厚生労働省は、ホテルと旅館のフロントについて、指紋認証などの情報技術(IT)で安全確保や本人確認ができる場合は設置しないことも認める方針を固め、1月20日召集の通常国会に旅館業法の改正案を提出すると、毎日新聞が1月13日付けで報じた。
旅館業法においては、「フロントの設置を義務」、「和室では寝具が和式でなくてはならない」などの決まりがあり、「おもてなしの多様化」を促す目的で撤廃する方針だ。
現在、訪日外国人がホテルにチェックインする際には本人確認として必ずパスポートを提示する義務があるが、航空等の旅客券に関しては自動チェックイン機が普及している。これに伴い、自動チェックインを導入するホテルも存在するが、そのようなケースでも、現行法ではフロントを設けておく必要があり、業界団体は「実態に合わない」と見直しを要請していた。
政府は自動チェックインに関し、かねてより前向きに検討している。昨年6月には、外国人観光客が指紋認証だけで買い物や本人確認ができるシステムの実証実験が実施された。内容は、外国人旅行者が空港などで専用端末に指紋・パスポート情報を登録し、専用のWebサイトへアクセスした後、クレジットカード情報を登録することで店頭に置かれた専用端末で支払いや免税手続きが可能となるというものだ。実証実験当初から、ホテルや旅館に泊まる際のパスポートの提示に関して、指紋認証での代用を認める方針を示しており、現金やクレジットカードを持ち歩かずに済む利便性や防犯効果をアピールし訪日外国人の増加につなげたい狙いがあった。
情報技術による本人確認が認められた場合、登録した指紋とパスポートのICチップ情報を確認することは旅館業法の「旅券の呈示」となり、パスポート情報の電磁的記録を宿泊者名簿と紐付けて保存することは「旅券の写しの保存」に該当することとなる。それに伴い、安全性と利便性の高いサービスが低コストで実現することが期待される。
【参照ページ】厚労省 ホテルのフロント廃止も 旅館業法改正へ
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
平井 真理
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