エクスペディア・グループ、コロナ禍からの需要回復期に宿泊施設が収益管理を通じて収益化を図るための6つの施策を発表

世界最大級のオンライン旅行会社エクスペディア・グループは、収益管理(レベニューマネジメント)の役割についての考えをまとめ、パートナー施設がコロナ禍からの需要回復期において、効率的に戦略を練るためのサポートとなる主な施策を発表した。

今回発表された主な施策は6つ。まず「過去よりも未来に焦点を当てること」をあげた。昨今の旅行業界では、過去のデータを元に市場のトレンドや傾向を予測することが困難なため、旅行需要の予測データをもとにマーケットが向かう先を見極め、料金設定を適切に行うことが一層重要となる。

次は「競合施設と比較し、旅行意欲を喚起する手段を検討すること」。旅行需要の争奪が激しくなった今、旅行者の予約行動や意識の変化に合わせ、利用者がより安心して予約できるように、競合施設と自社の料金プランを定期的に比較し、価格やキャンセルポリシーを見直すことが重要だ。

そして3つ目は「ダイナミックな価格戦略を検討すること」。これは、旅行需要の低迷期においても、変化を厭わないダイナミックな価格戦略が予約の増加につながるため、すべての部屋タイプで新たな料金カテゴリーの導入を検討し、それに対する顧客の反応を確かめる施策だ。たとえば、宿泊数が長いほど割引料金で泊まれるプランを導入することで、稼働費を抑えられる利点がある。

4つ目は「人脈や地域とのつながりを活用すること」。地域の観光協会などから対象のマーケットに関する詳しいデータを入手し、そのデータをもとに各施設が獲得できると推測される予約数を割り出す施策だ。これは、新たな旅行需要の創出を目的に、観光協会や地元の企業とホテルとの共同マーケティング活動やプロモーションにつながる可能性もある。

5つ目は「新たなアプローチを試してみること」。旅行者はこれまで以上に価格を重視する傾向が強まっている。平均客室単価(ADR)を下げずに予約を獲得できるよう、新たな価格戦略の一環として付加価値のある料金プランの導入を検討することが重要だ。

最後となる6つ目には「長期的な予測を立てるより、日々のデータの変化に注目すること」をあげた。先行きが不透明な状況下にある今は、マーケットごとの旅行需要の変化に着目することが長期予測の立案以上に効果がある。旅行者が検索時に指定した日付や実際に予約した日程、旅行者の国や地域を把握し、データを活用することで、情報に基づく価格設定が可能になるとともに今後の見通しを立てるヒントとなる。

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの宿泊施設が収益面で困難を抱え、経営存続の危機に直面している施設もある状況下、従来のようにマーケット変化の予測に基づいて収益管理を行うことは難しい。また、コロナ禍で従来の収益管理のアプローチが通用しなくなり、今年に入ってからも「渡航・移動制限はいつ緩和されるのか」「旅行需要はいつ回復するのか」「在庫の料金設定を効率的に行うにはどうすればよいか」など、世界中の旅行業界関係者は多くの悩みを抱えている。

そのような背景から、エクスペディア・グループは2021年より「Rev+(レブプラス)」というレベニューマネジメント(収益管理)ツールの開発に力を注いできた。そして、旅行業界全体で適切な収益管理による戦略策定が重要であること、また新たなトレンドを把握し、臨機応変に戦略を変えていくことができる収益管理担当者の柔軟な姿勢こそがポストコロナ時代の勝敗を左右すると呼びかけている。なお、このツールを活用している宿泊施設数を世界の都市別で比較すると、東京は第2位となっている。

これまでも、同社は、Rev+にさまざまな新機能を導入しており、なかでも新機能のマーケット回復状況分析では、グループサイト全体から集めた独自の検索データをもとに、マーケットにおける旅行者の検索行動やマーケットの回復状況の分析結果を提供し、パートナー施設の業績回復をサポートしている。

ほかにも、チャネルマネージャーのプラットフォームがAPIを介して、Rev+のデータを受信可能としたことや、専用のデータサイエンスモデルを用いた分析機能の導入により、最新のマーケット稼働率を把握可能としたことなど、パートナー施設の業務効率の改善や、より迅速な意思決定に貢献している。いずれも宿泊施設を長期的に運営していくために役立つ機能だ。

これらの機能は、世界中のホテルスタッフから評価を得ており、エミフルリゾートのレベニューマネージャーは「この困難な時期に市場の見通しを持つことが重要です。Rev+内の機能であるマーケット回復状況分析は、私のホテルが現在の状況を確認して行動するのに役立ちました。これは積極的な計画を立てるのに役立つ素晴らしいツールです」とコメントを寄せている。また、レゴランド・ジャパン・ホテルの収益セールスマネージャーは「近隣の他の物件がどのように部屋の価格を設定しているかを評価し、価格を調整することができます。たとえば、特定の時間に市場で高すぎるかどうか、またはピーク時に価格が低すぎるかどうかを確認できます。これらの洞察は、収益パフォーマンスの向上に非常に役立ちます」と述べている。

エクスペディア・グループは、今後も適切なソリューションと戦略を用いることで、機会損失の削減と旅行需要の創出を促し、パートナー施設がメリットを感じられる提案をする考えだ。

【ウェブサイト】エクスペディア・グループ
【ウェブサイト】Enhancing Business Skills – Life at Expedia Group Blog

(Livhubニュース編集部)

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明田川蘭

大の旅好き&温泉好き。一人で海外へ、一人で車を走らせて日本の名湯へ。アフリカ大陸と北極南極以外に降り立ち、行った国は30を越え、巡った温泉地は100を超える。沖縄観光メディアの編集者やホテルメディアの立ち上げ経験あり。「旅は人の心を豊かにする」と本気で思い、記事を執筆している。