ソフトウェア開発を手がける株式会社ジャストシステムは2月18日、東京都に在住の20歳~69歳までの男女11,000名を対象に実施した「民泊に関する意識調査」の結果を公表した。
同調査の結果、戸建住宅(持ち家)に住んでおり、「民泊」のことを既に認知している人々のうち、自宅周辺で「民泊サービス」が増えたら引っ越しを検討すると回答した人は27.9%に上ることが分かった。セキュリティ面やトラブルなどを理由に民泊の広がりを懸念している人々の姿が浮き彫りになった形だ。
同調査によると、「Airbnb(以下、民泊)」について「知っていて、その内容を他の人に説明できる」と回答した人は15.9%、「知っているが、その内容までは詳しく説明できない」と回答した人は24.3%に上り、「民泊」の認知率は約40%に達していることが分かった。「民泊」という言葉自体の認知は約90%と、すでに浸透していることが伺える結果となった。
一方で、「民泊」を認知している人々に「民泊サービスが解禁になる」という報道について意見を聞いたところ、「民泊サービスの自由化を歓迎する」と回答した割合は僅か7.7%にとどまった。「トラブルを未然に防ぐための『法整備』をするならば賛成してもいい」が最も多く46.2%、次いで「犯罪などの温床になる可能性があるので、どちらかといえば反対」が26.1%、「民泊サービスの自由化には絶対反対」が11.3%と、約40%が民泊サービスの自由化に反対していることが分かった。
また、「民泊」を認知している人々のうち「民泊サービス」が犯罪目的で利用される可能性については66.7%の人が不安に感じており、「民泊」という言葉とともに「民泊イコール犯罪の温床」というネガティブな先入観が浸透していることも明らかになった。
実際に民泊が犯罪の温床となったと言われている事件の中には、昨年11月に発生したパリ同時多発テロがある。テロの実行犯らは襲撃前に知人を介するなどして一般のアパートに宿泊した可能性が浮上しており、身元申告が求められるホテルなどを避けて潜伏したとの見方もある。
現在、日本では、大阪と大田区にて民泊特区を設けているが、日本の特区においてもセキュリティ面への配慮から、滞在を開始時と終了時に対面または映像で同一人物かどうかを確認することや、滞在者名簿を3年間保管することなどが求められている。しかし、トラブル防止策や法律とは別に、セキュリティ面に対する近隣住民の心理的な不安にどう対処していくかは、民泊の広がりを考える上での今後の大きな課題の一つとなる。
訪日外国人観光客の受け皿として、地域活性化や消費拡大の切り札として期待されている民泊の解禁だが、地域住民の肌感覚としてはまだまだ「民泊はリスクが高い」という意識が先行しているようだ。
【参照リリース】都民の関心高し!「民泊」に関する意識調査
【参照リリース】戸建て居住者の3割が、周辺で「民泊」が増えたら、「引っ越し」を検討
【参照記事】「民泊」テロの温床化、阻止できるか 甘い身元確認、後手の法整備…摘発困難
(Livhubニュース編集部 平井 真理)


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