民泊サイト世界最大手Airbnbは9月7日、同社のプラットフォーム上に物件を掲載している米国内のホストを対象に、清掃スタッフに対して最低限の生活に必要な賃金(リビングウェイジ:生活賃金)を支払っていることを宣言し、ゲストにアピールできる「リビングウェイジ宣言」の機能を開始すると発表した。
これはAirbnbのコミュニティを陰で支えている数多くの清掃スタッフへの敬意と尊厳を表するもので、今後、ホストは自身の物件に「リビングウェイジ宣言」のバッジを表示できるようになる。
AirbnbのCEOを務めるBrian Chesky氏は今年のはじめにホストやゲスト等のコミュニティを支援し、全ての人に新たな経済的機会を提供するための一連の行動計画Economic Empowerment Agendaを発表していたが、今回の「リビングウェイジ宣言」はその取り組みをさらに前進させるものとなる。
Airbnbは、今回のリビングウェイジの在り方について全米の清掃スタッフ、ベビーシッター、家政婦など家庭内労働者の主要団体である「全米家庭内労働者連盟(NDWA)」の基準を参照している。NDWAは、自営業の清掃スタッフの場合は1時間に少なくとも25ドル、会社従業員の清掃スタッフの場合は少なくとも1時間15ドルの生活賃金を支払うことを推奨している。
民泊ホストが成功を収める上で、清潔で快適な家にゲストが滞在できるようにすることはとても重要な要素の一つであり、清掃スタッフが果たす役割は大きい。だからこそ、清掃スタッフに対しても適正な賃金を支払い、Airbnbがもたらす経済的機会をよりインクルーシブなものにしていこうという狙いがある。
Airbnbの調査よると、米国のホストは自宅のシェアリングにより年間約6,100ドル(約66万円)の収入を得ており、アメリカのホストの62%が自宅をシェアすることで家を維持する余裕ができたと答えている。また、12%の人が自宅を追放または差し押さえから救うのに役立っていると答えている。「リビングウェイジ宣言」バッジは、それらの経済機会を清掃スタッフにも公平に届けるための手段でもある。
ホームシェアリングを通じてより多くの人々やコミュニティに経済的・社会的利益をもたらすことを目指しているAirbnbにとって、今回の「リビングウェイジ宣言」は同社の理念実現に向けた大きな一歩となる。また、Airbnbは2020年までに同社の事業に携わっている請負業者やベンダー全員に少なくとも時給15ドルを支払うことも約束している。
Airbnbを利用するゲストにとっても、自分の宿泊体験がホストだけではなくその部屋の清掃スタッフや地域コミュニティにまで利益をもたらしていると知ることは嬉しいことに違いない。同様の動きが世界中に広がっていくことを期待したいところだ。
【参照サイト】Introducing the Living Wage Pledge
【参照サイト】Airbnbのリビングウェイジ宣言とは?
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