AirbnbやUberに対して寛容な態度を。EUがガイドライン公表により加盟各国へ働きかけ

欧州連合(以下、EU)は6月2日、加盟各国に対してAirbnbやUberのようなシェアリングエコノミー型のサービスに対してより寛容な姿勢を示すように求めるガイドラインを公表した。

今回公表されたガイドラインの中で、EUはシェアリングエコノミー型ビジネスの禁止はあくまで最終的な手段とすることを求めており、「完全に禁止することは、他に公共の利益を守るための策が一切存在しない場合のみにすべきだ」と明記した。

具体的には、地元企業や既存産業のビジネス保護の観点から即座にシェアリングエコミー型ビジネスを禁止するのではなく、例えばAirbnbであればまずは年間宿泊日数を制限するなどの策を講じるなど、段階的に進めることを求めている。

ヨーロッパでは、AirbnbやUberなどの新興サービスが既存のタクシー業界やホテル産業に大きなダメージを与えるとの懸念から、これらのサービスに対する厳しい措置を講じる自治体の動きが増えていた。

昨年にはフランス当局が違法にサービスを提供していたとしてUberPOPを業務停止とし、Uberの役員二名を逮捕したほか、Airbnbも賃料高騰の原因になっているとしてパリやバルセロナなどの都市で厳しい批判にさらされていた。ドイツのベルリンでも5月からアパートの民泊禁止令が施行されたばかりだ。

今回公表されたものはあくまでEUとしての指針であり、法的な拘束力はないものの、EUとしてAirbnbやUberなどのシェアリングエコノミー型ビジネスを歓迎する方向性を明確に示したことで、今後はこれらのビジネスに対する風当たりは改善することが見込まれる。

EUがシェアリングエコノミーを推進する背景には、それらのビジネスがもたらす経済への好影響がある。EUによると、シェアリングエコノミープラットフォームやサービス事業者が2015年にEU内で生み出した総売上は推定280億ユーロ(約3.4兆円)にも上るとのことだ。

日本と同様、ヨーロッパにおいても都市部の賃料の大幅な高騰や既存のホテル産業への悪影響などを理由にAirbnbに対して批判的なスタンスを示している自治体や市民も決して少なくないが、EU全体としてシェアリングエコノミーに対するスタンスの足並みを揃えることで、それらのデメリットを上回る大きな経済効果や社会的メリットが生まれる可能性もある。

今回のガイドライン公表を受けて、加盟各国がAirbnbなどのホームシェアリングサービスに対してどのような姿勢を示していくのか、今後の動きに引き続き注目したいところだ。

【参照プレスリリース】A European agenda for the collaborative economy
【参照記事】EU advises members to be more friendly with Uber and Airbnb

(Livhub ニュース編集部)

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