厚生労働省と観光庁は4月22日、「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開催した。第9回目となる今回は、先月中旬に示された中間整理案の内容を踏まえ、中期的に検討すべき課題に対する具体的な制度設計案が示された。
設計案には、民泊を家主が居住するタイプと家主が不在のタイプの2つに分け、家主不在タイプについては運用を委託された管理者に対する規制を設けることで安全・衛生水準を確保すること、民泊の仲介事業者に対しても一定の責務を課すこと、既存の旅館やホテルとの線引きおよび公平な競争条件確保に向けて、日数制限や宿泊日数制限など合理性のある「一定の要件」を設定することなどが盛り込まれた。
民泊として貸し出す物件の管理者に対する具体的な規制の方向性としては、管理者を登録制にしたうえで、家主不在の民泊サービスについては利用者名簿の作成や備付け、利用者に対する注意事項の説明、苦情受付、法令やマンション規約遵守の確認業務などを担当させることで適性な管理と安全面・衛生面を確保する、という案が示された。管理者を登録制とすることで匿名性を排除し、民泊サービス提供者を行政が把握できる仕組みを確保する。
また、Airbnbなどをはじめとする民泊仲介事業者についてはホームステイ型、家主不在型を問わず登録制とし、利用者に対する取引条件の説明義務や民泊サービスであることをサイト上に表示する義務、行政への情報提供義務といった規制を課すことを検討するとした。
加えて、仲介事業者に対する不適切な民泊サービスの広告削除命令を可能とするとともに、仲介事業者がそれを知りながら広告掲載している場合、業務停止命令等の処分を可能とすることを検討するとしている。さらに、外国法人に対する取締りの実効性確保のため、法令違反者の名称や違反内容の公表なども検討するという。
今回の検討会では、物件の管理者および仲介事業者に対する具体的な規制案が示された。現状、日本で運営されている民泊の約7割が家主不在型の民泊だと見られており、管理者が登録制となれば民泊市場に大きな影響がありそうだ。また、仲介事業者に対しても違法な民泊の掲載を削除するよう命令することができるようになれば、違法な民泊物件は主要な集客手段を失うこととなる。今後、この制度設計案に対して仲介事業者らがどのような反応を見せるのかについても注目したい。
【参考サイト】第9回「民泊サービス」のあり方に関する検討会
(Livhub ニュース編集部)
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