コロナ禍でテレワークが浸透し、ワーケーションへの社会的な関心が高まっている。ワーケーションは、普段の職場や自宅とは異なる地域での滞在を楽しみながら働くことで、リフレッシュ効果が期待でき、社員の健康増進や生産性の向上が見込まれている。また、観光事業者はビジネスの拡大、受け入れ側の地域は交流人口や関係人口の増大による、地域経済や社会の活性化が期待できるなど、ワーケーションによって多方面への効果がみられている。
今回、一般社団法人 日本経済団体連合会は、企業におけるワーケーション制度の導入を支援する4つのツールを作成し、7月19日に公表をした。
4つのツールの特徴
ワーケーションは、勤務と休暇の組み合わせを前提とした新しい働き方であり、企業においては、仕事と余暇の混在への不安などから、導入に慎重な見方もある。経団連が公表した、ワーケーションをめぐる企業の懸念を可能な限り払拭するためのツールをご紹介する。
1.企業向けワーケーション導入ガイド
ワーケーションを取り巻く環境や導入にあたっての留意点などをわかりやすく説明したガイド。前半では、ワーケーションが注目される理由として、企業における導入効果や受入側の地域における環境整備などに触れるとともに、場所にとらわれない働き方を活用する4人の働き手からの生の声を紹介している。後半では、ワーケーションの導入を検討する企業に向けて、労働時間管理や旅費負担等の労務管理面に関する留意点について、政府の各種ガイドラインなども紹介しながら解説をする。
2.ワーケーションモデル規程
ワーケーション制度の導入にあたり、整理すべき社内規程をモデル化した。一般的な社内規程の構成に近いため、各企業が実情に合わせて適宜加工することで、簡単に社内規定を作成することが可能だ。
3.地方自治体におけるワーケーション事業事例集
実施地域の選定や、費用の面が導入のハードルが課題としてあげられている。この事例集には、ワーケーション自治体協議会との連携により、同協議会加盟自治体におけるワーケーション推進に向けた費用補助や体験イベントなどの多様な取り組みを収録している。
4.ワーケーション関連の商品・サービス事例集
ワーケーションの導入や運用においては、民間事業者が提供する多様な商品・サービスの活用も有効。事例集には、経団連の観光委員会に所属する企業がワーケーションの推進に向けて提供する各種商品やサービス(ワークスペース、宿泊、移動、社内システム、導入サポート等)を収録している。
ワーケーションを活用して働きの場を広げよう
コロナ禍により一気に広まったワーケーション。働き方改革や地方創生にも繋がる取り組みだ。ワーケーションが広く社会に定着し、実現の一助となることを期待したい。
【参照サイト】経団連:企業向けワーケーション導入ガイド
高橋 真理
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