民泊仲介サイト世界最大手のAirbnbは11月16日、障害者のためのAirbnbとも言えるイギリスの「Accomable」の買収を発表した。
今回の買収により、今後数か月間でAccomableの強みである障害者のアクセシビリティに特化した機能や60カ国以上に展開するアクセシビリティの高いリスティング物件がAirbnbに統合される。
Accomableは、世界中を旅した脊髄性筋萎縮症の2人の幼なじみ、Srin MadipalliとMartyn Sibleyにより、障害者が旅行しやすくなるようにとの強い使命感から2015年に設立された民泊仲介サイトだ。日常生活でさえ苦労が絶えない障害者にとって、旅行はさらにハードルが高い。行く先々で車いすが越えられない段差があるだけでも死活問題になる。こうした健常者ではなかなか気づけない視点がAirbnbに加わることになる。
公共施設などでは法律により一定のアクセシビリティ基準が設けられているが、個人の物件を掲載しているAirbnbでは部屋の間取りや設計は多種多様だ。それぞれの部屋のユニークさがAirbnbの魅力でもある一方で、全ての物件が障害者フレンドリーであるわけではなかった。Airbnbにも障害者の差別を禁止する規定は既に存在しており、これまでにもホストに対して「アクセシビリティニーズ・チェックリスト」を提供してきたが、今回の買収はその取り組みをさらに前進させるものだ。
今後、Airbnb上では「ステップフリー(段差なし)で部屋を出入りできるか」「入り口は車いすが通過するのに十分な幅があるか」などアクセシビリティについての表記や機能などが一層強化される。ホストにとっては、自分の物件のアクセシビリティ情報をより的確に、そして簡単に表示することができるようになり、ゲストはその豊富な情報から安心して予約できるようになる。
今回の買収は、Accomableにとっては、「障害者がより住みやすい世界をつくる」という夢がAirbnbのプラットフォームを通じて一気に膨らむ、大きなステップとなる。一方のAirbnbにとっても、障害者の利便性を高めることはさらなるユーザー拡大だけではなくサービスの付加価値やブランドイメージ向上にもつながるだろう。誰もが等しく参加できるインクルーシブなシェアリングエコノミーの実現に向けて歩みを進めるAirbnb。今後のさらなる展開に期待したいところだ。
【参照サイト】Making Travel More Accessible
(Livhubニュース編集部)
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