スペインを代表する人気観光地の一つ、バルセロナの市役所は8月10日、Airbnbなどのホームシェアリングサービスを利用して違法に貸し出されている物件に対する取り締まりを強化し、Airbnbらに罰金を科すと公表した。各紙が報じている。
バルセロナ市役所によると、同市はAirbnbおよびHomeAwayに対してそれぞれ6万ユーロの罰金を科す予定で、万が一Airbnbらが違法な貸出物件の撲滅に向けたユーザーへの規制を拒否し続けた場合、罰金は60万ユーロまで跳ね上がるという。なお、この発表を受けてAirbnbはバルセロナ市に対して罰金を取り下げるよう主張している。
バルセロナ市長のAda Colau氏は昨年6月の就任以降、一般住宅やホテルのための新たな観光ライセンスの付与を凍結し、民泊プラットフォームを通じて許可なしで部屋を貸し出す行為を禁止する計画を発表していた。10日の発表によると、バルセロナ市役所は既にAirbnbなどのプラットフォームから256物件を排除するよう命じており、その他400件についても違法に貸し出されている可能性があるとして調査中とのことだ。
また、同役所によると既に先月だけでも375件もの苦情が寄せられており、今後は無許可で営業されている宿泊施設の特定および抑制に向けて多言語のウェブサイトを作成し、無料通話の電話番号を設置して違法にホームシェアリングをしている隣人の通報を促す仕組みを構築するという。
バルセロナでは、観光客に物件を貸し出したいオーナーは許認可を取得する必要があり、その認可をAirbnbも含む全てのオンライン集客プラットフォーム上に明示しなければならない。これらのルールを破って違法に部屋を貸し出しているホストらに対し、市役所は20人の検査チームを用意して取り締まりを強化する。
Airbnbが公表しているデータによると、バルセロナ市におけるAirbnb利用者数は2015年までの3年間で3倍の90万人に増えており、Airbnbは既に多くの観光客をバルセロナに呼び込んでいる。一方で、Airbnbの普及による既存のホテル業界への悪影響や市民からの反発なども招いており、これらの影響を考慮して市役所は民泊に対する取り締まりと罰金強化の方針を固めた。
Airbnbに代表される新たな民泊プラットフォームの台頭により打撃を受けているのはバルセロナだけではない。現在、民泊をめぐる地方自治体のルール整備は世界中で進められており、今年に入ってからもフランス・パリが違法に部屋を貸し出すオーナーらに対する取り締まりを実施したほか、ドイツのベルリンでも部屋のまるまる貸し出しが禁止された。
民泊プラットフォームの広がりを受け、欧州委員会は今年の6月に加盟各国に対して「シェアリングエコノミーという新たなビジネスモデルを責任ある形で推進、発展させることで経済成長や雇用増加を実現できる」とする指針を公表しているが、実際にはバルセロナの事例に見られるように、この新たなムーブメントに対する反発が大きい自治体が多いのも現状だ。
民泊がもたらす経済効果と、既存のルールや市民の声とのバランスをどのように保つのか。引き続き世界中で活発な議論が続きそうだ。
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(Livhub 編集部 佐々木 久枝)
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