旅行・ホテル業界のリサーチを手がける米Phocuswrightは先日、民泊サイト世界最大手のAirbnbは現在世界3番手のオンライン宿泊施設販売事業者となるまで成長しており、総宿泊予約数でも世界で4番目に大きいオンライン旅行仲介事業者になっていると見込まれるとの調査結果を公表した。
8月初旬、Bloomberg紙はAirbnbが新たに300億米ドルの評価額で8.5億米ドルの資金調達に向けた準備を進めていることが報じられた。また、昨年11月にもWall Street JournalがAirbnbの資金調達について報じている。その他にも複数の金融アナリストらによるAirbnbの予約数や成長推移予測などを基にして、PhocuswrightはAirbnbの売上や予約数などを分析した。
同社によると、Airbnbの2015年の総予約の推定売上は約75億米ドル(60億米ドル~90億米ドル)に達しているという。これは中国のCtripや日本の楽天と同規模のレベルだが、Phocuswrightは現状のAirbnbの急成長を考えると、2016年中にAirbnbは確実にこの2社を上回るだろうと予測している。
また、ヨーロッパにおいては、Airbnbは宿泊予約数の面でもエクスペディを超える勢いがあると見られており、Airbnbが予約の半分を欧州が占めていると発表していることを考慮すると、同社が現状の急成長を維持した場合、2017年にはヨーロッパにおけるエクスペディアの予約数を上回る可能性が十分にあるという。
Airbnbは総予約数においても2016年末までに世界4番手のオンライン旅行仲介事業者となり、3番手に食い込む可能性もあるとのことだ。
Phocuswrightは、上場企業と未上場企業の市場評価の公正な比較は難しいとしつつも、300億米ドルというAirbnbの時価総額はエクスペディアやトリップアドバイザー、Ctripよりも高く、企業価値で見るとAirbnbは世界最大手のプライスライングループに次いで世界2番手のオンライン旅行会社だと指摘する。
実際に、ここ数年で世界では民泊による旅行が一般化しており、Airbnbの急成長、エクスペディアによるHomAway買収など、旅行業界全体が民泊の方向に流れているのが現状だ。データで見ても、2011年には民泊をする米国人旅行者は10人に1人という割合だったにも関わらず、2015年には3人に1人の割合まで上昇しているとのことだ。
Phocuswrightは、民泊は既にホテルなどの代替手段ではなく、新たな旅行・宿泊手段としての地位を築きつつあると指摘する。この世界的な潮流を踏まえると、Airbnbは未だ大きな成長可能性を秘めていると言えそうだ。
最終的に世界のオンライン旅行市場の勢力図がどのように塗り替えられるのか。民泊という新たなスタンダードの台頭により、これまでプライスライングループとエクスペディアという二大巨塔が支配してきたオンライン旅行仲介ビジネスに、いまだかつてない大きな変化が起ころうとしている。
(Livhub 編集部 佐々木 久枝)
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