東京・新宿区は10月26日、都市部の民泊は一定の規制がなければ犯罪に利用される可能性があるなどとして、新宿区民泊問題対応検討会議を通じて、区独自のルール作りの検討を始めた。
政府が民泊の普及に向けた新法を来年の通常国会に提出する方針であることを受け、東京都新宿区は10月26日、今後の対応について協議するため、専門家や区民の代表などを集め、初の検討会議を開いた。
新宿区には、多くの訪日外国人が訪れる。様々な企業が招致活動を行い、いわゆる「爆買い」の中心地区にもなった。三越伊勢丹グループは2014年10月から免税カウンターを拡大し、外貨両替機を設置、多言語対応にも取り組んでおり、また、今年3月には小田急電鉄が文化学園大学と連携した訪日外国人向けツアーの企画を行っている。
一方でヤミ民泊の横行が深刻化している。マンションの1室などで無許可の民泊が行われるケースが後を絶たず、区に寄せられた住民からの民泊に関する苦情は4月~9月で115件に上った。昨年は1年間で95件であったことから、ヤミ民泊が増加している疑いがある。
これに関し、吉住健一区長は「政府が主導している地方創生型の民泊と新宿区のような都市部の民泊は全く異質だ。現在、横行している違法民泊が政府の意図せざる形で法的根拠を持つことに大変な危惧を持っている」と述べた。
寄せられた苦情については「見慣れない外国人が次々に入ってくる」、「ゴミが不法投棄のような形でマンションの前に置かれている」といった内容のようだが、新宿区が最も懸念しているのは犯罪に利用される可能性である。新宿区は今年度内に区独自のルール作りを目指すというが、他の地域においても同様の問題が懸念される。吉住区長の言のように地域によって状況は異なるものの、都市部におけるこうした課題の解決に向けた取り組みの中で好事例が生まれるか、期待がかかる。
【参照ページ】新宿区民泊問題対応検討会議について:新宿区
【参照ページ】三越伊勢丹グループは訪日外国人向けサービスを拡充します!
【参照ページ】文化学園大学との取り組み
【関連ページ】東京都新宿区の民泊・旅館業簡易宿所に関する条例・法律・規制
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
平井 真理
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