ワーケーション施設に必要な設備とは?受け入れ環境を整備するポイント

働く個人や企業の間でも「ワーケーション」という言葉が広がりつつある今、ワーケーションを受け入れたいと検討する地域や施設も増えています。実際に、ワーケーションを受け入れる際、どのような準備が必要なのか悩む方もいるのではないでしょうか。今回の記事では、ワーケーションを受け入れる施設に必要な設備や備品、利用者からのニーズが高いスペースなどを紹介していきます。

ワーケーションを受け入れる際に必要な環境とは

ホテルや旅館などの施設や、所有している物件などを活用し、ワーケーションを誘致したいと考える方もいるでしょう。ワーケーションを行うときには、どのような環境や設備が喜ばれるのでしょうか。

観光庁では、企業を対象に「ワーケーション導入」において、受入地域や施設に整備してほしいことを調査しています。その結果、「セキュリティやスピード面が確保されたWi-Fi等の通信環境」が53.4%、「入退室管理やシュレッダーなどのセキュリティ対策」が36.5%など、情報セキュリティに関するニーズが最も高く、合わせて89.9%となりました。続いて「ハード面の整備」に対するニーズも合わせて84.9%と、高いニーズがあることがわかります。また、子供を預けることができる施設や体験プログラムに関する要望も22.2%あり、家族同伴のワーケーションへの需要もあるようです。

この調査は企業向けのものですが、フリーランスなど個人の受け入れを希望する場合などは情報セキュリティやハード面よりもその土地ならではの体験や出会いなどが重視される傾向があります。ワーケーションに来る人のニーズを把握しながら、どのようなワーケーションを受け入れたいかで、準備するものを検討するとよいでしょう。

ワーケーション施設に用意しておくべき設備や備品

まずは、利用者からのニーズも高いワーケーション施設の設備や備品を紹介します。

Wi-Fi

ワーケーションを受け入れる際の必須の設備とも言えるのが、「Wi-Fi」です。Wi-Fi環境を準備する際は、安全性の高さなどセキュリティ面を考慮して選ぶのがポイント。そうすることで、ワーケーションに来る人も安心して仕事に取り組めます。

一般的に、Wi-Fiの速度は600kbps〜1.5Mbpsあればよいと言われていますが、webミーティングなどを行うと、画面が固まってしまったり、相手の顔が映らなかったりと、不具合が出ることもあるようです。ワーケーションでは多くの人が同じ時間にWi-Fiにアクセスすることも考えられますので、最低でも10Mbps、混雑するような時間帯を加味すると30Mbpsの通信速度を用意するとよいでしょう。Wi-Fi環境が整っていても電波が入りにくい場所や個室スペース、外のテラスといったところに作業環境がある場合は、ポケットWi-Fiの貸し出しなども行うと利用者にとっても安心です。

電源タップ

パソコンやモニターなど、利用者が複数の機器を使用して作業する場合も考えられます。その際に必要なのが、「電源タップ」です。もともと、デスク周りにコンセントが多数ある環境の場合は問題ありませんが、コンセント自体をを後付けするのは簡単にはできません。仕事中に、「デスクの近くにコンセントがない」、「モニターやデスクライトを使いたいのに電源が足りない」ということにならないようにするために、予備の電源タップは多めに用意しておきましょう。

デスク・チェア

ワーケーションで重要なデスクやチェアは、長時間仕事をしても疲れにくいものを選びましょう。デスクの大きさは、ノートPCとモニター設置、マウス操作、資料確認などをするスペースを考えると、奥行き50センチ以上、横幅80センチあるのが理想です。また、ホテルや旅館などの客室にデスクを設置する場合は、折りたたみのタイプを準備すると、仕事以外の時間はデスクをたたんで、部屋を広々と使うことができるでしょう。

モニター

普段の仕事でモニターを使って大画面で作業をしている利用者にとっては、モニターがないと作業効率が下がってしまうことも考えられます。全室に設置できれば、より利便性も高まりますが、難しい場合は施設内の何部屋か、もしくは貸し出し可能なモニターを数台準備しておくのがおすすめです。

シュレッダー

設備内にあると嬉しいのが「シュレッダー」。不要になった資料や、会社情報・取引先の情報が記載されている資料をそのままの状態で処分してしまうと、第三者に情報が流出してしまう可能性もあります。ワーケーション施設は、不特定多数の利用者が同じ空間を利用して仕事をすることもあるでしょう。利用者間での情報漏えいが起きないよう、セキュリティの観点でもシュレッダーは完備しておきましょう。

プリンターなどの複合機

資料を、紙に印刷して取引先に提出したり、社内で確認したりすることもいまだ少なくありません。その際、完成後の見え方がパソコンと紙とでは異なる場合もあるため、プリンターも仕事環境には必要な設備です。FAXやスキャナーなど、どのような機能が必要かを検討した上で、リースや購入などの手配方法を考えましょう。

充電ケーブル

充電ケーブルには、ノートパソコンとモニターをつなぐものや、パソコンの充電ケーブルなどがあります。ワーケーションに来る人は持参してくることが多いですが、利用者が万が一忘れてしまった場合に備えると、施設にも用意しておくと安心です。しかし、充電用ケーブルはパソコンによっても使用できるワット数が異なるので、利便性を考えると100Wまで対応できるタイプを用意しておくとよさそうです。

デスクライト

デスクライトがあると手元を照らしてくれるだけでなく、作業効率がアップして目が疲れにくくなります。厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」によると、作業者の心身の負担を軽減し、支障なく作業を行えるよう、情報機器作業に適した作業環境管理を行うことが重要だとされており、「ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること」が推奨されています。明るさや色味を調整できるライトを用意できると、いろいろな環境で使いやすいでしょう。

ワーケーション施設でニーズがあるスペースは?

ワーケーションを受け入れる環境として、仕事をしやすくする備品や設備以外に、どのような場所や部屋があるとよいのでしょうか。

プライベートが確保できる個室スペース

ワーケーションではテレワークが主となることも考えられます。webミーティングなど、声を出す際に使いやすいのが、「個室スペース」です。また、オープンスペースのみでは、周囲の声や音が耳に入ってしまい、仕事に集中できない人もいるかもしれません。そのようなケースでは、1人で使えるプライベート空間のニーズも高いでしょう。多数の部屋を用意するが難しい場合は、「個室を5部屋完備、予約利用できます」など、言葉を添えると利用者へのアピールポイントにもなります。

複数人で利用できる会議室

個人向けのスペースだけでなく、複数人で利用できる会議室もあると、企業のワーケーションも受け入れしやすいかもしれません。現在、ワーケーションは個人だけでなく、企業の研修や合宿などで導入しているケースも増えています。大人数の受け入れを検討している場合は、オフィスと同じように会議ができるスペースも準備しておきましょう。

休憩スペース

仕事の合間にリフレッシュできる場所や、飲み物コーナーなども喜ばれるスペースの一つです。施設や地域の環境を生かし、自然が感じられる場所や景観のよさを味わえる場所など、ワーケーションならではのリフレッシュができる空間があると、より満足度も高まるでしょう。

託児所

観光庁の調査にもあったように、家族連れのワーケーションでは託児所などの子供の預け先があることも重要視されています。ワーケーションでは、休暇を楽しむことも重要ですが、仕事をしなくてよいわけではありません。子連れの際には、預け先が確保されているということだけでも、ワーケーションへのハードルが低くなり、ワーケーションの促進にもつながります。また、子供には学校ではできない体験を通じて、成長してほしいと考える親もいることから、託児所のほか、子供の年齢によっては何らかの体験ができるコンテンツを準備するのもよいでしょう

環境を整備するときはチェックシートの活用もおすすめ

観光庁では、ワーケーションの受け入れ地域向けに、受入環境整備に活用できるチェックシートを公開しています。施設環境の見直しや整備を行うときは、活用してみるのもよいでしょう。
受け入れるワーケーションのタイプによって必要な項目を確認し、まずは現状を把握しながら準備を進めましょう。

快適な環境整備がワーケーション促進のカギ

ワーケーションの受け入れを検討する際、まずは誰をどのような目的で呼びたいのかを考え決定しましょう。その後、その内容に沿って必要項目を整えていきます。設備を重視する人を誘致したい場合は、本記事でまとめたように施設内の設備は十分に整っているのか、どのような備品を用意する必要があるのかを把握することが重要です。

利用者にとって、「また来たい」と思えるような環境整備が、ワーケーションの促進にもつながっていくでしょう。

【参照サイト】国土交通省観光庁 「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー
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