京都市の新たな財源を検討していた有識者委員会が5月10日、宿泊税の導入を提案する答申案をまとめたことを、京都新聞が報じた。
宿泊税は市内のホテルや旅館の宿泊者に課税するもので、有識者委員会は京都市で急増する民泊を含む市内の全宿泊施設を対象に、宿泊者全員が宿泊料の金額にかかわらず税負担する仕組みを求めている。宿泊税の導入により、観光客受け入れ拡大に向けた交通インフラや案内サービスなどの整備に必要な財源確保を狙う。
検討委は昨年8月から5回開催され、今年1月の中間取りまとめで、新たな税として、「駐車場への駐車」、「宿泊」、「別荘の所有」の3案に絞り込んだ。答申案では課税対象となる宿泊施設の定義が明確で、課税対象施設の把握が容易なことから「宿泊税」の導入に向け、制度設計の検討を進めるべきとした。
宿泊税においては、東京都が2002年度にホテル宿泊客などを対象にした宿泊税を導入し、続いて大阪府も2017年度から同税を導入。1人1泊当たり100~300円を徴収し、1万円未満の宿泊料金に関しては非課税としている。大阪府は特区民泊の宿泊者にも7月から課税する見通しだ。
京都市の場合は、東京都や大阪府より課税の対象を広げる内容で、最終答申は8月を予定している。その後、制度設計し2018年度にも導入を目指す考えだ。
答申案では、観光客の増加で宿泊施設の不足や交通渋滞が生じ、市民生活にも影響が及んでいるとして、課題の解決を図る財源として宿泊客に広く負担を求めることに「合理性がある」とした。修学旅行生以外の宿泊者が課税対象で、旅館やホテルのほか、住宅を使う民泊や旅館業法の許可を受けておらず実態把握が難しい業者も含め、全ての施設の把握に努め、税を徴収すべきとした。
また、徴収に関しても宿泊料金が一定以下の場合は課税しないという「免税点」は設けず、低額料金(1万円未満)の宿泊客も京都市の行政サービスを受けているとして幅広い負担を求め、宿泊料金が高額になるほど税額が高くなる方式をとるよう提案した。
京都市は今月から来月にかけて答申案についての市民意見を募集する。
【参照リリース】民泊含む全施設に宿泊税提案 京都市の有識者委答申案
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
平井 真理
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