来年6月から予定されている住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行を前に、東京都大田区は29日に、新宿区は30日、それぞれ独自の民泊規制条例案を区議会に提出した。新宿区の条例案は住居専用地域における民泊を月曜正午から金曜正午まで制限する内容となっており、大田区は住居専用地域における民泊を禁止する内容となっている。自治体による上乗せ規制としては両区の事例が先駆けとなり、いずれの条例も年内には成立する見通しだ。
なお、大田区は上乗せ規制案と同時に特区民泊における最低宿泊日数を6泊7日から2泊3日に緩和する議案も提出しており、こちらは来年3月15日から施行予定だ。住宅地における民泊については規制をかけつつも、特区民泊の規制緩和により区内の合法民泊はさらに推進していく。
東京では、中野区が既に新宿区と同様に住居専用地域において月曜日の正午から金曜日の正午まで民泊営業を制限する条例案をまとめているほか、世田谷区はさらに厳しく、月曜日の正午から土曜日の正午まで制限する骨子案を公表している。
住宅宿泊事業法では、18条のなかで「都道府県は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる。」と定められている。
各自治体は同18条に基づき、地域住民の意見や住環境の維持も考慮して独自の規制案作成を進めているが、過度な上乗せ規制に対しては新法の趣旨と反するとの意見もあり、「合理的に必要と認められる限度」がどこまでなのかという点については引き続き議論の余地がありそうだ。
今回の新宿区や大田区の動きも踏まえ、東京都内の中で新宿区と並んで特にAirbnbなどの民泊サイトへの物件掲載数が多い渋谷区や、観光地として訪日外国人から人気の高い台東区、港区などがどのような対応をとるのか。引き続き各区の動向に注目したい。
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【参照サイト】おおた区議会 区長提出議案「第75号議案から第80号議案(PDF:382KB)
【参照サイト】新宿区議会 平成29年第4回区議会定例会提出案件概要 [PDF形式:271KB]


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