オランダの港に浮かぶ、段ボールの家「Wikkelboats」

Wikkelboats

オランダの首都アムステルダムから73kmにある港町ロッテルダムで、港の桟橋に沿ってなにやらポツポツと家のようなものが浮かぶ。

「Wikkelboats(ウィッケルボート)」は、段ボールで出来たフローティングホーム(水に浮く家)だ。バスルーム、べッドルーム、テレビなどが備わっており、なかには屋外プライベートジャグジーがついたものもある。

施設はゆったりと休暇を楽しむための短期宿泊利用。会議やチームビルディングなど気分転換のできるオフィスとして使用されることもあるという。

ひとつのフローティングホームの重さは500kg前後。モジュール式のため、サイズは簡単に延長・縮小できる。広さはだいたい32~42平方メートルで、4から6人を収容可能。ダンボールにより、優れた耐熱性と防音性を実現。防水層と木製層でコーティングされているため「溶けてなくなってしまうのではないか」というのは杞憂だ。さらに、リサイクル可能な資源で作られているため、従来の住宅よりも最大3倍、持続可能とされている。施設で使用する電気のほとんどは、建物の屋上に取り付けられたソーラーパネルで自家発電している。

またWikkelboatsは、オランダの未使用の港での住宅ソリューションとしても検討されている。水に浮く家である「ハウスボート」は陸地のスペースが不足する地域の住宅問題を解決する可能性があるからだ。これは、オランダならではの環境が育んだアイデアだ。

オランダは4分の1が海面より低く、現在の国土の2割以上が干拓により開発された土地。水をせき止めて排水をして、土を運んで埋め立てをせずに、そのまま水に家を浮かべて住んでしまえばよいのではというのは、自然な発想だ。Wikkelboatは、環境に適応した街づくりの好例といえる。そして、つくり出された個性的な環境が人々に刺激を与え、喜びや新たな創造の源泉になるという好循環を生み出している。

【公式サイト】Wikkelboat
【参照サイト】Netherlands’ cardboard floating homes, Wikkelboats, could be a housing solution for areas with limited space

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拓馬

昔からつい遠くに趣いてしまう癖があり、気がついたら海外でノマド(遊牧民)に。インターネットという大自然の恩恵に浴し、世の中を斜に眺めながらの独り言。リアルの大地とデジタルという名の大空のはざまにさすらい、いまだ見ぬ世界への旅路を今日もゆく。