日経新聞の報道によると、政府は民泊の健全な普及に向けた新法において、民泊管理業者の登録制を検討していることが分かった。登録制の対象となるのは不動産を仲介する宅建業者や旅館業者など実際の民泊物件の管理にあたる事業者で、Airbnbをはじめとする民泊仲介サービスの提供事業者については、実際に物件を管理していないため新法の対象とはならない。
物件の管理業者には、鍵の管理や宿泊者の本人確認、ゴミ出しルールの告知、賠償保険への加入など、近隣住民の不安や不満を取り除き、民泊の安全面を強化するための対策やトラブル発生時の対応が義務化される見通しだ。
新法により管理業者を登録制とすることで責任の所在を明確化し、リスクやトラブルの防止・対応策を充実させつつ、民泊の営業要件については緩和することで、民泊市場の健全な発展を目指し、高まるインバウンド需要に対応する。
具体的には、マンションなどの民泊を「旅館」ではなく「住宅」と定義し、フロント・帳場の設置などが必要な旅館業法の適用対象から外す。また、新法では宿泊日数の規制をなくして1泊2日からでも民泊可能とするほか、住宅地における民泊を認める方針とのことだ。
現在、民泊の規制緩和をめぐっては2つの動きがある。一つは内閣府の規制改革会議が進めている国家戦略特区の制度を活用した民泊解禁だ。これは、戦略特区において民泊条例を可決した自治体においては一定の条件を満たせば民泊が旅館業法の適用対象外となる制度で、全国の自治体に先立ち、今年の2月から東京都大田区で条例が施行された。しかし、蓋を開けてみると宿泊日数は6泊7日以上などの制限がネックとなり、3月1日時点での民泊許可申請は3件にとどまっている。
また、もう一つの動きは厚生労働省と観光庁が検討を進めているもので、今年の4月からは民泊を旅館業法上の簡易宿所として位置づけ、簡易宿所の面積基準を33平米から一人あたり3.3平米以上などへと緩和することで、民泊が全国的に解禁される予定となっている。しかし、こちらも簡易宿所としての許認可取得のハードルは依然として高く、住宅地などでは営業できない等の制約もあるため、実際にどこまで規制緩和の効果があるかは不透明で、むしろ実質上は規制強化にあたるとの声も挙がっていた。
今回の新法が制定されれば、個人による管理業者を活用した民泊運用の裾野が大きく広がることになりそうだ。民泊関連事業者にとっては新法の制定は大きな追い風となりそうだが、今後の展開については引き続き注視したい。
【参照記事】民泊、管理業者に登録制 トラブル対応義務化へ新法
(Livhub ニュース編集部)
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