小さな自分1人だけでも、世界を変えていこう。屋久島のリゾートが始めた学びの場「サステナブルカレッジ」

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1人が変わっても世界は変えられないけど
1人が変わりはじめない限りは何も変わらない
小さな1人分だけでも世界を変えていこう
引用元:aperuy公式HP

そうした思いを大切に、屋久島でサステナブルな取り組みを行っている人たちがいる。パーマカルチャーをベースに自然を破壊しないライフスタイルを目指す、aperuy(アペルイ)だ。

aperuyが行なっているのは、自然に寄り添った「もう一つのリゾート〜Yakushima Organic Resort〜」づくり。aperuyとはアイヌ語で「火が灯る」という意味だ。

“自然”は人の心身を元気にする不思議な力をもっているとの考えから、屋久島の”自然”にふれることで多くの人の心に元気な「火が灯って」ほしい、夢や希望をつかむ旅をしてほしい、との願いのもと運営されている。

“自然”のなかで、遊び・食べて・休む旅

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引用元:aperuy公式HP

aperuyが考える“自然”には、森や海といったフィールドだけではなく、島の野菜や魚、そして島でたくましく生きる人々も含まれている。

屋久島の自然の中で腹ペコになるまでたっぷり遊んで、島の食材をつかった料理を食べ、澄んだ空気をたっぷり吸い込み、満点の星空を見ながら安らかに眠る。

“自然”のなかで、良質な「遊ぶ・食べる・休む」をバランスよく体験することがよい旅につながる。

そうした考えから、ゲストハウスの運営だけでなく、農園の運営、トレッキングや沢登りなど体験のガイド、量り売りショップ兼カフェの運営、エコビレッジづくりなどなど様々な取り組みを行なっているのだ。

自然を破壊しない、恵みに寄り添った暮らし

aperuyでは、自然環境への負荷を最小限にし、自然と調和した持続可能な農園づくりを目指している。自然の恵みとその土地の地力を最大限に生かすため、土の中で生きている土壌菌の環境を整える環境再生の処置を施している。野菜の栄養は、畑から生えてくる草と剪定した木の枝や葉、農園で飼っているヤギやニワトリの糞から得る。あとは、雨が降るのを待つだけ。

そうして出来た野菜を始め、屋久島の旬の食材を屋久島の木々のエネルギー(薪)で調理したご飯を宿では頂くことができる。

ゲストハウスは、屋久島の地杉をつかい「わたりあご構法」という日本の伝統的木組みで地元の大工さんたちと一緒に建てられた。

引用元:aperuy公式HP

また外壁や内装の下地には、屋久島の製材所で出た廃材を提供してもらい再利用。家に活用できなかったものは薪として、料理、お風呂、塩づくり、暖房の燃料として用いられている。

屋久島の地で学ぶ「サステナブルカッレジ」

そんなaperuyがリゾートづくりと並行して行なっているのが、サステナブルな暮らしを一人ひとりが全体的な視野で考え、実践できるようになる学びの場「サステナブルカッレジ」だ。カレッジでの学び方は2つある。

1つは、サステナブルな暮らしを育んでいく上で大切なトピックを体系的に学べるよう企画された募集型のプログラム。もう1つは、学びたい講座や体験したいアウトドアを自由に選び、自身に合った学びのプログラムを自ら主体的につくりあげていくオリジナルのプログラムだ。

どちらも、aperuyが屋久島で実践してきた15年間のサステナブルライフとネイチャーガイドで培った技術や気づきが生かされた内容が盛り込まれている。

<2024年の募集型プログラム>

2024年の募集型プログラム一覧は下記だ。

1)4月12〜15日(3泊4日)
『菌との共存で実現するサステナブルライフ』
2)5月3〜6日(3泊4日)
『人と地球に優しい子育て』
3)5月30〜6月3日(4泊5日)
『屋久島の湿度99%の梅雨の不快感が幸せへの1番の近道を教えてくれる』
4)7月11〜15日(4泊5日)
『屋久島の原生の森が育んだ超軟水の聖水とつながる』
5)7月30〜8月6日(7泊8日)
『熊毛島キャンプ 〜世代を超えて熊毛の恵みを知り活かしあう〜』
(屋久島町公認ガイド共催企画)
※熊毛島とは、屋久島・種子島・口永良部島の3島を合わせてaperuyが呼んでいるオリジナルワード。この3島を巡るキャンプ。
6)9月1〜8日(公募なし貸切)
追手門学院ゼミ研修『一人ひとりが実現できるサステナブルアクションを見つける』
7)10月2〜7日(5泊6日)
『冒険する癖を身につける 〜安心な環境を飛び出して未知なる世界へ〜』
8)11月8〜11日(3泊4日)
『自給自足の収穫の喜びを体感する』

<オリジナルプログラム>

オリジナルプログラムでは、「屋久島に来るたびに1講座だけ学びたい」「雨で山や川に行けないから、サステナブルなことを学んでみよう」と半日や1日だけ参加したい方が、自由に学びたい内容を選択できる。

選択できる講座は、座学だけではなく、フィールド見学や、農園の体験も含まれている。自然の中に身をおく自然体験活動をすることで、より講座を深く理解することができるようになるので、山登りや沢登りなどのアウトドアを組み合わせるのがおすすめだ。

詳しくはこちらを参照。

2024年GWの募集型プログラム「人と地球に優しい子育て」

引用元:aperuy公式HP

募集型プログラムの一部を紹介する。2024年5月3〜6日で行われる「人と地球に優しい子育て」は、屋久島での野外遊びや自然の中での暮らしを通して「親が子どもにできる一番大切なことは何か?」を学ぶ場となっている。

1日目は、川か海へ行って水遊び。遊んだ後は温泉に浸かって、aperuyにチェックイン。2日目は、日の出とともに目覚め、薪で沸かした白湯を飲むことから始める。この日は、薪暮らしと田植え体験。まずは裸足で田んぼの中へドボン。田植えをしつつも子どもは、泥んこ遊びに夢中になる。お昼ご飯と夜ご飯は、みんなで薪料理をいただく。手斧で薪を割り、火をつけ、畑で採れた野菜や島の食材を調理する。そうした生きるうえで欠かせない「食」の大切さを学ぶ。

そして、3日目は子どもと離れて親は屋久島の森へ。「お母さん」「お父さん」の役割をちょっとお休みして、森の中で「わたし」とつながる時間。屋久島の雄大な木々の香りや音を五感で感じる、森でのリトリート。子どもは親と離れて、遊びたい場所へ。川や海かもしれないし、aperuyのフィールド内の森だっていい。森のようちえんや子育てを経験しているスタッフが、それぞれの気持ちに寄り添いながら、子どもたちの自然遊びをサポートしてくれる。

最終日は、3日間の体験を通して、子どもは何を感じ、親はどのように子どもと接してきたのかを振り返る。子どもが本来もっている生きる力を発揮し、人と自然がずっと豊かに生きていくために、私たち大人は何ができるのか。親が子どもにできる一番大切なことをみんなで考え共有する。

詳しくはこちらを参照。

最後に

一人から始められるサステナブルライフのノウハウを学べる、実体験重視の学びの場「サステナブルカレッジ」。ないし、aperuyがつくるリゾートで、“自然”の心地よさを体験する旅。

そのどちらもが、“自然”から離れて都会に住み、山積みになった社会課題を前に一人の無力さを抱え立ち尽くす私たちに、きっと勇気をくれることだろう。

自分1人だけの力は小さいかもしれないけれど、動かなければ何も始まらない。

自分1人の力を信じるために、“自然”の心地よさを思い出すために、一度aperuyを訪れてみてはどうだろうか。

【参照サイト】aperuy 公式HP
【関連ページ】環境保護活動家の夫婦が運営するスコットランドのファームハウスで、自分と自然を再生する旅
【関連ページ】導かれ、見えた “水” が巡る心地よい「屋久島」
【関連ページ】屋久島で “生きる” と戯れる「はじまりの旅」

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明田川蘭

大の旅好き&温泉好き。一人で海外へ、一人で車を走らせて日本の名湯へ。アフリカ大陸と北極南極以外に降り立ち、行った国は30を越え、巡った温泉地は100を超える。沖縄観光メディアの編集者やホテルメディアの立ち上げ経験あり。「旅は人の心を豊かにする」と本気で思い、記事を執筆している。