ワーケーションとは? 定義・分類・メリット・デメリット・課題を徹底解説

目次

  1. ワーケーションとは?
  2. ワーケーションの分類
  3. ワーケーションのトレンド
  4. ワーケーションのメリット・デメリット
  5. ワーケーションの認知度・実施率
  6. ワーケーションの日数
  7. ワーケーションの市場規模・経済効果
  8. ワーケーションの課題・問題点
  9. 主なワーケーション推進機関・団体

ワーケーションとは?

ワーケーションの定義

ワーケーションとは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語です。観光庁は、「『新たな旅のスタイル』ワーケーション&プレジャー」の中で、ワーケーションを「テレワーク等を活用し、リゾート地や温泉地、国立公園等、普段の職場とは異なる場所で余暇を楽しみつつ仕事を行うことです。休暇型と業務型に分類されます。」と説明しています。

英語では “workation”または”workcation”と表記されていますが、近年では”workation”という表記がより一般的(Googleトレンド)になっています。

ワーケーションの起源

多くのウェブサイトではワーケーションはモバイルとインターネット環境の発展に伴い2000年代にアメリカで始まったと説明されていますが、言葉の正確な起源については不明です。確認しうる限り、米Access Intelligence社が運営するマーケティング専門メディアChief Marketerにおいて2011年5月に”The Workcation“としてワーケーションの概念が紹介されています。また、大手メディアによる記事としてはHUFFPOSTの “How I Make My Living on ‘Workations’“(2013年7月)やWall Street Journalによる “This Summer, How About a Workcation?“(2015年6月)などが挙げられます。

ワーケーションとテレワークの違い

厚生労働省は、テレワークを「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義したうえで、テレワークを下記の3種類に分類しています。

  • 在宅勤務:所属する勤務先から離れて、自宅を就業場所とする働き方。就業形態によって、雇用型テレワークと自営型テレワークがある
  • モバイル勤務:移動中の交通機関や顧客先、カフェ、ホテルなどを就業場所とする働き方。外出がメインとなる営業職などが、移動時間や隙間時間を活用して効率的に業務を行う方法で、直行・直帰と組み合わせることでワーク・ライフ・バランスを高めることも可能。
  • サテライトオフィス勤務:本拠地のオフィスと離れたところにあるサテライトオフィスを活用した働き方。サテライトオフィスには専用型と共用型がある。

ワーケーションは、このうち「モバイル勤務」と「サテライトオフィス勤務」の一部に当てはまる働き方であり、テレワークの就業形態の一つとして考えることもできます。しかし、モバイル勤務とは言えども、自宅近くのカフェや顧客先までの電車内で働くことはワーケーションとは呼びませんし、サテライトオフィス勤務だとしても、「バケーション(休暇)」と関係がなければ、ワーケーションとはなりません。テレワークはあくまで「仕事」であり、ワーケーションは「仕事」と「休暇」を組み合わせた働き方ですので、その特性の違いを理解しておく必要があります。

ワーケーションとブレジャーとの違い

ブレジャーは、「Business(ビジネス)」と「Leisure(レジャー)」を組み合わせた造語で、出張などの機会を活用し、前泊や滞在日の延長など出張の前後を活用して出張先で余暇や観光を楽しむことを指します。

ワーケーションの分類

ワーケーションには様々なタイプが存在しており、様々な機関・団体がワーケーションの類型化を試みています。ここでは、代表的な分類をご紹介します。

実施形態による4分類(観光庁)

観光庁は、「『新たな旅のスタイル』ワーケーション&プレジャー」の中でワーケーションの実施形態を大きく休暇をメインとする「休暇型」と業務をメインとする「業務型」の2つに分類したうえで、休暇型を「福利厚生型」、業務型を「地域課題解決型」「合宿型」「サテライトオフィス型」の3つに分類し、合計4つのワーケーションタイプに整理しています。

休暇型はノマドワーカーなどの個人単位が基本で、休暇を主たる目的としているため移動や宿泊に伴う費用も個人負担となります。企業が有給休暇の取得促進など福利厚生を目的として推進するケースが多いため「福利厚生型」となっています。

一方の業務型は業務を主とするワーケーションで、3つのタイプに分類されています。「地域課題解決型」は、ワーケーションの参加者が地域関係者との交流を重ね、共に地域課題の解決策を考えることを目的としており、SDGsの推進や新規事業創出などの文脈からも注目されています。「合宿型」は、普段の職場から離れて集中的に会議や研修、チームビルディングなどを行うもので、日常とは異なる環境や自然に囲まれた環境などでより創造的・生産的な議論を促したり、従業員同士の新たな関係構築を促したりすることが期待されています。そして最後の「サテライトオフィス型」は、企業が地域に開設したサテライトオフィスや地域にあるシェアオフィス、コワーキングスペースなどを活用してリモートワークをするスタイルとなります。

実施形態による7分類(一般社団法人日本ワーケーション協会)

一般社団法人日本ワーケーション協会では、ワーケーションタイプを独自に7分類し、内容や期間などを整理しています。

目的による4分類(一般社団法人日本テレワーク協会)

一般社団法人日本テレワーク協会では、ワーケーションをその目的に応じて「地域で働くワーケーション」「地方移転促進のワーケーション」「移住・定住促進のワーケーション」「休暇取得促進のワーケーション」の4つに分類しています。

仕事内容による4分類(松下慶太氏)

関西大学社会学部の教授である松下慶太さんは、ワーケーションに持っていく仕事の内容という視点からShallow(浅い)/Deep(深い)、つながり/作業の2軸で独自の4分類を提唱し、仕事内容によりワーケーション先の地域を選ぶという方法を提案しています。

例えば、持っていく仕事がDeepでじっくりと構想を練るようなものであれば、地域交流や参加者交流などが多く用意されているような地域ではなく、1人でゆっくり過ごせるような地域を選び、Shallowなものであれば、観光や遊びをたっぷり楽しめるような場所を選ぶといったイメージです。

ワーケーションのトレンド

ここでは、世界と日本のワーケーションをめぐるトレンドについてご紹介します。

世界

世界全体における「workcation」の検索数は、2011年頃から少しずつ検索数が伸び始め、2020年の9月以降、急激に増加しています。新型コロナウィルスの感染拡大に伴い世界的にリモートワークが普及し、働き方が見直されるなか、ワーケーションに対する注目も高まったと推測されます。

日本

日本においても、2020年7月を境に「ワーケーション」の検索数は爆発的に増加しています。これは、同月に観光戦略実行推進会議において「新たな旅のスタイル」としてワーケーション等を推進する方針が政府から示され、菅官房長官(当時)がメディアで「ワーケーション」という言葉を発信して注目を集めたことが原因です。

ワーケーションのメリット・デメリット

ワーケーションにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?ここでは、ワーケーションの実施場所となる受入地域・自治体、ワーケーション推進企業、実際にワーケーションを行う個人という3つの視点からご紹介したいと思います。

ワーケーション受入地域・自治体にとってのメリット・デメリット

ワーケーションを受け入れる地域・自治体にとっては、下記のようなメリット・デメリットが考えられます。

メリットデメリット
-平日の観光・旅行需要創出
-交流人口・関係人口の増加
-地域内関連事業の活性化・雇用創出
-域外企業との関係構築・投資呼び込み
-空き家・遊休施設などの有効活用
-移住・定住促進のきっかけづくり
-wifiなど環境整備に伴うコスト負担
-感染症の蔓延・拡大リスクの増加

ワーケーション推進企業にとってのメリット・デメリット

ワーケーション推進企業にとっては、下記のようなメリット・デメリットが考えられます。

メリットデメリット
-有給休暇の取得促進
-従業員満足度・メンタルヘルスの向上
-人材採用力向上・人材流出防止
-創造性・生産性の向上
-新規事業・イノベーション創出
-SDGs・ESG・サステナビリティ推進
-BCP対策
-リモート環境整備などの運用コスト増加
-セキュリティリスク・コストの増加
-労務管理コストの増加
-人事評価コストの増加
-コミュニケーションコストの増加
-賃料の増加(サテライト開設の場合)

ワーケーションをする個人にとってのメリット・デメリット

ワーケーションをする個人にとっては、下記のようなメリット・デメリットが考えられます。

メリットデメリット
-働き方やキャリアの選択肢の増加
-ストレス軽減・リフレッシュ効果
-モチベーションの向上
-創造性・生産性の向上
-地域や人との新たなつながり
-移住・定住先の検討に活用可能
-交通費・宿泊費(個人負担の場合)
-移動時間がかかる(場所による)
-通信環境が不十分(場所による)
-可能な職種・仕事内容が限られる
-バケーション(休暇)ではない
-日中の自由な行動が難しい

ワーケーションの認知度・実施率

観光庁の調査によると、ワーケーションの利用者となる従業員のワーケーション認知率は約8割に上っているものの、実際にワーケーション体験した人は全体の4.3%にとどまっており、テレワークの実施率32.2%と比較して非常に少ない状況となっています。

また、ワーケーションに「非常に興味がある」(9.0%)、「興味がある」(19.2%)と回答した「興味・関心層」は28.2%で、この層は他の属性に比べ年齢が若い層が多く、さらに小さな子供がいる家族の割合が高い傾向があるとのことです。一方、「どちらともいえない」(33.4%)、「興味がない」(30.8%)という「無関心層」も64.2%おり、さらに「ネガティブな印象を持っている」という「批判層」も7.6%いるなど、必ずしも従業員の多くがワーケーションに関心を持っているわけではないため、企業としては従業員の関心や公平性にも配慮したうえでバランスのとれたワーケーションを推進していく必要があると言えます。

ワーケーションの実施日数

内閣府・沖縄総合事務局が2022年4月に公表した「ワーケーションに関する調査」の結果によると、沖縄県内におけるワーケーション実施者の滞在日数は11.8日、兵器滞在費用は21.5万円となっており、沖縄観光(2019年)の平均滞在日数(3.6日)と平均消費額(7.4万円)を大きく上回っていることが分かりました。

同調査によると、ワーケーション実施者の滞在日数は5日以上が44・4%を占めており、3~5日が26・7%と最も多く、1~2週間も22・2%いました。 沖縄県におけるワーケーションの実施者は通常の観光客よりも長期間地域に滞在し、それゆえに消費額も伸びることがデータにより明らかになっています。

また、株式会社アドリブワークスが2019年7月に公表した「ワーケーションサービスの利用動向」に関するアンケート調査結果によると、1ヶ月のうちワーケーションに取り組める日数は、平均7日程度となっています。

ワーケーションの市場規模・経済効果

矢野経済研究所の調査によると、2020年度の国内におけるワーケーションの市場規模は699億円と予測されています。同調査は、ワーケーションを「休暇を過ごす環境に滞在しながら仕事をする働き方全般」と定義しており、市場規模は、滞在にかかるサービス(宿泊インパクト)、飲食費などの日中の活動にかかるサービス(地域インパクト)、通常業務以外の研修や合宿などにかかるサービス(研修インパクト)、ワーケーションを推進するために各省庁で予算化された事業規模(国家予算)を対象として算出されています。

同研究所は、ワーケーションの市場規模は2020年度から2025年度まで年平均成長率が約40%で推移し、2025年度の国内ワーケーション市場規模は3,622億円になると予測しています。

ワーケーションの課題・問題点

2020年以降、日本においても急速に人気を集めているワーケーションですが、ワーケーションにはどのような課題があるのでしょうか?観光庁は、企業側・地域側・従業員の3つの視点から、それぞれの課題について下記のようにまとめています。

地域側(受け手)の課題

  • 企業との交流活性化や、地域内の消費が生まれるような仕組みづくりを支援
  • 地域側の受入方針及び持続可能な体制の構築
  • 地元関係者と連携したオプショナル旅行商品の造成支援
  • 企業側の需要を掘り起こし、地域側との繋ぎ役(推進役)を担う人材の育成
  • 子育て世帯にも活用しやすい環境整備

ワーケーションという新しい旅のスタイルを普及させていくにあたり、受け入れ側となる地域ではワーケーションに最適な環境の整備や担い手となる人材育成、体制整備などが主な課題として挙がっています。

企業側(送り手)の課題

  • 労災の適用や税処理等、人事労務管理に関する基本的な知識の理解と普及啓発
  • ワーケーション導入による効果が不明瞭。企業側に導入を促すメリットを訴求すべき
  • 出張前後の休暇の活用を企業が認める文化や制度の整備支援
  • 働く場所の自由度を高めるための「フレックス・プレイス制度」の議論が少ない
  • ワーケーションのマッチングだけではなく、旅行商品等の流通支援
  • 地域とのミッションの共有や地元のプレイヤーの連携

ワーケーションを推進したい企業にとっての一番の課題は、新しい働き方の実現に向けて既存の人事・労務管理や制度をどのように変えていけるかという点にあります。また、ワーケーションを導入することのメリットや効果をより客観的に把握し、運用のPDCAを回していくための仕組みづくりも求められます。

従業員(利用者)の課題

  • 現状、ワーケーションの利用経験者は4%程度
  • 実施にあたっては、通信環境や情報セキュリティへの懸念、不安がある
  • テレワークを出来ない業種(職種)である
  • 休暇中に仕事をしたくない

ワーケーションを実施する個人の視点としては、通信環境や情報セキュリティへの不安や、誰もがワーケーション可能な業種・職種・仕事内容ではないという点、休暇先で仕事をするということに対する心理的な抵抗感などが挙げられます。あくまでワーケーションは多様な働き方の選択肢の一つとして位置づける必要があると言えます。

主なワーケーション推進機関・団体

日本においてワーケーションを推進している主な団体としては下記が挙げられます。

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