日本橋兜町にあるブティックホテル「HOTEL K5」、AHEAD ASIA 2021を受賞

金融の街、日本橋の兜町。

明治以来「コト始めの街」「投資の街」「証券の街」としての地歴を有し、時代時代のイノベーションが起こり、投資家が集い、様々な情報が交流する舞台となってきた。

現在、日本橋兜町では、「起点であり、輝点となる。」をタグラインに、人が集い、投資と成長が生まれる街づくりを目指して、日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクトが行われている。平和不動産株式会社が推進し、兜町の持つポテンシャルと周辺の街の機能との融和による“ 兜町らしさ ”の再構築を行っている。

「HOTEL K5」も、そのプロジェクトにより、街を変化させる起点として生まれたひとつだ。「Revitalize~新しい生命を吹き込む~」をコンセプトに、小規模ながらも時代をリードするマイクロ・ディベロップメントと位置付け、空間全体で、人の五感を刺激する施設を目指している。

この度「HOTEL K5」は、イギリスのホテルデザイン誌「Sleeper」が主催する「AHEAD ASIA 2021」においてHOTEL CONVERSION部門で受賞した。この賞は、全世界の宿泊施設の中から、デザインや体験、ホスピタリティなどにおいて高い評価を得られた施設に贈られる。今回の受賞では、もともとの建物自身に宿る魅力を施設が受け入れ、真に称賛する姿勢、そして、ホテルが提供する自信に満ち溢れたおもてなしの中にオリジナリティがにじみでていると、高く評価されている。

「HOTEL K5」の建物は、大正12年(1923年)に竣工されたが、もとは渋沢栄一翁により1873年に創設された日本初の銀行(第一国立銀行)の三代目建物の分館だった。多くの銀行を建築してきた西村好時が設計を手がけた、大変歴史深い貴重な建物だ。1980年代には鋼板パネルで覆われた状態だったが、当時の姿をもう一度再現し魅力的に活用したいということで、大規模リノベーション工事が行われた。

ホテルの建築・空間デザインの監修には、スウェーデンストックホルムを拠点に活躍する建築家パートナーシップ「CLAESSON KOIVITO RUNE」を迎えている。歴史的建造物の重厚感を尊重しつつ、北欧と和のテイストが絶妙なバランスで調和された新しい空間を演出している。

施設の地下1階~地上1階には、K5のみで体感できるレストランが入り、地上2~4階が「HOTEL K5」となる。全20部屋と小規模ながらも、安らぎとインスピレーションを同時に提供するハイエンドブティックホテルだ。

シームレスで曖昧な空間づくりをコンセプトに、1階のレストランからコーヒーショップまでを途切れさせず、自然と視線が流れるつくりとしている。ホテルの一般的な空間構成とは一線を画すつくりも評価された点だ。

シームレスな空間は、客室部分にも。客室前の廊下部分と客室内のタイルを統一し、それを客室ごとにパターンを変えることで、客室と廊下がひとつの空間として繋がっているように感じられる工夫が施されている。

レストランは、ニューヨーク初のクラフトビールブランドBrooklyn Breweryの世界初のフラッグシップ店「B」をはじめ、日本、フランス、デンマークなど多様な文化によって創発された東京・目黒の人気レストランKabiの新店「CAVEMAN」、アジアのお茶や漢方をベースにしたカクテルを楽しめるライブラリーバーなど、個性的なラインナップだ。

B1階「B」(ビー)/(ビアホール)

1階 CAVEMAN /(レストラン)

先鋭的でありながらも、その場所における時の重なりや日本の伝統を意識したデザインが散りばめられた「HOTEL K5」。AHEAD ASIA 2021を受賞したハイエンドなホテルに、ぜひ遊びに行ってみてはいかがだろう。

【参照サイト】HOTEL K5
【参照サイト】Winners | Ahead | Asia

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明田川蘭

大の旅好き&温泉好き。一人で海外へ、一人で車を走らせて日本の名湯へ。アフリカ大陸と北極南極以外に降り立ち、行った国は30を越え、巡った温泉地は100を超える。沖縄観光メディアの編集者やホテルメディアの立ち上げ経験あり。「旅は人の心を豊かにする」と本気で思い、記事を執筆している。