長野県のサステナブルなおすすめの宿・ホテル7選（松本、茅野、白馬）

「旅にでよう！」そう思い立ち、なんとなく行き先を決めた後についてくるのが「どこに泊まろう？」という問題だろう。

アクセス、値段、部屋のタイプ、周辺のお店や体験、ご飯、お風呂、空間や建築の心地よさ、評価、サステナビリティに対する取り組み。検討すべき項目が多すぎて検索を始めてから予約まで気づくと1〜2時間経っているなんていうこともよくある。

そんな数多ある宿・ホテルのなかから、旅の力を信じるトラベルライフスタイルマガジン「Livhubでは今回、「サステナブル」という言葉に関連するようなおすすめの宿やホテルを選定した。今後47都道府県のおすすめな宿を選定し記事にしていく予定だ。

今回紹介するのは長野県のLivhubおすすめの宿7つ。それぞれ紹介していく。

1. ゲストハウス雷鳥（松本市安曇）

引用元：ゲストハウス雷鳥

中部山岳国立公園内、標高1500ｍに位置するゲストハウス。宿の外には、鳥の声、木々が風に揺れる音、水がさらさらと流れる音しか聞こえない、そんなノイズレスな空間が広がる。

温泉は、乗鞍岳の中腹を源泉とする、100%かけ流しの硫黄泉の内湯と露天風呂がある。いずれも毎日完全なお湯の入れ替えをしている。時間別の完全貸切制で、自分の時間をゆっくりと楽しめる。

客室は、和室や洋室、ドミトリータイプなどから選べ、広いワークスペースや会議室も備える。いずれもWi-Fiを完備し、仕事をしながらの長期滞在もおすすめ。4泊以上の滞在で宿泊費が割引となるプランも嬉しい。

昼食・夕食は、広いゲストキッチンで自炊をしたり、近隣の飲食店を利用したり。朝食は希望者には提供される。

乗鞍高原は、ゼロカーボンパークとして脱炭素化を目指している地域であり、官民が一体となりサステナブルな地域づくりを幅広く行っている。雷鳥でも、使用される電気を自然エネルギー100%のものにしたり、生ごみをコンポストして堆肥にしたり、プラスチックごみを出さないよう、ビンや缶入りの飲料を販売したり、という取り組みをしている。

乗鞍の大自然の中で、地球と向き合い、環境に配慮した滞在をしてみては？

住所	長野県松本市安曇4306
HP	https://ghraicho.com/

2. ヤマウラステイ（茅野市ちの）

引用元：ヤマウラステイ

日本の文化を育んできた考え方、「ハレ」と「ケ」。冠婚葬祭をはじめとする華やかで特別な日「ハレ」と、毎日くりかえされる普段の生活「ケ」。ヤマウラステイは、丁寧で上質な「ケ」を過ごすことこそが一番の贅沢と考える。

宿泊するのは、八ヶ岳の裾野「山浦」の集落の中に建つ古民家。個性ある4軒の古民家を一棟まるごと借りるスタイル。いずれも空き家となっていた古民家を、時を重ねた建造物の持つ風格や美しさを残しつつ、現代の生活様式に合う空間へと蘇えらせた。手掛けたのは、古民家改修の第一人者アレックス・カー。彼がこの施設のプロデュースに入った。

宿泊は素泊まりが基本。各古民家にあるキッチンで自炊をしたり、地元の名店に食事に出かけたり、ケータリングを頼んだり、食事は自由に楽しむことができる。山浦の暮らしや文化をより知りたいという方には、山浦の伝統レシピを地元の方に教わりながらつくる料理体験プログラムも用意されている。近所には複数の源泉があるので、少し足を伸ばして温泉も楽しみたい。

宿がある山浦という集落は、縄文時代から山の恵みを糧に生きてきた場所。厳しい寒さを生き抜く文化が、今も人々の知恵として残されている場所で、あなただけの特別な「ケ」を再発見してみてはいかがだろう。

住所	長野県茅野市ちの3506
HP	https://yamaurastay.jp/

3. 扉温泉明神館（松本市入山辺）

引用元：扉温泉明神館

標高1050メートル、神々が住むといわれる森の中に佇む明神館。約30年前から行っている無農薬野菜の使用や熱電併給の導入などが評価され、2009年には国際エコラベル「グリーンキー」認証を日本で初めて取得した宿だ。調理から出た生ごみを堆肥化して肥料にする取り組みも行っている。

客室は、和室から大きなベッドのある洋室まで、さまざまなタイプから選べる。空気を浄化する珪藻土の壁や無垢材のフローリング、床下に敷かれた炭、オーガニック素材のリネンをはじめ体に優しい素材が多用されている。

温泉は、目の前に広がる大自然と一体化しながら、立った姿勢で腰上までつかることのできる立ち湯をはじめ、露天風呂付の大浴場、寝転んだり半身浴をしたりできる寝湯を備える。

温泉もさることながら明神館は、食にも定評がある。ホテル・レストランの世界的な会員組織「ルレ・エ・シャトー」に加盟。宿には創業時から受け継がれる畑があり、農薬を使わず、ゆたかな土地質を活かした有機栽培を行う。そうした地元の野菜を中心に扱い、「身土不二」の精神に基づいて作るシンプルながらも饒舌なナチュレフレンチのコースが提供される。地元の旬の食材に、斬新な趣向の数々を施して提供する信州ダイニングなどで、最高のおもてなし料理を堪能したい。

自然と一体となり、何もしない時間の中で本来の自分と向き合う、そんな時間を過ごしにいこう。

住所	長野県松本市入山辺8967
HP	https://www.tobira-group.com/myojinkan/
各種予約サイト	※下記リンク経由で予約した場合、当メディアに紹介手数料が入ります。予約者の方に追加の費用負担は発生致しません。本手数料は、社会を良くするメディア運営を持続的に行うための資金として大切に活用させていただきます。じゃらん、楽天トラベル

4. 山村テラス（南佐久郡佐久穂町）

引用元：山村テラス

佐久穂町と佐久市望月にある、複数の宿泊できる空間から成る山村テラス。いずれもオーナーさんが仲間とともに試行錯誤を重ねながら手作りしてきた場所。居心地の良い空間をつくることで、良い時間が生まれ、その集積が良い暮らしや社会へと繋がっていけば嬉しい、という思いが伝わってくるあたたかな空間。

森へと続く丘の上に建つ手づくりの小さな小屋は、ライフラインがきておらず、電気は太陽光発電でまかない、水は沢の水を引いているという完全にオフグリッドな世界。いずれの小屋も簡易的な調理器具は揃っているので自炊はできる（電子レンジ、オーブン、炊飯器などは無し）。近隣には、パン屋、レストラン、酒蔵、まちの駅、スーパーなどがあり、食材の調達が可能だ。美味しい食材が手に入る場所や、地元の人しか知らない名店などはオーナーさんに案内してもらえるので相談してみて。お風呂やシャワーはないので、近隣の温泉施設に出かけよう。

便利さに慣れた体が少し不便な環境を快く感じるには、数日かかるかもしれない。おとぎ話に入り込んだような世界のなかで童心に帰るもよし、物書きに耽ったり、曲を作ったり、創作活動をするのもよし、この世界で何をしようか。

住所	長野県南佐久郡佐久穂町大日向3199
HP	https://sanson-terrace.jp/

5. BYAKU Narai（塩尻市奈良井）

引用元：BYAKU Narai

400年の歴史をもつ中山道の中で、日本最長の宿場町として今もその当時の面影を色濃く残す奈良井宿。中山道六十九次の真ん中に位置し、多くの旅人で栄えた宿場町だ。町のシンボルだった酒蔵などの歴史的建造物を引き継ぎ、宿として生まれ変わったのがBYAKU Narai。4棟ある客室棟以外にも、当時の酒蔵の空間を活かしたレストラン、隣接する酒蔵や酒処、温浴施設など、宿泊客以外も楽しめる施設が近隣に並ぶ。

客室棟のひとつ「本館歳吉屋」は、奈良井宿の建物の象徴でもある面格子と障子が幻想的な空間を演出している。1階には土間のテラス、2階には山を望む寝室や書斎がある。他にも、元は茶室だった露天風呂のある部屋、縁側から箱庭を眺められる部屋、書院造りを持つお座敷がある部屋など、個性豊かな部屋が揃う。蔵を改装したメゾネットタイプの部屋では、広い空間ながら、隠れ家のようなワクワク感、非日常的なおこもり感を思う存分味わえるだろう。

街並みに出会った瞬間にタイムトリップが始まる。宿に入ればことさらに、歴史に想いを馳せ、建築当時の誰かになった気分で過ごしたくなるかも。泊まった翌朝目が覚めた時、「ここはどこ？私は誰？今は何年？」という感覚になりそうだ。

住所	長野県塩尻市奈良井551
HP	https://byaku.site/
各種予約サイト	※下記リンク経由で予約した場合、当メディアに紹介手数料が入ります。予約者の方に追加の費用負担は発生致しません。本手数料は、社会を良くするメディア運営を持続的に行うための資金として大切に活用させていただきます。じゃらん、楽天トラベル

6. nozawa green field（下高井郡野沢温泉村）

引用元：nozawa green field

四季折々さまざまな彩りを魅せる長野県北部に位置する野沢温泉。自然豊かな山々や水辺でのアクティビティを楽しんだ後は、自然湧出の上質な温泉で心身を癒し、豊かな土壌が育む豊富な食材に舌鼓を打つ。アウトドア好きな人にはたまらない時間の過ごし方だろう。

「ツリーハウスを作ろう」というアイデアからスタートした green field。プライベートキャンプ場に、オーガニック野菜を育てる畑での収穫体験、田植え、信濃川でのSUP（スタンダップパドル）など、自然から多くの恵みを得る体験を提供してきた。

木々に囲まれたプライベート空間でのキャンプは、1日1組限定。隣接する畑の無農薬野菜を収穫し、食す。そして、ゴミはすべて持ち帰るスタイルだ。近隣の温泉街には13カ所の外湯があり、温泉を楽しめるのも嬉しい。坂が多い野沢温泉だが、e-bikeを借りられるので気軽に出かけてみよう。

ソーラー発電で自家発電された電気、山から引かれた水など、実際に滞在してみると地球の恩恵を受けていることのありがたさを体で感じることだろう。

子どもの頃、アスレチックで遊ぶのが楽しすぎて、暗くなってもまだ帰りたくなかったあの日を思い出す。ここではもっと大きなアスレチックに泊まれるのだ。翌日も早起きして遊ぼう。

住所	長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9254
HP	https://www.nozawagreenfield.com/

7. IL BOSCO（北安曇郡白馬村）

引用元：IL BOSCO

3000m級の山岳地域や、何キロにもつながる森林トレイルがある白馬村。四季を通してハイキング、ランニング、スキー、MTBなど自然を楽しめる素晴らしい環境で、歩いて回るのが楽しい街。そんな自然で遊ぶ際のベースキャンプにふさわしい宿が、IL BOSCOだ。

食事は、地元野菜を主役とした山の幸をメインに、地元の川魚やジビエなど、ヴィーガンやベジタリアンの人も、そうでない人も美味しくいただけるよう調理される。

客室は、1名～5名で利用できる3タイプ。無垢のフローリングや珪藻土の壁、自然素材で仕上げられた心地よい空間だ。館内は、薪が香るラウンジ、緑の中のウッドデッキ、貸し切りで利用する檜風呂などを備える。全館Wi-Fi接続可能で、ラウンジや食堂をワーキングスペースとして使うこともできる。

宿で使用される電力は、太陽光発電設備と再生可能エネルギー100％の電力で賄う。暖房、給湯用の熱は、薪だきボイラー設備から得るなど、自然環境に配慮して運営されている。また、宿泊単位で消費される消耗品による環境負荷を低減する配慮のため、3泊以上の連泊を推奨している。電車、自転車、電気自動車で訪れる宿泊客には「グリーンボーナス」として客室料金10%割引が適用されるので、環境が許す方はぜひ試してみて。

住所	長野県北安曇郡白馬村神城22264-6
HP	https://il-bosco.com/

Livhub編集部が考えるサステナブルな宿

本来「サステナブルな宿である」と断言するためには、根底からの課題意識を持ちつつ、環境・社会・経済、三要素全てに対して本質的な取り組みを行っている宿である必要がある。例えば、アメニティを自然素材のものに変え、持参を宿泊客に依頼するといったことも大事な取り組みの一つではあるが、それだけでサステナブルな宿と謳うには不十分だとLivhubは考える。我々が本質的にサステナブルな取り組みを行っていると考える宿は、例えばインドネシア・バリ島のエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」だ。詳細が気になる方はぜひLivhubが取材した記事「バリ島ウブドに旅立とう。心で ”良さ” を感じるエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」」をご確認いただきたい。

しかし日本においては、そうした宿はまだ少ないのが現状だ。そもそも、環境・社会・経済の三要素全てに対してアクションするのはすごく難しいことであるのも事実であろう。それゆえLivhub編集部では、環境・社会・経済もしくは思想のどれかにおいて特徴的なサステナブル要素がある宿も選定に含めている。環境・社会・経済をより良い状態していくための力となる旅が、今後より多く日本に、そして世界中に増えていくことを願って、理想へ向かう過程をメディアとして応援しながら情報を発信していければと思う。

宿紹介文執筆: 和田麻美子
編集: 明田川蘭&飯塚彩子

※こちらの記事で取り上げている宿は、今後随時状況に応じて追加・編集する可能性がございます。サステナブルな取り組みを行っていると読者の皆様が感じる宿があれば、ぜひcontact@livhub.jpやLivhubの各種SNSのDMにてお気軽にご連絡ください。