民泊仲介サイト世界最大手のAirbnbが、来年施行予定の住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)にあわせて、日本においても違法な民泊運用の撲滅に向けた本格的な対策を講じることが明らかになった。毎日新聞が報じている。
同紙の報道によると、Airbnbは新規に民泊事業者をサイトに登録する際、その登録情報を都道府県に提供し、届出があるかどうかを確認、届出がない違法な民泊を無くす方針だという。また、既にAirbnb上に掲載している事業者に対しても届出を促し、一定期間経過しても届出がない場合はサイト掲載の中止も検討するという。これにより、届け出をしない違法な民泊ホストはAirbnbを活用した集客をすることはできなくなることが想定される。
来年に民泊新法が施行されると、部屋を民泊として貸し出すホストは住宅宿泊事業者として各都道府県知事(保健所を設置している市はその首長)への届け出が義務化される。
Airbnbは民泊新法への対応策として、新法下で定められる年間180日という営業日数制限に応じて、制限を超過したリスティングの掲載を自動的に落とすシステムを導入する方針であることを公表していた(参考記事「Airbnb、民泊新法に対応した運営対策開始へ。システムで自動的に「年間営業日数制限180日」等を管理」)が、この対応だけでは民泊ホストはAirbnb以外の民泊仲介サイトを利用すれば180日以上の営業ができることになり、対応としては不十分という見方もあった。しかし、都道府県への届出と物件を照合することで違法な民泊物件そのものを特定することになれば、違法民泊の撲滅に向けて大きな効果が生まれると考えられる。
民泊新法下では、Airbnbら民泊仲介サイトも「住宅宿泊仲介業者」として登録する義務があり、違法な民泊を仲介することは観光庁から業務停止などの処分を受けるリスクにもつながる。Airbnbに続いて各民泊仲介サイトも同様の対応を進めていくことで、届け出をしていない違法な民泊ホストは本格的に市場から締め出されることになりそうだ。
現状では、民泊を合法で運用する場合、イベント民泊や農泊などを除けば基本的には旅館業法簡易宿所の許認可を取得するか、特区民泊の仕組みを活用するかの2つの選択肢に絞られる。これらの許認可取得には法的ハードルに加えてコストもかかるものの、新法施行により違法な民泊物件が一掃されれば、現状ある民泊物件の供給数は急激に減ることが予想されるため、違法民泊が取り込んでいた宿泊需要が一気に合法物件へと流れ込み、合法の民泊事業者にとっては大きなチャンスが訪れるはずだ。
【登録ページ】Airbnbへのホスト登録・物件掲載
【参照記事】民泊仲介サイト世界最大手、都道府県に登録情報提供へ
【参照記事】民泊新法(住宅宿泊事業法)とは?
(Livhub ニュース編集部)
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