「その服、来年も再来年も着ますか?」日本とバングラデシュが取り組む持続可能なファッション

寒いから取り急ぎ、これを買おうっと。
ネットでぽちっと簡単に洋服が買える時代。

人はいつしか着飾ることが当たり前になり「とにかく温かければいい」「とにかく可愛く見えればいい」「とにかく流行りモノであればいい」などと、衣服へのありがたみというものをどこかに置いてきてしまっている気がする。

日本でサーキュラーエコノミーの実装を目指す「Meguriwa(めぐりわ)」とバングラデシュで文化遺産の保全活動を行う「Huda Mohammed Faisal(フダ・ムハマド・ファイサル)」は、互いの感性と技術を交換しながら共同で行う2国間のプロジェクトブランド「Revival(リバイバル)」をスタートさせた。

ファッション産業における生産現場の健全化や循環型の生産サイクル、環境問題への具体的対策が十分とは言えない現状の中、バングラデシュの地からファッションの持続可能性へアプローチを行い、ファッション産業の健全化、消えゆく伝統産業の保全、作り手である女性の自立を支援していくという。

また、Revivalではクラフトツーリズムも展開。ファッションを通してバングラデシュという国の文化や伝統を知り、支援していくことで文化遺産の保全にもつながっていくだろう。

再生が難しい素材のリサイクル

「世界の縫製工場」と言われるバングラデシュでは、ファッション産業の余剰品や廃材が日々生まれている。Revivalでは再生が難しいアパレル素材を、手作業を活用した製法でリサイクル素材を開発し全世界へ向けて販売を行う。1つの物を長く大切に使うものとして価値を見出すことにつながる。

また、ユネスコ世界無形文化遺産にも登録されている世界で最古の手織物「Jamdani(ジャムダニ)」をアパレル向けに規格・柄開発し世界へ輸出を行う。日本の刺子に似た、伝統工芸「ノクシカタ」を生かした製造の請負、現地の職人とつなぐクラフトツーリズムなども展開していく。

ファッション産業から未来につながる

Revivalは下記のミッションを掲げ活動を行っている。

・Increase employment of women.(女性の雇用促進)
・Create a place for children’s education(児童の教育機会創出)
・Conserve cultural heritage.(文化遺産の保全)

また、バングラデシュでも日本でも初となる基金「Revival Project Foundation」を設立。売り上げの一部を学校の設立資金に、現地児童の教育機会創出を目指していく。

今後は、バングラデシュと日本での販売に加え、アジア、ヨーロッパを含めたグローバルマーケットを展開する予定だ。現在アメリカでの展開はすでに決定しており、日本でも複数のブランドからのサポートが決まり、サンプル制作が進行中だ。

モノの価値を改めて見つめなおす

大量生産大量消費が生む、洋服のゴミの山。現在、世界でも行き場を失ったアパレル品の破棄が問題となっている。洋服や靴などのアパレル品は着飾ることの楽しみがあるが、その一つ一つは汗水たらして人の手で作られていることを決して忘れてはならない。海外で縫製されたのならば、それを輸送するまでに関わる人たちも多くいる。

だからこそ、お店で一つの洋服を手にとっても「この服は何年着るだろう」「本当に必要なのか」と自身に問いかけてほしい。そして「モノの大切さ」「モノの価値」を見出し、ものづくりの尊さを感じてみてほしい。

その場しのぎの流行や見てくれだけのデザインで着飾るのか。
昔から受け継がれた織物や素材で丁寧に縫製された衣服を着るのか。

「ラナプラザの悲劇」から約10年。いつかバングラデシュに出向き、そこで暮らす人たちが丁寧に紡ぐ手織物や伝統工芸に出合ってみてはいかがだろう。

きっと問いの答えが出るはずだ。

※「ラナプラザの悲劇」とは・・・2013年に起きたラナ・プラザ崩落事故(ダッカ近郊ビル崩落事故)のことを指します。バングラデシュの首都ダッカから北西約20kmにあるシャバール(サバール)で、8階建ての商業ビル「ラナ・プラザ」が崩落。ラナプラザには、銀行や複数のお店のほかにMangoやMatalan、Benettonなど27のファッションブランドの縫製工場が入っており、多くの死者や犠牲者を出し、ファッション史上最悪の事故とも呼ばれています。詳しくは「IDEAS FOR GOOD」の記事を参照ください。

【参照サイト】Revival 公式サイト
【参照サイト】Meguriwa 公式サイト

【関連ページ】ファストファッションの墓場で嗅いだ異臭を、わたしは一生忘れない。