民泊プラットフォームのAirbnbがリブランドと資金投下により世界最大の旅行市場の一つ、中国でのサービス強化をはかるのと時を同じくして、中国版AirbnbともいえるライバルのTujia(途家)が今後の計画と戦略を発表した。
23日に中国北京で開催された2017 Tujia Open World Summitの中で、途家のCEOを務めるJustin Luo(羅軍)氏は同社の2017年の新戦略「3+1」を打ち出し、「消費者」「ホスト」「不動産購入者」「地域化」の4つを視野に入れた新たなプロダクトの投入について明らかにした。
昨年10月に中国大手旅行サイトCtrip(携程)とQunar(去哪)を買収し、オンライン旅行最大手のExpedia(エクスペディア)傘下にあるHomeAway(ホームアウェイ)とも提携している途家は、現在の時価総額が10億米ドルと言われている。同社が中国で扱うリスティング物件数は約43万件で、中国におけるブランド名を「Aibiying」に変更すると発表したAirbnbの約8万件と比較して、中国国内の民泊市場を圧倒している。
消費者については、Airbnb同様にゲストの宿泊体験をパーソナライズし、ユーザーとホストのよりよい「マッチング」を提供する。「複数の人数」や「長期の滞在期間」を加えることにより、ビジネス旅行者、家族連れ、一時的な住居用の需要を呼び込む考えだ。その実現のために、8つの異なるプラットフォームを活用し、より多くの住宅の選択肢を提案する。
また、同社は既に清掃のサービスを行っているが、今後はさらに安全性、検索、決済の機能も提供する。ホストとゲスト間の「信頼関係」は、まだホームシェアリングの概念が新しい中国の旅行者にとってはネックとなっているため、Tujiaは物件の検査を行い、ホストとゲスト間の双方向を評価する「心配のない生活戦略」を展開する。
ホストに対しては、「ワンクリック」ソリューションなどで利便性を高めるほか、またアプリで簡単に価格設定や空き状況、ゲストとのコミュニケーションを行うことができる。さらに、Tujiaはより多くのホストを獲得するために10都市で部屋の清掃、タオルやシーツの洗濯、スマートロックサービスを提供するテストも実施している。
過去数年にわたってホストコミュニティのホスピタリティの専門知識を向上させることに焦点を当ててきたAirbnbと同様、Tujiaもホスト向けの運用トレーニングを実施する。このトレーニングを受けたホストは管理が改善し、収入が約10%上昇するという。また、Tujiaのホストはレンタルのために必要な物資、サービス、商品を旗艦店のSweetomeで購入することができる。
そして、Tujiaはリスティング物件の安定供給に向けて不動産開発業者とも連携し、不動産購入者の民泊運用に必要な手続きが簡単になるように努めている。これにより、投資家は物件の購入前から民泊運用を計画でき、不動産の価値を高める効果もある。
攻勢に出るAirbnbと真っ向から迎え撃つTujia。今後の中国の民泊市場から目が離せない。
【参照リリース】Tujia 2017 Strategy Launching: Focusing on User Experience and Thoroughly Solving House Sharing Problems
【参照記事】3 Ways Tujia Plans to Beat Airbnb’s New Strategy for China
【参照サイト】途家
(Livhubニュース編集部)
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