Airbnbは9月23日、オーシャン・コンサーバンシーと「南極研究の旅」を共催することを発表した。2019年12月に行われる南極科学者であるKirstie Jones-Williams(キースティー・ジョーンズ=ウィリアムズ)氏が率いる科学調査ミッションを支えるためのボランティア5名を一般公募で募る。ボランティア活動の参加者は市民科学者として雪のサンプルを採取し、マイクロプラスチックが南極内陸部の氷雪にどこまで浸透しているのかを調査する。
南極研究の旅では、世界でもっとも未解明な部分が多く、もっとも隔離された生態系に人類がもたらす影響への理解を深め、人々の意識を高めることを目的としている。ボランティアで参加する市民科学者が世界のどこかで発生したプラスチック汚染の影響を解明することで、グローバルコミュニティとしての人類が南極と地球を守るためにできることを知らせ、具体性を与えてくれるだろうとAirbnbは述べている。
ボランティアの市民科学者は遠征する1か月間で以下の内容に取り組む。まず、チリのプンタ・アレーナスで実践トレーニングに参加する。氷河学の授業を受け、現地でのサンプル採集を練習し、研究室での作業や各種機器の扱い方を学ぶ。そして、南極に移動し、科学調査ミッションを開始する。飛行機が着陸するのは、南極内陸部にある自然が生んだブルーアイス上の滑走路で、調査もここで行われる。
その後、南極内陸部の雪を採取し、異物であるマイクロファイバーが混入していないか調べ、廃棄物や汚染が世界中をめぐってどこまで到達したかを把握する。さらに、わずか数歩で地球を一周できる南極点を訪問した後、ドレーク氷瀑、チャールズピーク、エレファントヘッドなどの絶景を回って、南極大陸の地理を学ぶ。
チリに戻った後は、南極遠征の研究成果をさらに掘り下げ、オーシャン・コンサーバンシーと共同作業をしながら海洋保護のアンバサダーとなるスキルを身につける。この任務では、プラスチックごみが地球の環境に及ぼす影響を最小限に止めるために、Airbnbコミュニティと一般市民ができることを広め、オーシャン・コンサーバンシーのミッションを支えていく。
南極科学者のジョーンズ=ウィリアムズ氏は「南極と言えば、けがれなき最果ての地のイメージがありますが、近年はそんなところにまでプラスチック汚染の影響が及んでいることを示す証拠があります。今回の遠征は、マイクロプラスチックが南極のような遠隔地に到達する過程の解明に役立ちます。自然を守るため、人類の責任を今こそ問うべきです」と説明する。そして、「遠征は極寒の地で科学的に厳密な精度が求められ、過酷な作業に携わることが予想されます。地球に暮らす一員として強い意識があり、チームの一員であることに喜びを感じ、帰国後も成果を世界中に広めてくれる、やる気に溢れる人を探しています」とコメントしている。
Airbnbは、旅のあらゆるシーンで持続可能な旅のスタイルの選択を提供することを責務と考えており、今回はその責務をさらに前進させるべく、オーシャン・コンサーバンシーとの協業により、南極研究の旅で得た成果を活かす教育活動や環境保護活動に努めるとしている。また、Airbnbは、人類が環境にもたらす影響を評価・把握し、環境負荷を軽減するためにできる対策を特定するため、環境影響アセスメントも実施していることから、これらの取り組みにより、今後のコミットメントとビジョンを見据え、持続可能な旅のリーダーになることを目指すと表明している。
一方、Airbnbと協業するオーシャン・コンサーバンシーのCEOであるJanis Searles Jones(ジャニス・サールズ・ジョーンズ)氏は「南極研究の旅でAirbnbと提携できたことは、海洋プラスチック汚染と戦う活動を続け、この問題に対する一般の認識を高めるための素晴らしい機会です。国際海岸クリーンアップキャンペーンでは例年、ボランティアのみなさんが世界中の海岸や川でゴミを拾ってくれるのみならず、拾ったゴミの全内訳まで世界共通のデータベースに入力してくださっています。このようにオーシャン・コンサーバンシーは市民科学者の方々と協力してきた長年の実績がありますので、今回の遠征の成果も世界規模の解決策に活かせるのではないかと今から楽しみでなりません。」とコメントしている。
Airbnbは、2018年にAirbnbを利用したゲストの64%が「個人宅の空いているお部屋を有効活用」することが環境的に持続可能な旅の選択肢だからという理由でAirbnbを選んでおり、のべ500万人以上のゲストが2018年8月以降Airbnbに掲載されている環境にやさしいリスティング(宿泊施設)に宿泊したという。また、できるだけ環境に負荷を与えない努力をしているホストの割合は88%、持続可能なエコ体験への予約数は前年比196%増とするデータも公表した。
Airbnbの公共政策責任者のクリス・レヘイン氏は「Airbnbはオーシャン・コンサーバンシーと力を合わせ、マイクロプラスチックが環境にもたらす問題に着目し、私たちの生き方が地球環境にどのような影響を及ぼすかについて、世界中の人々に一丸となって考えることを呼びかけます。すでに建てられた空間を利用するAirbnbは、ほかの旅行の仕方よりもはるかにエコフレンドリーですが、人間が環境にもたらす負荷をどのように減らすかについて私たちは模索しなければなりません。まだまだ課題はたくさんありますが、少しずつ取り組んでいきたいと思います。」とコメントしている。
Airbnbは6月から8月までの3か月にわたり、イタリアのNGO「Wonder Grottole(ワンダー・グロットレ)」との協業により地方再生プロジェクト「イタリア、サバティカル休暇の旅」を実施した。この旅では存亡の危機に瀕する南イタリアの歴史ある村グロットレに5人のボランティアが住み、村の活性化を支援している。
「サバティカル休暇」とは海外の先進諸国で導入が進んでいる最低一か月以上の連続休暇取得制度のことで国内でも注目されている。今回の「南極研究の旅」は、グロットレでの旅に続くシリーズ第2弾として行われる。Airbnbはサバティカルの旅のプログラムの実施により、参加者が有給休暇を活用し、人々や社会に恩返しする活動に取り組むことで、人生に変容をもたらす体験を促すことを目指す。
【申し込みページ】Airbnb&オーシャン・コンサーバンシー企画 南極研究の旅 最果ての地、南極へかつてない調査研究の旅に出よう(2019年10月8日23:59(東部夏時間)締切)
【ウェブサイト】Ocean Conservancy
【関連ページ】Airbnb(エアビーアンドビー)
(Livhubニュース編集部)
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