アイスランド議会はこのほど、AirBnBでの部屋の貸し出しに一定の条件を設け、違反者には罰金を課す法案を可決した。The REYKJAVIK GRAPEVINE紙が6月5日付で報じている。
アイスランドは人口わずか33万人の小国ながらも外国人観光客数は近年急激に増加しており、2016年には人口をはるかに上回る約160万人に到達する見込みだ。このようにアイスランドでは旅行業界の盛況が続いているが、観光客数の伸びに対してホテルやゲストハウスの新規建設は足踏み状態となっており、現在、同国の首都レイキャヴィークでは単体でも1,600件もの物件がAirBnBに登録され、旅行客の受け皿となっている。
これまで民泊物件に関する明確な規制は存在していなかったが、AirBnBを利用する物件提供者も法的なガイドラインを求めていた。法案によれば、オーナーは年間90日以内であれば許可を取得することなく部屋の貸し出しが可能だが、収入の合計が100万ISK(アイスランド・クローナ/約87万円)を超えてはならない。このルールに従うと、一泊あたりの平均宿泊価格は11,111ISK(約9,600円)が上限となる。
また、物件提供者は郡庁所在地にて賃貸用として所有物件の登録を行う必要がある。登録は毎年必要で、手数料は8,000ISK(約7,000円)。物件は居住用である必要があり、安全面や衛生面での基準を満たすことが条件となっている。
90日以上の貸し出し、または100万ISK以上の収入を得た物件提供者へは賃貸用物件としての登録剥奪や、10,000ISK以上100万ISK以内の罰金が課される可能性があるという。
ヨーロッパでは、ドイツのベルリンが5月から民泊禁止条例を施行しており、Airbnbの掲載件数にも大きな影響が出ている。年間営業日数の制限については、先日日本でも「年間180日以内」という新法案が閣議決定されたばかりだ。
アイスランドの場合、営業日数に加えて収入についても上限が設定されている点がユニークだ。Airbnbをはじめとする新興民泊プラットフォームにより、既存のホテル産業は大きな影響を受け始めている。両者のバランスをどのようにとりながら、旅行者の需要を満たしていくのか。引き続き各国の政策担当者には難しい調整と決断が求められそうだ。
【参照記事】New “AirBnB Law” Approved By Parliament
(Livhub ニュース編集部)
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