観光庁、住宅宿泊事業法ガイドライン公表。自治体の過度な上乗せ規制を牽制

観光庁は12月26日、2018年6月に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)について策定した施行要領(ガイドライン)を発表した。民泊新法は全国的に一定のルールを作ることで、健全な民泊サービスの普及を図ることを目的としており、ガイドラインでは法にかかわる解釈や留意事項等を取りまとめている。

内容は「住宅宿泊事業関係」「住宅宿泊管理業関係」「住宅宿泊仲介業関係」「その他」を対象として構成され、具体的に届出添付書類や本人確認の方法、条例制限についての考え方、管理業・仲介業の登録要件等の内容を記載している。

なかでも法第18条に関する条例について、「0日規制」は法の目的を逸脱するものであり適切ではないという考えを示した。0日規制とは、条例によって上限日数を「0日」とし民泊営業を全面禁止とすることだ。ガイドラインでは同法の解釈として、合理的と認められる場合には民泊の実施を制限できるが、事業の実施そのものを制限するような過度な制限を課すべきではないと言及している。

また文教地域や道路・公共交通の整備が十分に行われていないエリア、住居専用地域において区域制限を行う場合、生活環境にもたらす影響等についてきめ細やかな検討を行ったうえで判断する等、適切な制限を実施するよう促している。

現在、民泊新法施行へ向け全国の各自治体は独自の条例案を公表している。ほとんどは文教地域や住居専用地域での営業を平日のみ制限するといった内容だが、なかには東京都中央区が公表した、全区域を対象とし期間を月曜日の正午から土曜日の正午までとする条例案のように、今回発表されたガイドラインと照らし合わせると国と自治体の方針に齟齬がみられるケースもある。

多くの自治体は2018年2月の議会に条例案を提出し、3月より民泊事業の届出受付を開始する運びだ。今後、各地域の民泊条例内容がどのような形で固まっていくのか注目したい。

【参照ページ】「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」を策定