大阪府は4月8日、国家戦略特区の「特区民泊」制度を活用した規制緩和の一環として、大阪府大東市内にあるマンションの1室を初めて「民泊」施設に認定した。今月1日から施行された大阪府の条例に基づく認定民泊物件としては1例目となり、同様の条例に基づく事例としては東京都大田区に続き2例目となる。
今回特区民泊として認定されたのは、JR学研都市線住道駅から徒歩3分の立地にある物件で、とまれる株式会社が運営する。間取りは26㎡の1Kで、生活に必要なものは全て取り揃えており、中長期の滞在に快適な宿泊体験を提供するという。同社が運営する民泊サイト、STAYJAPAN上で既に宿泊募集は開始されている。
なお、大阪府によると、4月の認定受付開始以降で同日までに申請があったのはこの1件にとどまっているという。大阪府の「特区民泊」認定を受けるためには東京都大田区同様、6泊7日以上の滞在や周辺住民への周知などが条件になっており、こうした許認可のための条件がハードルとなり、申請件数が伸び悩んでいるのが現状だ。
この状況を受けて、大阪府の松井一郎知事は「宿泊者のニーズが合っていない」として石破茂戦略特区担当相に制度見直しを申し入れる意向だという。
政府は特区民泊とは別に、4月1日から改正旅館業法による「簡易宿所」の枠組みを活用した民泊規制緩和を開始している。規制緩和を受けて、既に一部の自治体では自主的な民泊ガイドラインを策定するなどの動きが出てきているものの、多くの自治体は東京都大田区や大阪府といった特区民泊の事例などを見ながら慎重な検討を進めている段階だ。
特区民泊の仕組みも、簡易宿所の枠組みを活用した規制緩和も、いずれも合法民泊普及のハードルとなっていいるのはその行政手続きや許認可要件のハードルの高さにある。民泊の規制緩和においては地域住民への配慮やセキュリティリスクなど解決すべき課題は多いものの、一方でそれらのリスクを考慮するために要件を厳しくすると、制度を活用する事業者がいなくなり、結果として制度そのものが形骸化し、意味がなくなってしまう。実際に民泊で日本を訪れている外国人観光客のニーズと、民泊が抱える様々なリスクとのバランスをどのように調整するかが引き続き一番の課題となりそうだ。
【参照リリース】とまれる㈱、大阪府特区民泊の第1号認定を取得! 宿泊予約の受け付けを4月8日から開始しました
(Livhub ニュース編集部)
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