「民泊」の日本における法的な位置づけの方向性が、徐々に定まりつつあるようだ。各紙の報道によると、1月12日に開催された厚労省と観光庁らによる有識者会議、「民泊サービス」のあり方に関する検討会の中で、「民泊」は現行の旅館業法内で定められた「簡易宿所」として位置づけ、各自治体に営業許可を求める許可制とする意見で概ね一致した。現状野放し状態となっている違法な民泊を解消し、法的枠組みの中で適正な利用の拡大を目指すのが狙いだ。
ただし、現行の旅館業法下における簡易宿所の要件となっている床面積(33㎡以上)という基準については緩和する方向で検討する。今後、厚労省および国交省は具体的な詰めに入り、中間報告は今年3月末までに取りまとめるとしている。
一方で、今後の調整がスムーズに進むかは未だ不透明な点もある。民泊を旅館業法下における「簡易宿所」と位置付け、許可制にする場合、㎡数の用件緩和のみで法改正の必要性はない。しかし、内閣府の規制改革会議では、昨年の12月に「民泊」については旅館業法の適用外とし、許可制ではなく届け出制など緩やかな監視にとどめるよう求める提言をまとめている。民泊に関わる各種リスクへの対処は前提としつつも、民泊営業のハードルを高めることで増加し続ける訪日外国人のニーズへの対応が遅れることを懸念しての提言だ。
既に東京都大田区をはじめとする国家戦略特区では「民泊」を旅館業法の適用外とする特例制度もあり、大田区では2月から実質的にスタートする。民泊をめぐっては政府内でも積極推進派と慎重派との間に温度差がある状況で、民泊解禁に伴う既存事業への悪影響を恐れる旅館・ホテル業界と、シェアリングエコノミー推進により新たな経済機会を獲得したい新興IT企業らとの温度差もある。
最終的に「民泊」がどのような法的位置づけに収まるのか。今後議論と調整の行方に引き続き注目が集まる。
【参考サイト】第4回「民泊サービス」のあり方に関する検討会
Livhub ニュース編集部


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