総務省は5月15日、個人同士がスペースやスキルなどの遊休資産を共有する「シェアリングエコノミー」の仕組みを活用して地域課題の解決や地域活性化を図るためのモデル事業、「シェアリングエコノミー活用推進事業」の採択団体を決定し、公表した。
全国の地方自治体から寄せられた38件の提案のうち、今回は15件が採択された。青森県弘前市による高齢者の自宅除雪作業のために地域住民のマンパワーを活用する提案や、三重県紀北町による過疎化に伴う公共交通の衰退に対応するための車や運転スキル活用など、シェアリングエコノミーの仕組みを活用したユニークなモデルが複数採択されている。
採択された提案のうち、岩手県釜石市と岐阜県飛騨市については民泊の取り組みも含まれている。釜石市は2019年のラグビーワールドカップなどで来訪する観光客向けの宿泊施設不足解消に向けて空き家の活用を進めるほか、岐阜県飛騨市についてはアユ釣り客などを中心とする観光客のための宿泊施設として地域住民の自宅の空きスペースなどを活用する。
釜石市は2016年10月に自治体として初めて民泊仲介サイト世界最大手のAirbnbと観光推進に向けて覚書を締結するなど、地域経済の活性に向けたシェアリングエコノミーの活用に対して以前から意欲的な姿勢を見せていた。
今回の「シェアリングエコノミー活用推進事業」の採択を受けて野田総務大臣が直々に記者会見を行ったことからも、地方創生の切り札としてシェアリングエコノミーを積極的に活用していきたいという政府の強い意向がうかがえる。
民泊や現地での体験を通じて訪日観光客と地域住民との間につながりが生まれ、地域の関係人口が増えていけば、たとえ民泊自体は一時的な取り組みだったとしても長期的に見れば地域活性に大きなインパクトが生まれる可能性がある。今回の採択案件からどのような成功事例が生まれるのか。今後の各自治体の取り組みに期待したい。
【参照サイト】平成30年度「シェアリングエコノミー活用推進事業」採択団体の決定
【参照サイト】シェアリングエコノミー活用推進事業 採択団体一覧
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