米大手民泊サイトAirbnbは7月28日、米シアトルにおけるAirbnbホストの部屋貸し出し状況に関する最新データを公表した。同データによると、米シアトルにおいてまるまる貸切タイプで一年中部屋を貸し出しているAirbnb物件はシアトル全体の物件のわずか0.05%に満たないことが分かった。
今回の調査は、今年の6月に米シアトル市議会に提出されたホームシェアリング規制条例案を受けて行われたものだ。同規制案は、ホストが居住している住居であれば年間90日まで貸し出せるものの、91日以上の場合は短期賃貸用のラインセンスとビジネスライセンスの取得が義務付けられるほか、別荘やセカンドハウスなど主要な住居ではない物件を貸し出す場合、ライセンス取得は義務でかつ年間91日以上の賃貸は禁止とするというものだ。
Airbnbは、同条例案が提出された背景となる短期賃貸の増加による賃貸住宅供給の悪化に対する懸念について、そのような懸念はAirbnbホストらの民泊運用の実情とは異なることを示すべく、今回のデータ公表にいたった。
Airbnbによると、今年の7月1日時点で稼働しているまるまる貸切タイプの物件は3,520件あり、そのうちほとんどが長期間にわたって貸し出されている事実はないという。年間を通じて短期貸し出しが行われていた物件は165件のみで、シアトル全体の住宅数324,490件のうちわずか0.05%に満たないとのことだ。
また、Airbnbはシアトルのホストの87%は自身の居住している物件を貸し出しており、ホームシェアリングの規制派が主張する「まるまる貸切の物件は長期賃貸物件として扱うべきだ」という主張は誤っているとしている。同社のデータによると、まるまる貸切タイプの物件のほとんどが1年の4分の1以下の期間しか貸し出されておらず、全体の50%は過去30日間以内の貸し出しにとどまっているという。
Airbnbによれば、まるまる貸切タイプの物件は常に貸し出し可能な長期賃貸物件と同等ではなく、実際には多くの物件が自宅の個室を提供するもので、長期の賃貸に必要となるキッチンやアメニティが用意されていないほか、その他の物件も家族や友人からの訪問の際にゲストルームとして貸し出されるものやブティックホテル、時間貸しの利用、家族が旅行や仕事のために他の場所に滞在する際に一時的に貸し出されている物件など、大半が長期間利用可能な物件ではないとのことだ。
こうした実情を踏まえ、同社は既に同様のアプローチで短期のホームシェアリング規制条例を制定した自治体では既に規制を遵守できないホストが多く発生している点なども懸念に挙げながら、シアトル市に対して規制案を見直すよう働きかけている。
また、Airbnbはシアトルの規制案はホームシェアリング導入のハードルを上げるという点だけではなく、同市がAirbnbからの完全なデータ開示がないままセカンドハウスの短期貸し出しにまで規制をかけようとしている点に懸念を示している。
Airbnbは今後もホストのプライバシーを保護しながらデータやツールをシアトル市へ最大限に提供し、市と協力しながら話し合いを続けていくことを表明しているが、最終的にどのような条例案としてまとめられるのか。今後の進展に引き続き注目が集まる。
【参照記事】Airbnb and Housing in Seattle
(Livhub 編集部 佐々木 久枝)
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