Airbnbにおいてゲストからの予約を獲得する上で重要なのは、高評価のレビューよりも信頼できるホストの顔写真。そんな興味深い研究結果が明らかになった。調査を行ったのはイスラエルのヘブライ大学の研究チームで、600名の被験者を対象に2段階の実験を行った。
まず、研究チームはAirbnbに掲載されているスウェーデンのストックホルム市内のリスティングデータを物件サイズやロケーション、物件写真やゲストレビューにいたるまで詳細に収集し、被験者らに対してホストの顔写真を見せ、第一印象を評価してもらった。そして、被験者がそれらの顔写真から感じた信頼性や魅力といったホストに対する評価がどのような影響を与えているのか、ヘドニック価格法(製品やサービスを成す各要因がどの程度価格に影響しているかを推定する方法)を用いて調査した。
調査の結果、より信用できると認識された顔写真のホストのほうが、あまり信用できないと認識されたホストよりもより高い価格プレミアムを享受していることが分かった。これは言い換えれば、顔写真からより信用できると思われているホストほどより価格も高く設定でき、予約される可能性も高くなることを意味している。
また、驚くべきことに同研究ではゲストが過去に残したレビューのスコアはリスティング価格や予約率に何ら影響を与えていないことが明らかになった。研究チームはその理由について、過度な評価を与えているレビューがかえってその効果を打ち消してしまっている可能性があると指摘している。
そして、次の段階として研究チームらは対照実験を行い、今度は役者らの写真を使って作られたAirbnbのプロフィール写真を被験者に見せた。その結果、主に顔写真から認識されるホストの信用は、直接的に消費者の選択に影響を及ぼすことが分かった。ホストの顔写真がゲストの意思決定に与える影響は、物件写真など他のビジュアルデータやレビューの評価よりも大きいという。
さらに、研究チームは興味深い点として、被験者らは自身の選択において顔写真を重視していることを意識していなかった点を挙げている。「自身の選択に何が影響を与えましたか」と尋ねられた際、ホストの顔写真と回答した被験者はほとんどいなかった。
AirbnbやUberをはじめとするシェアリングエコノミーのプラットフォームにとって、何より大事なのはユーザー同士の「信用」だ。「信用」はシェアリングエコノミーの基盤となるもので、Airbnb自体もその点を強く意識して、直接会ったこともないユーザー同士が「信用」しあえるようなプラットフォームをいかに構築するか、デザインの観点から問題解決に注力してきた。
Airbnbの場合、「ホストとゲストがレビューしあう」という仕組みを導入することでその「信用」問題をクリアしようとしていたが、実際には多くのレビューが4.5以上の高評価で、ネガティブなレビューは非常に少ないため、かえってレビューの信用性や価値が落ちてしまっているのが現状だ。逆に、人々らはそうしたレビューよりも、ホストの顔写真を無意識のうちに「信用」の判断基準として使っているのかもしれない。
Airbnbホストにとっては「いかに信頼されそうな顔写真を掲載するか」という点が予約率を高めるための意外かつ効果的な施策となりうることを頭にとどめておくとよさそうだ。
【参照記事】Personal photos of Airbnb hosts have stronger impact on consumers’ decisions than reviews by former guests
【レポート】Trust and reputation in the sharing economy: The role of personal photos in Airbnb
(Livhub ニュース編集部)
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