米民泊サイト大手のAirbnbは12月1日、同社のヨーロッパにおける主要な市場である英国ロンドンおよびオランダのアムステルダムにおいて、民泊ホストらに対して部屋の貸し出し日数を制限する方針を公表した。
今後、ロンドンは年間90日まで、アムステルダムでは年間60日がそれぞれ民泊の貸し出し日数の上限となる。上限日数を超えるとAirbnbホストはシステムで自動的に制限がかけられ、それ以上の部屋の貸し出しができなくなる。ロンドンでは来年春から、アムステルダムでは来年1月からそれぞれ適用予定だ。
ロンドンは世界のシェアリングエコノミーを牽引する都市でもあり、Airbnbとも健全なホームシェアリングの推進に向けて長らく協働を重ねてきた。Airbnbによると、ロンドンの典型的なホストは年間50泊を貸し出しており、3,500ユーロを稼いでいるという。昨年ロンドンにもたらした経済効果は13億ユーロに及ぶとのことだ。
一方のアムステルダムも、シェアリングエコノミーにおいては ロンドンと同様に先進的な取り組みで知られている。同市はヨーロッパの中でも他都市に先駆けてAirbnbとの協働を開始し、宿泊税の徴収なども含めて積極的なホームシェアリング推進政策を進めてきた。Airbnbによると、アムステルダムの典型的なホストは年間28泊を貸し出しており、3,800ユーロを稼いでいるという。昨年は同市内で3億8000万ユーロを経済効果を生み出したとのことだ。
Airbnbが自治体との協働を進める背景には、ロンドンやアムステルダムなどの大都市では民泊の普及により通常の賃貸物件の供給量が減少し、賃料価格が高騰したことで地元の人々が部屋を借りられなくなっているという批判がある。持続可能な形でホームシェアリングという文化を根付かせ、ローカルの経済にポジティブなインパクトをもたらすためには、地元に暮らす人々と民泊という新たな宿泊スタイルとが共存し、互いに利益をもたらすシステムを作ることが必要不可欠だ。
今回ロンドンとアムステルダムという主要な都市において、Airbnbが違法民泊の撲滅および責任あるホームシェアリングの推進に向けて自治体と自ら積極的に協働し、具体的なルールの制定という成果を出した意義は大きい。
現在Airbnbは世界中の都市でホームシェアリングの適正なルール作りにむけて自治体との調整や協働を進めているが、今後はこの2都市における取り組みやルールがモデルケースとなる可能性もある。
Airbnbが日本でも同様の方針を適用するかどうかは不透明だが、民泊新法が制定され、具体的に年間の営業日数上限が定められたタイミングであれば、同じ取り組みを展開する可能性は十分にありそうだ。引き続き世界各地におけるAirbnbの取り組みに注目したい。
【参照サイト】Making London Better for Everyone
【参照サイト】Airbnb and Amsterdam continue pioneering collaboration
【参照サイト】Amsterdam and Airbnb announce new unique agreement
(Livhubニュース編集部)
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