沖縄県那覇市は5月9日の市議会において、6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)に関する条例案を可決した。
県条例では住居専用地域(第1種・第2種低層住居専用地域、第1種・第2種中高層住居専用地域)での年間営業日数を約110日としているが、市条例ではさらに区域を拡大し制限を設けた。
市条例では、第1種住居地域で営業する管理業者かけつけ型の「家主不在型」民泊は、日曜日正午から金曜日正午までを不可とし、年間約110日を営業可能とした。一方、同地域の「家主居住型」民泊は、営業日数を年間180日とした。
また、県条例では学校周辺の制限を学校の敷地周辺100メートルとしているが、市条例では文教地区まで適用範囲を広げ、営業可能日数を学校の休業日を除く年間約120日とした。
条例の可決にともない提出された附帯決議には「実施要綱の1日も早い策定」「関係機関との連携体制の強化」「事業者と管理業者に対し、ごみ出し問題等の市民生活に関わる発生を防ぐ仕組みの構築、発生した際の適切な対応の確立、市民への周知徹底」「民泊事業の状況を毎年度調査および検証し、議会と市民に公開すること」の4点が記された。
2017年に行われた市の調査では、那覇市内の民泊施設数は622件あり、うち所在地を特定できたのは399件だった。地域別でみると、那覇中央地域の301件がもっとも多く、那覇北地域100件、那覇西地域92件と続いており、宿泊・商業施設の多いエリアへ集中していた。
エリア別の民泊の特徴として、那覇中央地域や那覇西地域はゲストハウスをはじめとして旅館業の許可を得ている合法民泊の割合が高く、仲介サイトに看板写真や屋号を公開しているケースが多いことから特定がしやすかった。しかし、住居専用地域が大半を占める地域では周辺写真等の手がかりが少なく、約7割の物件の所在が確認できなかった。
かねて市は「住民の安全・安心な生活環境の保全」と「多様化するツーリズムスタイルへの対応」の両立を目指すとしており、運営元不明のヤミ民泊等により地域住民の安全が脅かされないようにすることと、国内でも屈指の観光地である沖縄・那覇市内のインバウンド観光需要の双方を考慮した形となった。
【参考ページ】那覇市民泊施設実態調査報告書
【参考ページ】「議案第75号 那覇市住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例制定について」に対する附帯決議
【参考ページ】沖縄県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例の概要
【参照ページ】那覇、民泊条例を可決 来月15日施行 県より規制拡大
【関連ページ】沖縄県那覇市の民泊・旅館業簡易宿所に関する条例・法律・規制
(Livhubニュース編集部)
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