有機の里・埼玉県小川町で、オーガニックツーリズムを楽しもう

埼玉県小川町は、東武東上線で池袋駅から1時間あまりの場所に位置する。外秩父の山々に囲まれた盆地に位置しており、「武蔵の小京都」の別名で呼ばれることもある。約1300年前より作られてきた名産の小川和紙は国の重要文化財で、2014年にはユネスコ無形文化遺産にも登録された。

今、そんな小川町に移住したいという人が増えている。移住相談の件数は埼玉県内でもっとも多く、2位の秩父市の2倍近くにのぼるという(※1)。人気のポイントは自然豊かでありながら都心へのアクセスがよい点で、移住者に向けた特急「TJライナー」の座席指定券購入費補助も好評だ。

移住希望者を惹きつけている魅力は、立地だけではない。小川町では1970年代から有機農業が営まれており、食の安全やサステナビリティへの関心が高いエリアでもある。有機農家数は全体の10%ほどに達し、2023年には町が「オーガニックビレッジ」を宣言した(※2)。町内には、有機野菜が食べられる飲食店も点在している。

過去には有機野菜の収穫体験など楽しむオーガニック尽くしのツアーも開催

2021年の冬、小川町で好評を博したのが、観光庁による実証実験の一環で行われたオーガニックツーリズムの取り組み。有機農家での野菜収穫体験を中心に、収穫した野菜を使ったランチや餅つきを楽しめ、江戸時代創業の酒蔵を見学するという日帰りツアーだ。町でディナーを食べたい人向けに、「オーガニック野菜周遊マップ」も配布された。

さらに後日、オプションでオンライン料理教室を開催。自宅に届いた小川町産の有機野菜を、地元農家と交流しつつ調理するという内容だ。

ツアー提供は終了しているが、当時制作されたオーガニック野菜周遊マップは、ツアーを催行した東武トップツアーズの公式サイトで見ることができる。

「オーガニック野菜周遊マップ」を片手に、小川町を訪ねよう!

今回はオーガニック野菜周遊マップの中から2店舗、小川町で有機野菜を体験できるお店を紹介する。

1)古民家で、地元産の有機野菜を「有機野菜食堂わらしべ」

画像引用:有機野菜食堂わらしべ 公式HP

2004年にオープンした「有機野菜食堂わらしべ」では、夫がパスタ・妻がパンと自家培養酵母の焼き菓子を作っている。提供する野菜は、すべてが地元産の有機野菜だ。パスタもオーガニックで、パンの原料は国産小麦を厳選している。

日替わりの各種パスタはもちろん、地元の平飼い卵を使ったオムレツも人気。具材たっぷりのピタパンサンドやドリアのほか、ベジタリアン・ビーガン対応メニューも用意している。デザートも充実しているので、有機コーヒーやハーブティーとともに楽しんでみてほしい。

画像引用:有機野菜食堂わらしべ 公式HP

有機野菜食堂わらしべは、2018年に現在の店舗である「玉成舎(ぎょくせいしゃ)」に移転してきた。玉成舎はもともと明治時代に建てられた養蚕技術伝習所で、埼玉県の「空き店舗ゼロリノベーションコンペ」で最優秀賞を受賞するなど建築的にも評価が高い。古民家を改装した重厚かつどこか懐かしい空間で、癒しのひとときを過ごしてみてはいかがだろう。

住所 埼玉県比企郡小川町小川197
営業時間 11:00-20:30(L.O 20:00)
定休日 月・火
HP https://gyokuseisha.jp/

2)完全無農薬・無添加ワインを角打ちで「武藏ワイナリー玉成舎直売所」

画像引用:武藏ワイナリー玉成舎直売所 公式HP

有機野菜食堂わらしべと同じ玉成舎の2階に、「武藏ワイナリー玉成舎直売所」がある。こちらの直売所では角打ちも行っていて、常時8種類のワインを提供。グラスで200円からと、リーズナブルな価格でワインを堪能できる。お酒が苦手な人には、小川町を代表するぶどう品種「小公子」のジュースもおすすめだ。

武藏ワイナリーのワインは、完全無農薬の自然栽培で育ったぶどうで作られている。基本的に肥料は与えておらず、雑草もそのまま。酸化防止剤などの添加物は不使用で、補糖・補酸も施していない。身体や環境にやさしく、自然の恵みに満ちた味わいだ。

画像引用:武藏ワイナリー 公式HP

武藏ワイナリー玉成舎直売所では、パン・チーズ・生ハムなどのおつまみが用意されており、毎週土曜には懐石料理の前菜に相当する「八寸」も登場。晴れた日は、テラス席でワインとのマリアージュを楽しむのもよいだろう。

<武藏ワイナリー玉成舎直売所>

住所 埼玉県比企郡小川町小川197
営業時間 11:00-21:00
角打ち営業
水〜金 17:00-21:00/土・日 12:00-21:00
定休日 月・火
HP https://gyokuseisha.jp/shop/musashiwinery/

<武藏ワイナリー>

住所 埼玉県比企郡小川町高谷104-1
営業時間 10:00〜17:00
定休日 年始(1月1日〜3日)
HP https://musashiwinery.com/

せっかくなら、一泊ゆっくり「まちやど」で

首都圏から近場だから日帰りで行ってみようかというのも一案だが、せっかくならば一泊とまってゆっくりと滞在してみるのもおすすめ。Livhub編集部おすすめの宿を紹介する。

小川町で暮らすように滞在できる一棟貸しの宿「小川まちやど ツキ」

画像引用: 小川まちやど 公式HP

「小川まちやど」は小川町全体をひとつの宿ととらえる取り組みで、あえてプランは素泊まりのみとしている。そのうち古民家を改装した「ツキ」は、街道に面した一棟貸しの宿だ。部屋とラウンジから槻川(つきがわ)や秩父の山々を一望でき、風呂につかりながらの月見も楽しめる。

食事は町の飲食店に繰り出すのもよいし、地元産の新鮮野菜を手に入れて宿のアイランドキッチンで調理するのもおすすめだ。鍋・食器・カトラリーのほか、調味料も用意されている。

画像引用: 小川まちやど 公式HP

ツキは小川町駅にほど近いにもかかわらず、少し歩けばすぐに田畑が現れる立地だ。都会へのアクセスのよさと自然が共存したこの場所で、暮らすように町での滞在を堪能する――。移住先として人気の小川町にあって、ツキは「移住のおためし」という役割も担っているのだ。

住所 ツキ:埼玉県比企郡小川町大塚176-1
HP https://ogawanoyado.com/top/

オーガニックビレッジ小川町ならではの魅力を、存分に味わって

小川町では、個別に農家で収穫体験を実施しているところもある。開催時期や季節によっても異なるため、希望する場合は「小川町・収穫体験」などで検索してみてはいかがだろう。個人での見学が可能な酒蔵・醸造所もある。その後は地元の飲食店に立ち寄ったり、採れたての有機野菜を購入したりと、ぜひオーガニックビレッジ小川町の魅力を存分に味わってみてほしい。

(※1) 令和4年度における移住相談に関する調査結果(移住相談窓口等における相談受付件数等)|総務省
(※1) 埼玉への“移住相談”過去最多を更新 市町村別で相談多かった街は3位が飯能市、2位は秩父市、気になる1位は|埼玉新聞
(※2)埼玉県小川町の取り組み|環境省

【参照サイト】埼玉県小川町で有機野菜の魅力を満喫するツアー| 東武トップツアーズの旅
【参照サイト】有機野菜食堂わらしべ 公式HP武藏ワイナリー玉成舎直売所 公式HP / 武藏ワイナリー 公式HP / 小川まちやど 公式HP
【関連ページ】埼玉県のサステナブルなおすすめ宿・ホテル8選(小川町、入間郡、秩父市)
【関連ページ】野菜を収穫して食べよう!埼玉県入間郡越生町の複合型リゾート施設で「お部屋で野菜収穫体験付き宿泊プラン」を販売

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Hiroko ASATO

元保護猫と暮らすライター。好きな野球・サッカーチームの遠征についていって、その街を旅するのが楽しみ。最近は大河ドラマ関連の史跡めぐりと、気軽に行ける地元の銭湯サウナに夢中。