滞在して、島の空気が肌にすっかり馴染むくらい、ここで暮らしてみたい。

予約は電話、手紙、WEB、DM、メール、伝書鳩などに対応。伝書鳩がいけるかどうか・・・どうぞお試しあれ。

住所 島根県隠岐郡隠岐の島町南方1227-1
HP https://kusuburu-house.com/
6. Ethical House 不便や!(出雲市多伎町)
Ethical House 不便や!

引用元:Ethical House 不便や!

出雲市にある、日本海まで徒歩数十秒に位置する、1棟貸し切りの古民家ゲストハウス。「不便や」と名乗るとおり、ライフラインが引かれておらず、ランプと竃(かまど)と天然水で生活する。お風呂は薪。トイレは洋式。スマホやパソコンを充電できる程度の太陽光蓄電池を備える。

広い畳の部屋に布団を敷き、天井から吊られた蚊帳の中で眠る。囲炉裏や竈で調理し、ランプの明かりで本を読んだりしゃべったり、というおそらく現代人のほとんどが経験したことのない暮らし方を体験できる。部屋の電気をつける作業すらデジタル機器に頼む生活に慣れた体には、電気や電波の力を借りずに一晩過ごすことに最初は慣れないだろう。

しかし、不便な環境下こそ、人間の知恵が問われる。ちょっと分からないことがあったらすぐ検索し答えらしき情報にたどり着けるご時世だが、そんな行為に頼らず、竈を使っておいしく調理する方法を体を張って編み出してみたい。

そしてランプの灯りの中、吊るされた蚊帳の下で語り合う時間、日常生活のLINEや会話では話せない、ここだけの話ができるに違いない。ここで過ごした人とは、この時間を経てより特別な関係になれそうな気がする。この不便な自由、誰と一緒に味わいたい?

住所 島根県出雲市多伎町久村1480-6
HP https://www.airbnb.jp/rooms/28504466 
Livhub編集部が考えるサステナブルな宿

本来「サステナブルな宿である」と断言するためには、根底からの課題意識を持ちつつ、環境・社会・経済、三要素全てに対して本質的な取り組みを行っている宿である必要がある。例えば、アメニティを自然素材のものに変え、持参を宿泊客に依頼するといったことも大事な取り組みの一つではあるが、それだけでサステナブルな宿と謳うには不十分だとLivhubは考える。我々が本質的にサステナブルな取り組みを行っていると考える宿は、例えばインドネシア・バリ島のエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」だ。詳細が気になる方はぜひLivhubが取材した記事「バリ島ウブドに旅立とう。心で ”良さ” を感じるエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」」をご確認いただきたい。

しかし日本においては、そうした宿はまだ少ないのが現状だ。そもそも、環境・社会・経済の三要素全てに対してアクションするのはすごく難しいことであるのも事実であろう。それゆえLivhub編集部では、環境・社会・経済もしくは思想のどれかにおいて特徴的なサステナブル要素がある宿も選定に含めている。環境・社会・経済をより良い状態していくための力となる旅が、今後より多く日本に、そして世界中に増えていくことを願って、理想へ向かう過程をメディアとして応援しながら情報を発信していければと思う。

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宿紹介文執筆: 和田麻美子
編集: 明田川蘭&飯塚彩子

※こちらの記事で取り上げている宿は、今後随時状況に応じて追加・編集する可能性がございます。サステナブルな取り組みを行っていると読者の皆様が感じる宿があれば、ぜひcontact@livhub.jpやLivhubの各種SNSのDMにてお気軽にご連絡ください。

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