Airbnb発祥の地、米国サンフランシスコにおいても、法規制が民泊運用の実態に全く追いついていない状況が明らかになった。サンフランシスコ市の予算・立法分析部門が公表した調査報告書によると、Airbnbに掲載されている同市内の4分の1以上の物件が、同市の法規制を超える90日以上の宿泊を提供していると推定され、全体の約80%のホストが同市に民泊運用の登録をしていないことが分かった。
サンフランシスコではかつて民泊は違法だったが、2014年10月に合法化に向けて条例が変更され、居住者が不在中に自宅を短期賃貸する場合は1回につき30日未満、かつ1物件につき年間90日までであれば民泊運用が合法となった。また、ホストが物件に滞在する場合は制限なしで合法となった。ただし、ホストは民泊運用を行う場合、市に登録を行う必要があるほか、宿泊税の支払いや損害賠償保険への加入が義務付けられている。
今回サンフランシスコ市が実施した調査によると、同市内で物件を運用しているAirbnbホストは5,378名いるのに対して、同市が2015年11月までに届出を受理した件数は1,082にとどまっており、約80%が法規制を遵守せず、市への登録をしないままAirbnbの運用を行っていることが分かった。また、同調査結果の公表に先立ち、Airbnbは今年の3月にサンフランシスコにおいて9,448物件、7,046名のホストが民泊運用をしていることを公表したが、同期間までの市への登録数は1,647件で、いまだ76.6%が市への届出をしないまま民泊運用を続けているという。
さらに、2015年2月以降、まるまる貸し切りタイプのホストのうち26.1%にあたる285物件は、同市の規制を超える90日以上の貸し出しを行っている可能性があることも分かった。
サンフランシスコ市は同調査結果を受け、30日未満の短期賃貸に関する規制を更に強化し、違法な民泊運用の撲滅に向けた法規制の対象をAirbnbのようなプラットフォームにまで拡大すること、市への登録手続きを簡素化することなどを検討の選択肢として挙げている。
サンフランシスコでは、昨年の11月にホストの滞在有無に関わらず短期賃貸を年間75日までに制限するという条例案に対して住民投票を実施したものの、55%対45%で条例案が否決された経緯がある。
一定の条件さえ満たせば合法での民泊運用が可能であるにも関わらず、未だに違法な民泊運用が常態化しているサンフランシスコ。今回の調査結果を受けて、同市がこれからどのような対応をとるのか。引き続き今後の動きに注目したい。
【レポートダウンロード】CITY AND COUNTY OF SAN FRANCISCO BOARD OF SUPERVISORS BUDGET AND LEGISLATIVE ANALYST Policy Analysis Report
(Livhub ニュース編集部)
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