Airbnb、イタリアの古代集落Civita村のアーティストハウス提供開始

世界最大手民泊サイトのAirbnbは3月30日、世界中の地方コミュニティを支援する取り組みの一環として、イタリアの古代集落Civita(チヴィタ)村において、村長がホストを務めるアーティストハウスの掲載を開始し、アーティストコミュニティにも旅行者にもクリエイティブなインスピレーションを与える隠れ家のような宿泊先を提供することを公表した。

Civita村は13世紀に造られた古代集落だ。現在では、芸術的遺産として知られており、その儚げな姿から地元では「死にゆく町」と言われている。長い歴史の中で浸食や度重なる地震、特に1980年の大地震の影響で消滅の危機に晒された廃墟となりつつある集落である。現在の住民はわずか10名だ。

この村の姿を保つには継続的な投資が必要であることから、2017年にイタリア政府観光局が展開する「小さな村」保存キャンペーンの一環として、他の小集落と共に支援対象に加えられている。

AirbnbはCivita村とのパートナシップを通じ、イタリア国内の公共建築物で初めて、Airbnbのプラットフォームに常時掲載を開始した。伝統的な石造りの家に、最大5人まで宿泊可能となっている。

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アーティストハウスには、ニューヨークを拠点に活躍する著名なイタリア人アーティスト、フランチェスコ・シメティ(Francesco Simeti)氏がAirbnbの委託を受けて特別にデザインした村の文化遺産を象徴するインスタレーションが設置されている。イタリアルネッサンスの歴史的な絵画とCivitaを囲む幾層にも重なる景観にインスパイアを受けたアートワーク「Plunged into Gullies, Entangled in Orchids」や、地元に広がる渓谷と谷間に育つ蘭の花が描かれ、建物の内外には蘭を模ったブロンズ彫刻がそこかしこに散りばめられた現代的なタペストリー等がゲストを出迎える。

また、建物内部の改装はDWAデザインスタジオのデザイナー、アルベルト・アルテザーニ氏とフレデリック・デ・ワチター氏が担当した。室内のデザインは、さまざまな用途に使えるよう工夫を凝らしてあり、ダイニングエリアからベッドルームまで必要に応じて形を変えることが可能だ。建物全体は周辺の豊かな自然を写しだすような鮮やかなブルー、グリーン、淡いブラウンとグレーで彩られている。

アーティストハウスは、Civita村長がホストを務め、部屋は最大5名まで宿泊可能なワンベッドルームだ。3月30日から1泊300ユーロで予約できるようになっており、収益は全て村に還元した上で文化事業や地域再生プロジェクトの支援資金として活用される。条件を満たしたプロのアーティストコミュニティには1泊10ユーロの特別料金も設定されている。

Airbnbの共同創業者兼CPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)であるジョー・ゲビア(Joe Gebbia)氏は「今回のプロジェクトによって、世界中の地方コミュニティを支援するAirbnbの取り組みは驚くほど広がることになります。私たちの狙いはアートやデザインを通じて、こうした地方の持つ遺産に光を当てると同時に、町や村が持続的に文化や伝統を維持していくための確実な方法を提供していくことにあります。」と述べた。

【リスティングページ】Casa d’Artista – case in affitto a Civita, Lazio, Italia

(Livhubニュース編集部 平井 真理)

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平井 真理

東京都出身。これまでダイエットアプリ、霊廟、ゲームなど幅広い業界での商品紹介やノウハウなどのライティング経験あり。ウェブライターの経験を活かし、主に民泊・Airbnb関連のニュース記事の執筆を担当。