江戸時代に東海道川崎宿として栄えた地に2020年8月に誕生した「ホテル縁道」が、歴史と現代を紡ぎ地域の観光を盛り上げ、未来の宿を作っていきたいという想いから、このたび館内に数々の現代アートの設置をはじめた。
ホテル縁道は江戸時代、東海道五十三次の2番目の宿場町である川崎宿から、総鎮守である稲毛神社に向かう参道だった場所に位置する。かつて旅人と参詣の町人が行き交い、さまざまな「縁」を育む場所であったと考えられることから「縁道」と名付けられたこのホテルの館内には、地域の人も利用でき、交流できる「縁道食堂」を併設している。
今回館内を彩るアート作品で象徴的なのは、エントランスに描かれたインパクトある金魚の絵画だ。これは、TENGU WORKSを主宰するデザイナー、ペインターの若狭悠輝氏が大きな壁面に約10日かけて直接描いた作品で、「鯉に羽根が生えて天に昇って龍になる」という古代中国の伝説(登竜門)を元にしている。
縁起物として、”鯉の滝昇り”を縁道らしく解釈して、日本人にも馴染みのある金魚をモチーフにデザイン。また、縁道のロゴにもある蜻蛉や、銀杏などが壁画全体を賑やかに引き立て、背景を流れる水によって、水中と空中がミックスされた夢の中のような世界に仕上げている。
また、東海道川崎宿をコンセプトにしたシンプルな作りの客室内にも、さまざまなアートを設置した。エントランスの壁画とリンクする、四曲一隻の立体的金魚図「kingyo」や、東海道にも縁のある鶴屋と亀屋を表現した「Tsuru/Kame」などが飾られている。
また、世界で最も有名な浮世絵である「神奈川沖浪裏」を現代風にドットで再構築した「川崎沖浪裏」や、数多くの浮世絵に描かれてきた富士山を題材にした作品「逆さ富士」、そして、川崎の象徴とも言える工場地帯をモザイク表現した現代らしい作品も置かれている。
ホテル縁道は、アートを通じて歴史や文化を楽しみ、お客様の笑顔につながればと願う。また、これからも川崎宿の歴史を大事にし、地域の日常こそが誇るべき観光資源と考え、旅人と地域の日常が交差したさまざまな「縁」が生まれる宿を目指す。
【ウェブサイト】ホテル縁道
【ウェブサイト】TENGUWORKS
(Livhubニュース編集部)
明田川蘭
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