新宿区ルール、住居専用地域の民泊は「金土日」のみ。区長が記者会見

東京都新宿区はこのほど、来年6月に施行を控えた住宅宿泊事業法(民泊新法)に向けて、住居専用地域においては月曜正午から金曜正午までの民泊を制限する独自の規制案「新宿区ルール」の骨子をまとめた。新法では年間営業日数の上限を180日と定めているが、この条例が制定されると、新宿区では住居専用地域で事業が実施できる日の年間上限は156日程度となる。具体的な営業日に関する規制案をまとめた自治体としては新宿区が全国初の事例となり、同条例案は今月29日に開会する区議会に提出される。

新宿区では昨年10月に新宿区民泊問題対応検討会議を立ち上げ、新宿区にふさわしい「適正なルールづくり」に向けて過去6回にわたり検討を進めてきた。また、規制条例案の骨子をまとめるにあたり10月5日から10月18日までパブリック・コメントを募集、結果として29名、延べ 89件の意見が集まっていた。同区はパブコメの意見も踏まえて「新宿区ルール」の骨子の一部を修正した。

修正後は、住宅宿泊事業者等の責務について「住宅宿泊事業者及び住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業に起因する事象による生活環境の悪化を防止するよう努めなければなりません。」という文言が「住宅宿泊事業者及び住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業に起因する事象による生活環境の悪化を防止するようにしなければなりません。」と努力を促す文言を義務へと変更されたほか、宿泊者の責務についても同様に「宿泊者は、住宅を利用するに当たっては、生活環境の悪化を防止するよう努めなければなりません。」という文言が「宿泊者は、住宅を利用するに当たっては、生活環境の悪化を防止するようにしなければなりません。」と変更された。住宅宿泊事業者、宿泊者の双方に対し、生活環境の悪化防止への取り組みを明確に義務付けた形だ。

その他の項目についてはパブコメ募集時の「新宿区ルール案」から変更がなく、住居専用地域においては月曜日正午から金曜日正午までは住宅宿泊事業を禁止する、住宅宿泊事業者は届出をする7日前までに近隣住民に対して事業を営む旨を書面にて通知し、区に報告するなどの項目が含まれている。

新宿区の吉住健一区長は20日の記者会見の中で「新宿区ルール」について説明した。吉住区長によると、新宿区内では旅館業の許可なくマンションの一室などを利用して宿泊させる「違法民泊」の苦情や相談が多数寄せられており、苦情件数は、2015年度95件、2016年度246件、そして今年度は10月末時点で260件と増加し続けているという。

区長は「今後の取り組みとしては、区民、事業者、宿泊者向けのリーフレットやルールブックを作成・配布し、制度の周知を図ってまいります。また、届出が開始された後は、届出住宅の現場確認を行うとともに、違法な施設や苦情施設に対する監視指導を行い、適正な制度運用に努めてまいります。」と説明した。

東京都庁や歌舞伎町など訪日外国人に人気の観光スポットを数多く抱える新宿区は、渋谷区と並んで東京都のなかで最も民泊物件が多いエリアの一つだ。区民からは違法民泊を利用するゲストのマナーに対する苦情の声も多数寄せられており、今回の「新宿区ルール」はそうした区民の要望を踏まえて制定される。営業曜日が制限される住居専用地域は新宿区内の面積の34%を占めており、今回の規制強化は大きな影響がありそうだ。

【参照ページ】住宅宿泊事業の適正な運営に関する「新宿区ルール」の骨子について
【参照ページ】「新宿区ルール」の骨子[新旧対照表]
【参照ページ】定例記者会見(平成29年第4回区議会定例会)区長説明要旨

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