米国旅行協会が「持続可能な旅行連合」(Sustainable Travel Coalition)をローンチ

サンフランシスコ

サステナブルツーリズムに関する議論が、欧米を中心に活発になっている。

The Washington Postは7月14日、When it comes to green travel, impact matters more than words(グリーンな旅には、言葉よりもインパクトが重要)といったコラム、British Vogueは7月10日、Can You Be A Climate Activist And Still Fly? (気候変動活動家でありながら、飛行機に乗れるか?)といったコラム、Bloombergは7月9日、Sustainable Vacations and the Rise of Ecotourism(サステナブルバケーションとエコツーリズムの台頭)といった動画を公開している。

そうした潮流を旅行業界も敏感に感じ取ってか、今回アメリカで新たな動きがあった。

米国旅行協会(U.S. Travel Association)は、より持続可能な未来を築くことを目指して、「持続可能な旅行連合」(Sustainable Travel Coalition)の設立を発表した。

発足時の会員は、旅行はもちろんのこと、運輸、テクノロジーなど各セクターの約60団体。「持続可能な旅行連合」は、加盟団体や旅行先におけるサステナビリティに関する問題、機会、懸念について米国旅行協会に情報を提供する機関として機能する予定だという。

米国旅行協会のエマーソン・バーンズ氏(Emerson Barnes)は「世界を見て回ることと世界を保全することが背反であってはなりません。テクノロジーが進歩し、消費者がより持続可能な旅行の選択肢を志向しています。アメリカの旅行業界が、地球の天然資源を保全し、進化する市場のニーズを満たすべく、この連合は活動してゆきます」と述べる。

旅行には、移動手段や宿泊施設、食事、娯楽、観光、その他にも多くのサービスが関連している。バーンズ氏は「サステナビリティの問題は旅行業界の枠を越え、米国経済の他のあらゆるセクターに及ぶ問題なのは明らかです。関連業界のステークホルダーを結集させ、旅行や運輸、テクノロジーのリーダーとともに、今後長きにわたってビジネスに影響を与える重要事項について調整していきます」と続ける。

なお、米国旅行協会は、エネルギー効率を高めるために旅行業界の100以上の団体と協力して、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の生産と使用に対する税額控除制度の導入についてアメリカ政府に働きかけている。

温室効果ガス排出量を約8割も削減できるSAFでの飛行テスト成功について『Livhub』は以前に紹介した。

こうした動きが今回の件を踏まえさらに、日本を含む世界中で加速することを期待したい。

【参照サイト】Sustainable Travel Coalition
【参照サイト】US Travel Forms Sustainable Travel Coalition

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拓馬

昔からつい遠くに趣いてしまう癖があり、気がついたら海外でノマド(遊牧民)に。インターネットという大自然の恩恵に浴し、世の中を斜に眺めながらの独り言。リアルの大地とデジタルという名の大空のはざまにさすらい、いまだ見ぬ世界への旅路を今日もゆく。