大阪市は12月20日、「大阪市の住宅宿泊事業に関する考え方について」と題する資料を公開した。その中で、2018年6月に施行を控える住宅宿泊事業法施行に向けた「大阪市で定めるルール(案)」においては「区域と期間の制限を行わない」ことを発表した。大阪市の独自ルール案は「近隣住民への周知」と「住宅宿泊事業の届出と特区民泊の認定申請は重複できない」という2点だ。
そのうえで「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の厳守を訴えた。民泊新法では、民泊事業を開始する際の届出や、衛生確保措置・騒音防止・苦情対応等の近隣住民への配慮など、違法民泊(ヤミ民泊)ではない適正な運営を行うために必要な内容が記載されている。
現在、大阪市内では民泊施設が急増しており、民泊仲介サイトには大阪市内の民泊物件が1万室以上掲載されている。一方で施設の大半は、特区民泊として認定を得ていないヤミ民泊(違法民泊)だ。同市は2016年10月31日より「違法民泊通報窓口」を設置しているが、1年間で約3,700施設分もの情報が寄せられているという。一部の民泊施設では、宿泊ゲストが安全かつ安心に過ごすための措置が不十分であると同時に、騒音やごみ処理等の対策もなされず近隣住民の生活環境の悪化も懸念されている。こうした背景から大阪市は「ヤミ民泊」への指導を強化し「適法民泊」へ積極的に誘導する構えだ。
全国では、学校周辺や住宅街での営業日の制限や、家主不在型の場合は管理者を常駐させるなど、細かな条例案が公表される中、大阪市では民泊新法を基準としてヤミ民泊への指導を行い、市民の快適な生活環境と宿泊ゲストの安心かつ安全な環境を整えていく。これにより、国内外から大阪を訪れる観光客と市民との交流を促し、地域活性化を目指す。
大阪市は今回公表した「大阪市の住宅宿泊事業に関する考え方について」に対するパブリックコメントを12月20日(水)から2018年1月10日(水)まで募集する。その後、2018年1月中にパブリックコメントを発表し、意見を取りまとめたのち、2月に予定されている大阪市会に条例案を提出予定だ。
【参照ページ】 大阪市の住宅宿泊事業に関する考え方に対するパブリック・コメントを実施します
【関連ページ】大阪府の民泊・旅館業簡易宿所・特区民泊に関する条例・法規制
(Livhubニュース編集部)


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