政府は3月30日、総理大臣官邸で第2回目となる「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を開催した。同会議の中では「観光資源の魅力を極め、地方創生の礎に」「観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に」「すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に」という3つの視点に基づく10の改革案が示され、日本を観光先進国へと発展させるための具体的なビジョンが策定された。
新た目標値としては、訪日外国人旅行者数目標はこれまでの倍となる、2020年までに4,000万人、2030年までに6,000万人という目標が示されたほか、訪日外国人旅行消費額については2020年までに8兆円、2030年までに15兆円という目標値が公表された。
安倍政権以降、積極的なインバウンド振興策や円安効果などにより訪日外国人は2012年の836万人から2015年には1974万人まで増加、訪日外国人の旅行消費額も2012年の1兆846億円から2015年には3兆4771億円へと3倍に増えるなど、過去3年間で日本の観光産業は大きく発展したが、今回公表されたビジョンはさらにその勢いを上回る、壮大なものだ。
また、具体的な10の改革案の中では民泊についても触れられており、民泊サービスへの対応として「現行制度の枠組みにとらわれない宿泊法制度の抜本見直し」という項目が含まれている。より詳細な方針については今年の6月中を目途に検討会でとりまとめられる予定だ。
国際競争力を高めるための視点として「古い規制を見直し、生産性を大切にする観光産業へ」というテーマで、60年以上経過した規制・制度の抜本見直し、民泊ルールの整備、宿泊業の生産性向上などが取り上げられている。
民泊をめぐっては、4月1日より旅館業法の改正により現行の簡易宿所の枠組みを用いて面積基準や帳場設置義務などを緩和することで、実質上の規制緩和が始まった。しかし、これはあくまで現状に対応するための応急措置であり、政府はより抜本的な法整備・ルール改正を検討している。
2020年までに4,000万人という目標を達成するためには、民泊の仕組みを活用して訪日外国人の受け皿を増やし、ローカルの体験を提供することで日本の魅力をより深く感じてもらうことが必要不可欠だ。民泊は地方創生や空き家対策など様々な政策との連携も可能で、地方を支える観光産業の再興をさらに加速させる切り札ともなりうる。
大胆かつ積極的なビジョンの策定を受けて、政府は今後民泊の法規制を具体的にどのように緩和させていくのか、注目が集まる。
【参照ページ】明日の日本を支える観光ビジョン構想会議
【参照ページ】明日の日本を支える観光ビジョン構想会議-平成28年3月30日
【参照ページ】第2回 明日の日本を支える観光ビジョン構想会議
(Livhub ニュース編集部)
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