中国の国家発展改革委員会は3月1日、「エコ消費を促進する白書」を公表し、その中で「シェアリングエコノミー(共有型経済)の提唱、個人遊休資産の有効利用、自動車の相乗り予約サイトの規制化、自家用車の貸し出し、民泊物件の貸与および中古品交換利用」などの内容を盛り込んだ。これにより、長い間ずっとグレーだった民泊市場の合法化が承認される見通しとなった。この流れを受けて、中国福建省の省都、福州市の地元紙「福州日報」が同市内の最新の民泊事情について取材している。
福州日報によると、現在Airbnb上に掲載されている市内の物件は70件以上あり、中国のオンライン旅行予約サイト、シートリップ(携程)でも100件以上の検索結果が出ており、いずれも昨年末より大幅に増加しているという。同紙は実際に福州市で民泊ホストとして物件を貸し出している現地の人々の声を掲載している。
アパレルデザイン事務所を経営する林さんは民泊利用の支持者で、以前に海外旅行で韓国、タイを訪れたときもAirbnbを通じて部屋を予約した経験があるという。昨年の11月から自宅の部屋をAirbnbに掲載しはじめ、12月と翌1月はほぼ予約が埋まった。林さんはこれを単なる商売とみなさず、異国からの宿泊客と交流を深めると同時に福州特有の文化と町の良さを宿泊客に紹介したという。民泊ホストというといかに収益が上げられるかに目が行きがちだが、林さんはAirbnbが提供する本当の価値はゲストと「交流すること」「分かち合うこと」だと語る。
林さんのように民泊が持つ本来の価値を楽しむホストがいる一方で、福州市内でも日本と同様に商業目的の民泊運用も広がりを見せているようだ。福州日報の記者が取材した福州市の中心部、鼓楼区内にある民泊物件は旅行や出張で福州にやってきたゲストに好評で、この物件はAirbnb以外にもシートリップやQunar(去哪儿)にも掲載しており、夏の繁忙期には80~90%予約が埋まるという。この物件は4部屋全てが二段ベッドで埋め尽くされており、ベッドごとの値段設定は1日で35元、コストを引いても1ヶ月で数千元~1万元ほど利益が出るという。
しかし、現状では中国でも短期滞在の民泊は合法ではなく、この物件も届出をしていなかったことで2度警察沙汰となったという。しかし、それでも民泊施設の運営者は民泊ホストを続ける意思は変わらず、新たに近隣に一部屋を借りてリフォームが完了次第民泊を開業予定とのことだ。
中国では深刻化する空き家問題の対策として民泊が注目を集めている。既に中国人観光客の多くが海外旅行時にAirbnbや自在客などの民泊サイトを利用しているが、今後は中国国内でもさらに民泊市場が広まることが予想される。中国は国内だけでも13億人の人口を抱える巨大な市場を持っているだけに、規制緩和により国内での民泊市場が活性化すれば、自在客や途家など中国発の民泊サイト勢はさらに収益力をつけ、国内市場で得た利益を海外に投資することでグローバルの展開を加速させるという好循環が生まれそうだ。
【参照サイト】关于促进绿色消费的指导意见
【参照記事】民宿出租市场升温月入上万 无证经营或面临处罚
(Livhub ニュース編集部 華原)
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