米不動産大手、CBREグループのCBREホテルズは2月2日、米国におけるAirbnbの利用状況に関する調査結果を公表した。同社によると、米国では宿泊市場におけるAirbnbの存在感が急速に高まっており、2014年10月~2015年9月までの1年間で旅行者らはAirbnbの利用に推定24億米ドルを費やしたという。
また、24億米ドルのうち55%が、ニューヨーク、ロサンジェルス、サンフランシスコ、マイアミ、ボストンの5都市で占められているとのことだ。
CBREホテルズはAirbnbのようなシェアリングプラットフォームが既存のホテル産業に与えている影響を評価するために、米国内の数百の市場に関する情報を集め、Airbnb Competition Index(Airbnb競争力指数)を開発した。
この指数は、AirbnbのADR(平均客室単価)と従来のホテルのADRを比較、市場内における従来型ホテルの客室供給量に対するAirbnbが保有するアクティブな部屋在庫量、Airbnbのアクティブな部屋数の成長率などを基にして、米国内の各地域におけるAirbnbの競争力を示したものだ。
同指数によると、最もAirbnbの成長による市場リスクが最も高まっているのはニューヨークで(81.4)、ついでサンフランシスコ、マイアミ、オークランド、オアフ島の順となっている。
CBREホテルズのシニアマネージングディレクターを務めるR. Mark Woodworth氏によると、Airbnbは2つの方法でホテル業界に影響を与えるという。同氏は、「既存のホテル業界にとっては、平均客室単価の上昇がほとんどなくなるだろう。Airbnbの部屋供給の流動性は、従来型ホテルが繁忙期に実現できていたかつての価格プレミアムが低減することを示唆している。そしてもう一つの影響は、新規のホテル建設に現れるかもしれない。Airbnbは従来型ホテルの新規建設の障がいとなり、多くの地域において従来型ホテルの供給量の成長を減らしうる」と語る。
Airbnbがホテル業界に与える影響に関する国レベルの分析に加え、CBREホテルズはホテル業界のデータとAirbnbのパフォーマンスを比較した都市別のデータについてもまとめている。同社が全米59都市におけるAirbnbのパフォーマンスを調査した結果、一般的な予想とは異なり、Airbnbはいつも必ずしも最安値で宿泊できる選択肢を提供しているわけではないことが分かった。ホテルの平均宿泊価格は119.11米ドルだったのに対して、Airbnbの部屋に支払われた平均宿泊価格はそれよりも25%高い148.42米ドルだったという。
Airbnb発祥の国でもある米国では、着実にシェアリングプラットフォームを利用した旅行や宿泊が広まっている、こうした動きに対して既存のホテル業界がどのように対抗していくのか、今後の各州の規制動向も含めて、アメリカのAirbnb動向からは引き続き目が離せない。
【レポートダウンロード】THE SHARING ECONOMY CHECKS IN: AN ANALYSIS OF AIRBNB IN THE UNITED STATES
【参照リリース】CBRE HOTELS’ AMERICAS RESEARCH ESTIMATES AIRBNB USERS SPENT $2.4 BILLION ON LODGING IN THE U.S. OVER THE PAST YEAR
(Livhub ニュース編集部)
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