「旅にでよう!」そう思い立ち、なんとなく行き先を決めた後についてくるのが「どこに泊まろう?」という問題だろう。
アクセス、値段、部屋のタイプ、周辺のお店や体験、ご飯、お風呂、空間や建築の心地よさ、評価、サステナビリティに対する取り組み。検討すべき項目が多すぎて検索を始めてから予約まで気づくと1〜2時間経っているなんていうこともよくある。
そんな数多ある宿・ホテルのなかから、旅の力を信じるトラベルライフスタイルマガジン「Livhubでは今回、「サステナブル」という言葉に関連するようなおすすめの宿やホテルを選定した。今後47都道府県のおすすめな宿を選定し記事にしていく予定だ。
今回紹介するのは鹿児島県のLivhubおすすめの宿8つ。それぞれ紹介していく。
1. circular village hostel GURURI(大崎町)
Image via IDEAS FOR GOOD
約25年前から、町の呼びかけで町民がリサイクルに参加し、2006〜2020年の間に14回、リサイクル率日本一を獲得している大崎町。町ではごみを、なんと27分別しているという。
そんな大崎町の「分別する暮らし」を体験できる場所として、2024年4月に体験型宿泊施設GURURIが誕生。既存の建物を改修し、⾼い断熱性や地域内資源循環を⽬指した内装など、⼤崎町らしい建物として、環境負荷を軽減した様々な⼯夫が施されている。宿泊は一棟貸しだ。
手づくり感のあふれる温かみのある空間で、私たちにとっては少し未来のような大崎町の分別する暮らしを体験しに、訪れてみてはどうだろうか。
住所 | 鹿児島県曽於郡大崎町菱田2433 |
HP | https://gururi-osakini.studio.site/ |
2. サステナブルな暮らしの宿 aperuy(屋久島)
Aperuy(あぺるい)とはアイヌ語で「火が灯(とも)る」という意味。サステナブルな暮らしの宿 aperuyは、心に火をともしながら、夢や希望をつかむ旅をしているオーナーさんが営む宿だ。
パーマカルチャー(永続可能な農法)をベースに、薪暮らし、米づくり、無農薬の野菜作り、廃材と自杉を使った家づくり、塩づくり、廃油を利用した天ぷらカーの使用、養鶏、ヤギ放牧、ガイド、森のようちえん、フリースクール、ゲストハウスと多岐の分野を有機的にミックスさせて「遊ぶ・食べる・休む」の最高のバランスを提供している。
食事は、農園で採れたものや地域の方々から頂いた食材など、島の旬の食材と伝統製法で作られた調味料を使い、屋久島の木々のエネルギー(薪)で丁寧に調理する。
建物は、日本で伝承されてきた「わたりあご構法」で建てられている。廃材を、建物の建材や薪として余すところなく活用している。
宿泊は、1泊2食付き・テント素泊まり・一棟貸切(Wi-Fiあり)など、お好みのスタイルを選ぶことができる。オプションとして、オーナーさんご家族と一緒に食卓を囲みながら団らんできるプランもある。
屋久島の自然の中でたっぷり遊び、島の食材に舌鼓を打ち、満点の星空を見ながら眠りにつく。これ以上の贅沢があるだろうか。
住所 | 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2480-28 |
HP | https://aperuy.com/ |
3. 伝泊 The Beachfront MIJORA(奄美大島)
引用元:伝泊
奄美大島の伝統、伝説を旅人に伝え、次世代への継承を目指してまちづくりに取り組む宿「伝泊」。豊かな森と美しい海に恵まれた奄美大島には、奄美の深い温かな魅力へそっと寄り添う4種類の宿がある。なかでも、美しい海に溶け込むリトリートヴィラ「伝泊 The Beachfront MIJORA」は、目の前の海とただただ向き合い、自然とゆったりと対話ができる宿だ。
客室は、デラックス・ホライゾン・スイート・スタンダードの4タイプ。自然や客室空間内での境界を限りなく排除し、テラス、キッチン、バスルームがゆるやかにつながった開放感あふれる「デラックスヴィラ」、一面の大きな窓を通して眺めるビーチと同じ高さに位置する「ホライゾン デラックス ヴィラ」をはじめ、シアタールームが魅力の客室や奄美の伝統工芸品「大島紬」を取り入れた客室など、それぞれに特徴をもった4種類のスイートルームが人気。
食事は、キッチンを備える客室で自炊するか、ホテルに併設するレストラン&バー「2 waters」で楽しむか。部屋食では、奄美の郷土料理を手軽に作れる「レシピ付き島のおばの島料理セット」の注文もできる。レストランでは、奄美の力強い食材を活かした創作料理を選び抜かれた九州産を中心としたワインと共に味わえる。
ホテルは、環境に配慮したホテル・レストラン・キャンピング場などに付与される国際的なエコラベル「グリーンキー」を取得。竹製のアメニティの導入や、環境に配慮したホテル造りなどが評価されている。唯一無二の奄美時間をぜひ堪能して。
住所 | 鹿児島県 奄美市笠利町外金久亀崎986-1 |
HP | https://den-paku.com/portfolio-item/the-beachfront-mijora |
各種予約サイト | ※下記リンク経由で予約した場合、当メディアに紹介手数料が入ります。予約者の方に追加の費用負担は発生致しません。本手数料は、社会を良くするメディア運営を持続的に行うための資金として大切に活用させていただきます。 じゃらん、楽天トラベル |
4. 伝泊 古民家(奄美大島)
引用元:伝泊 古民家
今なお手つかずの大自然が残り、美しい海に恵まれ、昔ながらの伝統が息づく奄美群島。そんな奄美の地の集落に点在し、暮らすように泊まれる一棟貸の宿がある。伝統的・伝説的な建物を改修し造られた「伝泊 古民家」は、奄美大島をはじめ、加計呂麻島(かけろまじま)、徳之島に18棟を展開。島出身の建築家・山下保博氏が、伝統的な建築や集落文化を後世に伝えるべく、空き家となっていた古い家屋を宿泊施設に生まれ変わらせた。
全てが異なる集落に点在する古民家では、魅力もさまざま。なかでも、世界自然遺産にも登録された奄美大島では、島の伝統行事である唄や踊りが体験できる「高倉のある宿」や、南国の木々に囲まれた秘境のような宿「アダンと海みる宿」などがある。伝泊 古民家に泊まるなら、宿だけでなく島全体で滞在を楽しもう。フロントは、島北部の赤木名地区にある「まーぐん広場」。ここは集落住民と観光客の交流の場で、宿の総合フロントでもある。施設内には他にも、宿泊施設「伝泊 赤木名 ホテル」や食堂、物産&ギャラリー、ライブラリー、高齢者施設、子育て支援のための学習・保育スペース、イベントスペースなどがある。多様性にあふれた交流の場として、集落のシンボルとなっている。
宿では、穏やかな時間と共に自然や集落の音をBGMに読書を楽しんだり、島民が提供する島の自然や文化を感じられる体験プログラムに参加したり。それぞれの集落が紡いできた「とき」と対話するように滞在し、島民との交流をぜひ楽しんで。ここでは島を大切に守る住民、旅にくる人、いろいろな旅の宝物に出会えるはず。
住所 | 鹿児島県奄美市笠利町里50-2(総合フロント。宿ごとに住所は異なります) |
HP | https://den-paku.com/portfolio-item/kominka |
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5. お宿 みどこい(阿久根市)
引用元:お宿 みどこい|楽天トラベル
阿久根地方の方言で、中心のよいところを意味する「みどこい」。お宿 みどこいは、明治45年に開削された阿久根温泉の発祥である舞鶴温泉『鶴乃湯旅館』をモデルに、商人宿として装いを新たに蘇った宿だ。建物はビジネスホテルのようなシンプルな造りで、無人でセルフチェックインするスマートホテルだ。宿泊施設の建材は、ほぼ阿久根産木材を使用している。
食事は朝食のみ提供。阿久根漁港直送の天然魚介類や、阿久根産採れたて野菜などをふんだんに使った港町あくねの食を楽しめる。昼食・夕食、温泉(タラソテラピー)、森里川海体験アクティビティなどは、あくねの街に繰り出して堪能するスタイルだ。森ではタケノコ狩りや森林浴、里ではハーブや柑橘狩り、川では川登り、海ではカヤック、そして地元産の海や山の美食など、季節に応じた現地の自然をふんだんに味わいたい。
専用タブレットとスマートロックを用いたセルフチェックインシステムにより、スムーズでプライバシーの高い滞在がウリだ。慣れないと最初は戸惑うかもしれないが、あまりおもてなしをされたくないという方には心地よいだろう。町に繰り出し現地の人たちとのふれあいを楽しみ、森や川へ行き自然を満喫する、そんな魅力が詰まったお宿 みどこいでスマートな滞在をしてみては?
住所 | 鹿児島県阿久根市赤瀬川1188番5 |
HP | https://oyadomidokoi.com/ |
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6. RITA 出水麓(出水市)
引用元:RITA 出水麓
薩摩藩最大規模の武家屋敷群・出水麓(いずみふもと)に分散する、3棟6室からなる武家屋敷ホテル。出水麓は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、薩摩武士が歩んだ歴史や、当時から続く美しい景観を今なお残す地域だ。
客室棟のひとつ宮路邸は、出水麓の武家屋敷を構成する3要素「母屋・蔵・畑」が全て現存する、築約120年の邸宅。客室「農(みのり)」では、農作業や炊事を行うための井戸、かまど、囲炉裏などの跡が残る、古民家らしい生活空間の風情が楽しめる部屋が旅人を迎えてくれる。五右衛門風呂に体をあずける瞬間が楽しみだ。別に、檜風呂を備える客室もある。
食事は、鹿児島の風土と伝統、土地が育んだ食文化を生かし、炭を使った料理を基本にフレンチと和の融合した創作料理を、レストランizuruで頂く。かつて薩摩藩の武家屋敷だった土持邸の一部(牛小屋)を改修した店舗、出陣を意味するizuru。訪れる人たちに新たな体験を提供してくれる場所だ。
チェックインするときに、「RITAそらきゅう」というお猪口を受け取る。出水本町通り商店街の連携店舗で提示すると、割引やおまけなど、嬉しいプレゼントが。旅の思い出として持ち帰ることが出来るので、帰った後もこの「RITAそらきゅう」でおいしい時間を過ごせそう。
住所 | 鹿児島県出水市麓町18-35 |
HP | https://rita-izumifumoto.jp/ |
各種予約サイト | ※下記リンク経由で予約した場合、当メディアに紹介手数料が入ります。予約者の方に追加の費用負担は発生致しません。本手数料は、社会を良くするメディア運営を持続的に行うための資金として大切に活用させていただきます。 じゃらん、楽天トラベル |
7. 農家民宿 ブルーオーシャン(沖永良部島)
引用元:農家民宿 ブルーオーシャン
鹿児島市から南へ約552km、沖縄本島から北へ約60kmの場所に位置する沖永良部島。ウミガメやザトウクジラが見られる自然豊かな島で、農家のご夫婦が営む宿が「農家民泊 ブルーオーシャン」だ。
自営農園「アヴニール・ファーム」では、野菜やバレイショ・切り花の植付、収穫作業をはじめ、様々な農業体験プログラムが用意されている。体を動かした後は、敷地内の庭園で地域の方々と交流しながらバーベキューを楽しみたい。自炊設備もあるので、お好みのスタイルで地元の食材を調理することも可能だ。太平洋を望むオーシャンビューが何よりのご馳走かもしれない。
農業体験以外にも、島が誇る美しい海でのダイビングやケイビングなども体験できる。広い空、青い海を心ゆくまで味わいながら、友達の実家に泊めてもらっているようなくつろいだひと時を過ごしてみてはいかがだろう。
住所 | 鹿児島県大島郡知名町知名475-1 |
HP | https://kagoshima-gt.net/stay/ohshima-786 |
8. Sumu Yakushima(屋久島)
引用元:Sumu Yakushima
九州の南端から60キロ離れた屋久島。標高1500メートル近くには、樹齢千年を超える屋久杉の原生林が残る。Sumu Yakushimaは、「人が住むほどに自然が澄んでいく」という自然と人との共生をコンセプトにした実験住宅。豊かな自然に囲まれた開放性とプライバシー、親密さと広大さという、相反する二つの感覚を大切にし「レジャー・学び・仕事」の時間が同時に流れる空間だ。
敷地内に複数の棟があり、広々とした客室に、贅沢なキッチンや浴室を備える。原生林のハイキング、カヤック、SUPなど、屋久島の大自然を堪能できるほか、地元のパートナーとの提携により、個人やグループ、家族を対象とした様々なアクティビティやプログラムも提供している。
サイト内の建物は、生態系に配慮し、人と自然の調和を模索して設計されている。基礎構造は日本で古くから伝わる土木工法を採用。周囲の植生に働きかけ、土中環境が成熟することで地盤を安定・強化させている。建物はオフグリットシステムによる100%再生可能エネルギーを供給しており、高気密、高断熱の省エネ設計。国内外で合計15のデザインアワードを受賞している。
こちらの宿は、完全招待制・オープンデイのみの案内なので、mail newsやインスタグラムでご確認を。公式サイトにも多くの情報が載っておらず、大自然の中にいながら近未来の様相も呈する謎めいた場所。どうぞご自身で謎解きを。
住所 | 鹿児島県熊毛郡屋久島町麦生311-91 |
HP | https://sumu-life.net/ja/ |
Livhub編集部が考えるサステナブルな宿
本来「サステナブルな宿である」と断言するためには、根底からの課題意識を持ちつつ、環境・社会・経済、三要素全てに対して本質的な取り組みを行っている宿である必要がある。例えば、アメニティを自然素材のものに変え、持参を宿泊客に依頼するといったことも大事な取り組みの一つではあるが、それだけでサステナブルな宿と謳うには不十分だとLivhubは考える。我々が本質的にサステナブルな取り組みを行っていると考える宿は、例えばインドネシア・バリ島のエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」だ。詳細が気になる方はぜひLivhubが取材した記事「バリ島ウブドに旅立とう。心で ”良さ” を感じるエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」」をご確認いただきたい。
しかし日本においては、そうした宿はまだ少ないのが現状だ。そもそも、環境・社会・経済の三要素全てに対してアクションするのはすごく難しいことであるのも事実であろう。それゆえLivhub編集部では、環境・社会・経済もしくは思想のどれかにおいて特徴的なサステナブル要素がある宿も選定に含めている。環境・社会・経済をより良い状態していくための力となる旅が、今後より多く日本に、そして世界中に増えていくことを願って、理想へ向かう過程をメディアとして応援しながら情報を発信していければと思う。
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宿紹介文執筆: 和田麻美子
編集: 明田川蘭&飯塚彩子
※こちらの記事で取り上げている宿は、今後随時状況に応じて追加・編集する可能性がございます。サステナブルな取り組みを行っていると読者の皆様が感じる宿があれば、ぜひcontact@livhub.jpやLivhubの各種SNSのDMにてお気軽にご連絡ください。
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