全国に先駆けて民泊条例を施行した東京都大田区で1月25日、第8回目となる都市再生分科会が開催された。その中で、国家戦略特区ワーキンググループから「管理規約と特区民泊」に関する資料が提出され、「特区民泊は一般的な分譲マンションの管理規約に抵触するのか?」という議論に対する政府内の最新見解が示されている。
分科会の中で、国家戦略特区ワーキンググループの座長を務める八田氏は、分譲マンションの管理規約と特区民泊に関する政府内の検討状況に関する不正確な報道による混乱を防ぐため、区域会議として下記内容を周知徹底することを求めた。
- 特区民泊は一般的な管理規約(「専ら住宅として使用」条項)に抵触する」との趣旨の報道が一部でなされているが、政府がこうした内容の通達を出した事実はない。
- 従来は1ヶ月未満の借家契約(民泊)は旅館業法の規制対象下にあったが、特区においては一定の要件を満たす民泊(特区民泊)は旅館業法の適用除外となった。
- 旅館業法の適用除外により特区内では合法的に民泊事業ができるようになったが、各分譲マンションの住民らが管理規約を改正し、民泊を禁止することはできる。東京有明のマンションでは実際に改正している事例もある。
- 特区民泊は、近隣住民への周知や苦情相談窓口の設置、ゴミ出し・騒音などに係る利用者への徹底など、一定の基準を満たした事業者に対して自治体が個別に認定を行う制度で、事業者認定を取り消すこともできる。そもそも住民の平穏な生活を守ることに配慮して作られた制度であり、管理規約改正を検討する際にはこの制度の内容を踏まえて検討することを推奨する。
また、上記に加えて国家戦略特区ワーキンググループの原委員は、一般的なマンションの管理規約には「専ら住宅として使用」するという条項が含まれており、この条項が「民泊」は規約違反という捉え方を生んでいるが、この捉え方は行政としては筋違いだと説明した。
同氏はその理由について、旅館と不動産契約との線引きは従来制度だと「1ヶ月以上なのかどうか」という点がポイントになるが、特区の場合はそもそも特例を設けて7日~10日以上の不動産契約については旅館ではなく(旅館業法の適用除外とする)不動産の賃貸契約とする、という整理をしたためだと説明した。
さらに同氏は、「専ら住宅として使用」という点を突き詰めると、現状一般的に行われている分譲マンションにおける法人登記や事務所兼用もだめになるという議論につながるとして、あくまで政府としては特区民泊は「専ら住宅として使用」という一般的な規約に抵触せず、民泊を禁止したい場合は管理規約の改正による対応が望ましいとの見解を持っていることを明らかにした。
【参照ページ】東京都 都市再生分科会(第8回)議事要旨
(Livhub ニュース編集部)
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