タイ・チェンマイで、私が通う愛おしきローカルなお店たち

旅でもノマドライフでも日常生活でも、私がいつもするのは「同じ場所に通う」こと。

同じ店に通い、「馴染みの客」になることで、気づけば彼らのオフの時間を一緒に過ごしたり、おうちにお邪魔したりと、客と店員という垣根を超えた付き合いを世界中で幾度となく経験してきた。

右も左もわからない、友人も知人もいない地でさえ、そうやって人々の懐に飛び込むことができれば、気づけばひとりになることさえ難しくなる。

今回は現在私が滞在中のタイ・チェンマイで通う、「愛おしいローカルなお店」を3つ紹介。この店たちのおかげで、チェンマイはもうすでに私にとってホームのような場所となっている。

「いつもの場所」のある旅を
愛しのローカル店

「いつものところ」はできるだけ近場がいい。店の扉を開けるより、通い続ける方がハードルは高いものだから…。遠いといつの間にか行かなくなることも多いのだ。

また通う店を決めるときは、第一印象が全てではない。ひとめぼれして通い「いつものところ」になることもあるけれど、最初はそうでもなかったけれど、利便性(近いとかコスパとか)から通い続けるうち、気づけばなくてはならない存在になっていることも多い。

実際に、今回紹介するスポットのひとつも、最初の印象はあまりワクワクしたものではなかった。でも、ある理由でそこに通い続けるうち、今ではスタッフの身の上話を聞く関係にまで進展しているのだから、やはり第一印象はそこまで重要ではない。

なんか違う?と最初は感じた場所でも、毎日通うことで素っ気ない表情に笑顔がにじみ始める。その瞬間、心が開かれ、思う。「また来よう」。そして、気づけば常連になっているのだ…。

01:いつもの執筆カフェ「Ombra3」

愛しのローカル店世界一深刻な空気汚染のシーズン中に、空気清浄機があるカフェとして通い始めた一軒。ノマドカフェとして人気の「Ombra3」が、滞在先から目と鼻の先だったことは、本当にツイていたと思う。

チェンマイに来た当初、外に出るのが危険なレベルでPM2.5が空気中に充満していたけれど、滞在している部屋には空気清浄機がなかったし、いくらフリーのライターとはいえ、ひとりで部屋にずっとこもっているにも限界があった。

このカフェに初めて訪れたときは、店内はデジタルノマドたちで埋まっていた。誰もが私と同じ思いだったのだと思う。でも、混んでいるからゆっくり過ごせる席はないし、忙しさからか店員さんも素っ気なく感じた。

しかし2度、3度と通ううち、毎日店に立つ髪の毛に入れた赤いインナーカラーがトレードマークの女の子と話すようになった。私のドリンク、「ホット、オーツミルクラテ」をいち早く覚えてくれたのも彼女。その瞬間、自分が「馴染の客」になったことを実感した。

ちょうどソンクラーンというタイの旧正月を祝うお祭りの時期で、私たちはそれをきっかけに話すようになった気がする。「昨日はどこ行った?」「私は音楽聞きに行ったよ!」という風に。

彼女の名前を聞いたのは、それでもずいぶん後だった。「ポピーだよ、花の」と教えてくれた。

ポピーが淹れてくれる一杯を楽しみに

ラテアートもお手の物。こちらは「タイティーラテ」

ポピーとはソンクラーン以降、よりたくさん話すようになる。特に、私がタイ語を学びはじめると、いつも忍耐強く話し相手になってくれた。来た当初は、本当に簡単な5つくらいの言葉しか知らなかったのに、今ではタイ語で注文できるようになった。少し話すだけでその何倍も褒めてくれるから、もっと話したいとなる。彼女とのおしゃべりは、いい刺激になった。

そしてここは私にとってタイ語のレッスン場、だけでなく、執筆カフェだ。今もオーツミルクラテを飲み、「Ombra3」でこのコラムを書いている。安心して過ごせる場所では、心地よく集中できる。この場所があって本当に良かった…!

Ombra 3
住所:Ombra Caffe ช้างเผือก 3/1 เมือง Chiang Mai 50300
地図:https://goo.gl/maps/9Pq92puVMkLiioyg6

02:ジブリの世界観に浸る「Hang and Craft」

愛しのローカル店通称「オシャレ通り」、人々が多く行き交うニマンヘミン界隈にあるのに、ここだけ別の空気が流れているようで、最初はその存在に気がつかなかった。

「Hang and Craft」には一瞬で恋に落ちた。木々が覆う外観、店名の通り工房と一体化した広々としたカフェは、木や石など自然の素材がふんだんに使われている。好みのど真ん中、心掴まれるとはまさにこのこと…。

愛しのローカル店

クラフト工房で作られたものは購入も可能

愛しのローカル店

焙煎機が見えるテーブル席がお気に入り

メニューはそこまで多くない。一通りのカフェドリンクと、数種類のケーキがショーケースに並んでいる。でもノマド利用の私にとっては、それで十分。コーヒー一杯、ときに二杯頼んで、数時間を過ごす。

座るのはいつも決まって、店の端にある2名がけのテーブル席か、カウンターの右端。どちらもコンセントが使えるのが大きな理由だけど、ひとりで作業をするのに、落ち着くというのもポイントだ。これほど素敵なのに、そこまで混んでいないのもとてもいい。

初めて訪れたときジブリのBGMがかかり、それらの音楽があまりにカフェの世界観に溶け込むようで、その瞬間お気に入りに確定した。またあるときは、カウンターの席からリスや小鳥が遊びに来たのが見えて、目の前が楽園になった。

愛しのローカル店

なめらかな舌触りのフォームがたっぷり乗ったデザート系ドリンク

そしてここではコーヒーを頼むと「ミディアムロースト」か「ダークロースト」か選べるのだけれど、そのやり取りを数回したら、スタッフの女の子が覚えてくれるように。控えめなのだけれど、いつも笑顔で心を通わせられる接客に、密かに癒されている。

そんな小さなエピソードがいちいちときめいている。「Hang and Craft」に通いたい理由は、それで十分だろう。

Hang and Craft
住所:9 นิมมานเหมินทร์ ซอย 11 ถนน สุเทพ เมือง Chiang Mai 50200
公式FB:https://www.facebook.com/hangandcraft/

03:私の台所「imjai Vegan」
愛しのローカル店

タイにはキッチンのある家が少なく、あっても簡易的なものが多いことから、自炊よりも外食の方がまだまだ主流であることがわかる。

ノマド暮らしも同様のキッチン仕様なので、毎食をその都度考えなくていいように、お気に入りをいくつかリスト化してそのときの気分で選んでいる。そのひとつが、数日に一食は食べているこちら。チェンマイで私の胃袋を満たす場所、「台所」とも呼んでいる「imjai vegan」だ。

ファンシーさはなく、地元の人がよく食べるご飯の上にできあいのおかずを数品乗せた「ぶっかけご飯」のヴィーガン版が主なメニュー。そして、私はそれがとても気に入っている。

愛しのローカル店

玄米ご飯に3品乗せて55THB(約220円)

このお店は、チェンマイのショッピングモール「MAYA」の地下のフードコートにも店舗を持っていて、最初はそこで知った。店員さんの物腰の柔らかさや、素朴な味わいが気に入り、ちょくちょく食べていたのだけれど、その後、その店員さんの妹さんがお店を切り盛りしているこの路面店を知り、通うようになった。

私が日本人であることを知り、彼女の知っている日本語で話しかけてくれる。私も習いたてのタイ語で彼女に話し、私のここでの食事は、にわか言語エクスチェンジのようになっている。

彼女、スマイルによるとお客さんの30%は日本人だというから驚いた。日本でヴィーガンにはあまり出会わないけれど、自然派の食事が楽しめるという触れ込みのあるチェンマイには、ヴィーガンが集まるということか…。彼女の片言の日本語は、彼らとのやり取りの成果だそう。

こちらのぶっかけご飯では玄米が選べること、そしてMSG(グルタミン酸ナトリウム)が不使用なのも日常ご飯としては本当にありがたい。

また「imjai vegan」では、「ぶっかけご飯」以外にも麺類のメニューもあり、こちらは頼んでから用意してくれるのも気に入って、3種類の麺メニューをローテーションしている。そして「味付けが濃かったり薄かったら言ってね、調整する!」と一言つけて、提供してくれるところにスマイルの温かい人柄がにじみ出ている。

愛しのローカル店

「ヴィーガン カオソーイ」50THB(約200円)

この店は人通りの多い道から、さらに奥に入ったところにあるにもかかわらず、食事の時間には人が入れ代わり立ち代わり訪れる。スマイルは一人ひとりに心のこもった対応をしていて、常連でも初めての人でも、彼女と話すとたちまち笑顔になる。その様子をいつも、麺をすすりながら眺めている。そしてひと段落ついた頃、また私も話かけ、プライベートなことから彼女の今後までを色々と話すのだった。

私のチェンマイでの健康が保たれているのは、「imjai vegan」のご飯とスマイルの笑顔のおかげ、と思っている。顔を知っている誰かの手料理は、異国の地では身に染みるのだ。

imjai vegan
住所:43 ถนนนิมมานเหมินท์ ตำบลสุเทพ อำเภอเมืองเชียงใหม่ เชียงใหม่ 50200
公式FB:https://www.facebook.com/profile.php?id=100060243083542

チェンマイで私が通う、愛しのローカルショップ3つ。これを書いている今日も、このうちの2軒を訪れ会話とコーヒー、料理を楽しんできた。もう少ししたら、一旦ここを離れるのがすでに寂しい。でも、そう思える場所、人と出会えたことがとても嬉しい。

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mia

旅するように暮らす自然派ライター|バックパックに暮らしの全てを詰め込み世界一周。4年に渡る旅の後、オーストラリアに移住し約7年暮らす。移動の多い人生で、気付けばゆるめのミニマリストになっていました。ライターとして旅行誌や情報誌、WEBマガジンで執筆。経験をもとに、旅をちょっぴりエコにするヒントをお届けします。