「あなたの名前では、わたしの宿に泊めることは出来ません。」
直接的にそういったメッセージが送られているかどうかは分からないが、事実としてゲストの名前や顔写真などの情報をもとに、宿泊の可否を決定するホスト・サービス提供主が、様々なプラットフォームに一部存在している。
2017年、アフリカ系アメリカ人のオレゴン州民は、Airbnbのプラットフォーム内における人種差別がオレゴン州の公共宿泊施設法に違反したと主張し、連邦裁判所に提起した。
それを受けAirbnbは、「Airbnbhは宿泊施設を提供しているのではなく、ホストとゲストを繋げるマーケットプレイスを提供しているだけであり、オレゴン州の公共宿泊施設法に違反していない。」と主張する一方で、プラットフォーム上に人種差別が存在することを認め、差別を排除するために、差別をしない宣言への合意をゲストとホストの両者から求めること、ゲストのプロフィール写真を予約確定まで非表示にすることなど、様々な対策を講じてきた。
このような対策に続き、Airbnbは2022年1月中より、オレゴン州の住民がAirbnb上で予約を行う際は、予約が確定するまで宿泊者のファーストネームは表示せず、代わりにイニシャルを表示すると公表した。本施策は少なくとも2年間は継続予定だ。
「このゲストはおすすめします!」など、過去Airbnb利用時にホストからゲストに送られたコメントや自己紹介の文章など、Airbnbの個人のプロフィール上には、名前や写真といった表面の情報以外にも、相手の中身を知るための要素が複数用意されている。第一印象と、話してみた後の印象が全く異なるという人が多くいるように、どんな人にも見た目だけでは判断できない中身がある。今回の対策が、どの程度人種差別解決につながるかは未知数ではあるが、人々が表面だけでなく中身まで見るきっかけになればよいなと筆者は願う。
【参照サイト】Airbnb
【関連ページ】Airbnb(エアビーアンドビー)の詳細を見る
佐藤千嘉
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